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平成二十年二月二十日提出
質問第一〇〇号

サロベツ川流域など水害補償施策に関する質問主意書

提出者  松木謙公




サロベツ川流域など水害補償施策に関する質問主意書


 「前回答弁書」(内閣衆質一六八第二八三号)を踏まえ、再度質問する。

一 サロベツ川流域の治水対策について
 1 「前回答弁書」では、水害による営農の困難性を解決するために、全国各地の農業地域で農地や施設・住宅の移転補償を行なった事例について、「なかった」との答弁がなされている。
  これは、遊水地の設置に伴う、地役権の設定による住宅などの移転補償も含めて、「なかった」としているのか、政府の見解を明らかにされたい。また、こうした遊水地に伴う地役権の設定は現在、全国何カ所で行なわれているのか、具体的な地域名を示されたい。
 2 サロベツ川流域では、国営総合農地開発事業の一環として排水路を掘削することにより、治水対策としてきた経緯がある。
  サロベツ川を切り替え、導水路によりモサロベツ川流域の低湿地に導いて洪水調節を図る「兜沼地区直轄明渠事業」(昭和四十六年〜五十三年実施)も、その一例である。地元酪農家の証言によると、導水路の掘削当初は一定の治水効果を発揮したが、その後、上流部からの土砂堆積などを放置した結果、豊富町芦川・兜沼・開源地区において洪水被害が頻発しているという。草地造成と明渠排水はセットで実施されており、これは国営総合農地開発事業が水害を助長してきたものと言える。
  そこで、同地区の水害の実態について、政府としてどのように把握しているのか明らかにされたい。また、同地区を含む豊富町内における農地の冠水被害の原因は何なのか、具体的に見解を示されたい。
 3 「前回答弁書」の前段において、国営総合農地開発事業に起因した洪水被害面積の拡大は「なかった」との見解を示しながら、後段(二の1について)になると、「農用地及び農業用排水路の機能が低下し、湛水等の被害が発生している」と矛盾した答弁がなされている。
  同事業に起因する洪水被害の拡大がないのであれば、「被害実態等の調査」や「排水施設等の改修等」をなぜ行なうのか、具体的に説明されたい。また、「農用地及び農業用排水路の機能が低下」した理由について、「泥炭土の特質に起因する地盤沈下」とのみ答弁しているが、他の要因はないのか、政府の見解を示されたい。
二 水害農地に対する補償対策について
 1 「前回答弁書」は、農地防災事業に関わる調査や手続きの状況を述べただけで、昨年三月五日に被害住民の代表が要望書を提出した以降の経緯について、具体的に答弁していない。これは、前記文書に盛られた要望事項に対して、農林水産省として何ら協議・検討をしてこなかったものと理解するが、改めて経緯を示されたい。
 2 現在、豊富町および稚内市の酪農家は「中山間地域等直接支払制度」の下で、「草地比率の高い地域の草地」の基準を満たすとして、十アール当たり千五百円の直接支払いを受けている。
  先の質問主意書は、水害常襲地帯に位置するサロベツ湿原周辺の農地は、営農条件が厳しく、環境保全上の制約もあることから、「草地比率の高い地域」という基準のみの直接支払いでは不十分、との観点から政府の見解を質したものである。しかし「前回答弁書」では、当該地域が「急傾斜地や草地比率が高いこと等の基準を満たさない農地」と、誤った現状認識に基づいた答弁がなされている。
  そこで、農林水産省として、現状認識の誤りを正す意思はあるのか。また、現行の「草地比率の高い地域」に上乗せする形で、当該地域に対する直接支払いを増額すべきと考えるが、見解を示されたい。
 3 当該地域に対する直接支払いを充実させるために、「環境制約地域」を独自に定めることで条件不利地域支払いを実現しているフランスに倣い、現行制度に類似のシステムを加える意思はないか、改めて政府の見解を示されたい。
 4 「前回答弁書」は、現行の「農地・水・環境保全向上対策」と「酪農飼料基盤拡大推進事業」を解説しただけであり、湿地保全との関連では何も答弁していない。また、サロベツ湿原周辺では、「生産性に配慮した営農の促進」自体が困難であることを理解していないのではないか。
  今後、当該地域において環境保全型農業に取り組もうとする農家に対する環境支払いを、政府としてどう推進するのか、改めて見解を示されたい。また、「湿地保全プログラム」をはじめとする欧米の環境支払い制度について、農林水産省として調査・研究を行なっているのか、類似の制度を日本に導入する意思があるのかどうか、明らかにされたい。

 右質問する。



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