質問本文情報
平成二十年二月二十七日提出質問第一二一号
草の根無償資金援助を巡る債務についての外務省の対応に関する再質問主意書
提出者 鈴木宗男
草の根無償資金援助を巡る債務についての外務省の対応に関する再質問主意書
週刊金曜日二〇〇八年二月八日号に掲載されている、幼少児国際教育交流協会(以下、「協会」という。)がネパールにおける草の根無償資金援助の事業を行うべく一九九六年に外務省から約千六百万円の援助を受けたが、一部事業の未実施が発覚し、外務省から千二百万円の返還請求がなされた。しかし、「協会」の解散に伴う混乱の中返還はなされず、国民の税金千二百万円がそのまま消えてしまった旨の記事(以下、「記事」という。)と「前回答弁書」(内閣衆質一六九第九五号)を踏まえ、再質問する。
二 「協会」に対する千二百万円の返還請求につき、「前回答弁書」で外務省は「外務省としては、資金の回収のためあらゆる方策について検討を行った」と答弁しているが、右のあらゆる方策とはどの様な方策を指すのか詳細に説明されたい。
三 「前回答弁書」で外務省は「返還させられるべき財産が相手方にないこと等から、当時、法的手段をとらなかったものである。結果として、今般のような事態になったことは遺憾であって、外務省としては、こうした事例を踏まえ、草の根・人間の安全保障無償資金協力の制度の改善を図ってきたところであり、今後も適正な事業の実施の確保に努めてまいりたい。」と答弁しているが、右は結果的に外務省として、「協会」に対して千二百万円の返還を請求することはあきらめたということか。
四 外務省は三の答弁にある様に、「返還させられるべき財産が相手方にない」としているが、例えば「記事」によると、久野氏は幼少児国際教育研究所なるものを立ち上げ、幼少児のための英会話塾を開講するなど、新たな事業を展開しているとのことであるのに、なぜ外務省は法的手段に訴えなかったのか。「返還させられるべき財産が相手方にない」ことを判断するのは司法の役割であって、外務省としては、国民の尊い税金である千二百万円を返還させることを第一に考えるべきではなかったのか。
五 「記事」によると、「協会」を提訴しなかった理由を説明した、二〇〇一年八月に外務省が起案した文書では、「裁判を起こした場合、マスコミ等に公になることが予想され、草の根無償のスキーム全体の議論に波及する恐れがある」との説明がなされているとのことであるが、三の答弁にある様に外務省が「外務省としては、こうした事例を踏まえ、草の根・人間の安全保障無償資金協力の制度の改善を図ってきたところであり、今後も適正な事業の実施の確保に努めてまいりたい。」と考えているのなら、なおさら「協会」を提訴し、全てを公にして、国民に対する説明責任をきちんと果たすべきではなかったのか。
六 「協会」による草の根無償資金協力事業の未実施及び資金の未返還を受けて、外務省において然るべき立場にある者に対する処分は下されたか。下されたのならば、処分を受けた者の官職氏名、処分の発令日、内容を明らかにされたい。
七 「協会」以外に、草の根無償資金協力による事業を請け負い、それを完遂できず、外務省が資金の返還を請求したというケースはあるか。
八 「前回答弁書」で、草の根無償資金協力について「開発途上国における社会経済開発事業の実施に対し供与されるものであり、我が国国内における宿泊費や飲食費に充てることは認めていない。」との答弁がなされているが、過去に右の草の根無償資金協力の規則に反して、資金が我が国国内における宿泊費や飲食費に用いられた事例はあるか。あるのならば、規則に反した者、団体の氏名・名称、年月日、またそれらに対して外務省が下した処分について説明されたい。
九 草の根無償資金協力の資金の使い方が八の規則に反するとして、外務省からの予算支出を受けられず、二〇〇二年一月に東京で開催されたアフガニスタン復興支援国際会議に出席することが出来なかったNGO団体はあるか。あるのなら、その団体名を全て挙げられたい。
右質問する。