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平成十九年十二月二十七日提出
質問第三六二号

改正建築基準法施行に伴う建築関連産業の混乱等に関する再質問主意書

提出者  前原誠司




改正建築基準法施行に伴う建築関連産業の混乱等に関する再質問主意書


 平成十九年十二月十四日付で送付された答弁書について、取り上げた事案の重要性に鑑み、内容の確認と理解をさらに深める為、次の事項を再質問する。

一 質問一の答弁について
  答弁では(以下省略)、改正法施行により審査時間の増加は想定していたとあるが、
 @ 今回の一連の混乱は予見していなかったと考えて良いか。
 A 審査に要する時間の増加とは、建築基準法第六条に定める審査期間の変更のことなのか、又は法定期間内では足りないという意味なのか。
 B (Aを踏まえて)円滑な施行の準備とは、法定期間内での審査に対処する為ということと解釈して良いか。
 C 「経済、国民生活に対する支障」とはどのような場合の、どのような支障と考えているか。
  以上政府の見解を求める。
二 質問二の答弁について
 @ 確認業務の混乱の原因は、関係者の確認審査に係わる技能の未熟さおよび一部の行き過ぎた制度運用の二点にあると解釈できるが、これは、建築設計関係者(団体も含む)や建築主事らの職務怠慢によるものと理解して良いか。習熟していないとはどの様な理由、事象から判断したのか。
 A 習熟していないことが判明したのはいつか。
 B 習熟していないと指摘する確認審査の実施とはどのようなことか。どのような作業や行為なのか。建築確認申請件数が減少したこととの関係はどう判断しているのか。
 C 改正法施行にあたり、国土交通省は、関係者の確認審査実施に対する習熟度をどの程度だと把握していたのか。今回の混乱を予見していなかったとすれば、改正法施行時点で習熟度は十分であると認識していたと考えて良いか。
 D 国土交通省の施行前の習熟度把握と施行後露呈した習熟度に開きがあったとすれば、その原因は何か。
 E 一部の特定行政庁とはどこか。あるいは審査窓口全体のどの程度の割合なのか。
 F 建築確認件数減少は、一斉でかつ全国的規模であるが、一部の特定行政庁の行き過ぎた行為がなぜ全国的な事態となったのか。
 G 過重な負担となる制度の運用とは具体的にどのようなものだったのか。そのような運用を招いた原因は何か。またはそれは法解釈上不自然な運用であったのか。
  以上政府の見解を求める。
三 質問四の答弁について
 @ 研修会、講習会の回数は、会場数と考えて良いか。
 A 講習会等参加者からの意見とあるが、当日会場での個人的な意見ということか。
 B 意見の取りまとめ書はあるのか。あれば概要をご説明願いたい。
 C 改正法施行前に、手続きの細則やその他について、関係団体等からの要望書、意見書、質問書のたぐいは一切無かったと考えて良いのか。
 D 改正法施行一、二ヶ月前での講習会等開催であるが、間際の開催で十分であったと考えていたのか。
 E 講習会等で出た意見について、改正法が施行された六月二十日に発出された「施行通知」へ盛り込むことを間に合わせても、確認申請準備の作業には物理的に間に合わないと考えるがいかがか。少なくとも七月の確認申請に影響があるとは考えられなかったのか。
 F 関係者が習熟していないことが判明した時点から現在まで、追加の研修会、講習会は行ったのか。
 G 国土交通省のデータによると、建築基準法第六条一項一〜三号に掲げる建物の確認申請件数は、対前年比で、十月時点でも大きく減少のままである。建築確認交付件数ではそれ以上の減少である。七〜十月にかけて、関係者の習熟度は一向に改善されてきていなかったと判断して良いか。
 H 習熟させるのになぜこれ程時間を要しているのか。その理由・原因は何か、明確な説明を求める。
  以上政府の見解を求める。
四 質問五、六の答弁について
 @ 構造計算適合性判定(以下「適判」という。)制度の導入、指定確認検査機関の指定要件の強化、一部の中間検査の追加の三点以外の厳格化条項は、構造計算書偽装防止に寄与していないと判断して良いか。
 A 構造計算書偽装防止に寄与する@の三点については、確認申請がストップする理由ではないと考えて良いか。
 B 建築設計関係者(団体も含む)や建築主事らが習熟していなかったのは、法の目的である偽装防止に直接寄与していない条項に関しての部分であったと解釈して良いか。
  以上政府の見解を求める。
五 質問八の答弁について
  国土交通省のデータによると、七〜十月四ヶ月間の一〜三号建物の確認申請数は、合計四九,〇三八件である。そのうち適判合格件数は一,一三四件で、二.三一%だけである。仮に確認申請数のうち適判が一〇〇%必要だとすれば、建築確認交付件数は著しく低調であると考えざるを得ない。これは建築着工件数に大きく影響を与えているということではないのか。よって、把握していないと答弁している適判割合については早急に把握すべき重要な調査項目と考えるべきではないのか。建築確認申請の抽出調査は、「今後必要に応じて」ではなく、すでに実施されていなければならないのではないか。政府の見解を求める。
六 質問九、十の答弁について
 @ 大臣認定構造計算プログラムは、定められた確認期間内での構造計算書偽装防止策として、重要で必要なものと考えて良いか。また、大臣認定構造計算プログラムがなくとも迅速な構造計算書偽装防止は可能なのか。
 A 六月二十日改正法施行時点で、大臣認定構造計算プログラムが供給できなかった理由は何か。そしてそれまでにどのような指導がなされたのか。
  以上政府の見解を求める。
七 質問十一の答弁について
 @ 今回拡充された建築確認申請書に添付する必要図書等の大部分は、今までも同様に提出されてきたものであると解釈して良いか。
 A 関係者への設計業務量に対するヒアリング等を実施したのであれば、いつどのような結果を受け取っていたのか。
 B 改正法施行による構造設計業務の手間は、従来に比べて二倍にもなっているとの声があるが、まったく見当違いの意見ということなのか。
  以上政府の見解を求める。
八 質問十三、十四の答弁について
 @ 「各種統計を検討し」とあるが、月例経済報告では住宅建設についての記述があるのみである。住宅以外の建設は減少していないのか。住宅以外は取るに足らない程度との判断なのか。
 A 改正法施行の影響を指摘しているが、建設の減少にどの程度寄与していると考えているのか。その割合を明示願いたい。
 B 建築着工統計は参考にしているのか。
 C 「第三四半期」とは七〜九月期で良いか。
 D 「第三四半期の経済成長率を大きく押し下げた」とあるが、GDP一次速報データによるものか。
 E GDP一次速報の民間住宅項目の数字は、建築工期を考慮した前期までの着工統計のものをかなり含んでいるのではないか。どの程度四〜六月期以前のものが含まれているのか。戸建て住宅でも四〜五ヶ月の工期は通常必要となるのではないか。
 F 「第三四半期の住宅投資の減少」は、改正法施行の影響した七〜九月での建築着工数減が折り込まれた数字ではないと判断して良いか。
 G 七月以降の建築着工数激減は、いつ頃から発現されてくると予測するのか。また、予測作業は行われているのか。
  以上政府の見解を求める。
九@ 建築着工統計の床面積データは、建築確認交付時点の建築工事届けによる集計と考えて良いか。
 A 平成十九年七月以降、確認審査機関窓口において、確認後の取り下げが発生したとの情報は把握しているか。取り下げ案件があるとすれば、見かけのデータとして計上されることになるのではないか。
 B 建築着工統計によると、平成十九年七〜十月において、相当数の対前年比での床面積減少が読み取れる。この四ヶ月間の対前年比床面積減少分の合計は、全数で約二,三二〇ha、居住系で約一,三五〇ha、非住居系で約九七〇haと算定されるが相違ないか。
 C 非住宅床面積は、減少床面積の約四二%を占めており、経済に大きな影響を与える数字と判断できるがいかがか。
 D 月例経済報告では、住宅投資の減少のみの表現であり、非住宅床に触れられていないのはなぜか。
 E 四ヶ月間の減少床面積は、どれほどのマイナス経済効果であろうか。減少分には一〜三号建物が多くを占めていることを前提に、建築費単価(消費税込)を二十万円/uに設定して計算してみると、約四.七兆円と試算できる。また、設計料分を勘案すれば、約五兆円と推計できる。波及効果を加えれば四ヶ月間でのマイナス経済効果は六兆円とも考えられる。この金額についてどのような取扱いが妥当なのか。月例経済報告での「住宅建設はこのところ減少」との取扱いで妥当であるのか。
  以上政府の見解を求める。
十 常識的に考えて、今回のような運用を伴う大幅な法改正がある場合には、施行前に十分なリサーチを行い、習熟度を確かめ、具体的なシミュレート等を行うなどの慎重な対応が求められるのではないか。改正法施行により今回の事態が発生したという実態を鑑みて、国土交通省の対応に何が足りなかったのか。また何を怠ったと考えるのか。政府の見解を求める。

 右質問する。



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