衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十年四月二十四日提出
質問第三二六号

中国における遺棄化学兵器処理事業への予算の透明性等に関する再質問主意書

提出者  鈴木宗男




中国における遺棄化学兵器処理事業への予算の透明性等に関する再質問主意書


 旧日本軍が中国で遺棄したとされる化学兵器(以下、「遺棄化学兵器」という。)の処理事業(以下、「処理事業」という。)を行うため、二〇〇四年四月に遺棄化学兵器処理機構(以下、「機構」という。)が設立されたが、「機構」設立に際して百%の出資をした大手建設コンサルタント会社のPCIの元社長ら四名が本年四月二十三日、国からPCIに支払われた「処理事業」にかかる費用の内約一億二千万円を流用し、同社に損害を与えたとして特別背任罪の容疑で逮捕された。右と「前回答弁書」(内閣衆質一六九第二九四号)を踏まえ、再質問する。

一 昨年十月二十六日の政府答弁書(内閣衆質一六八第一二九号)によると、平成六年度に、伊藤忠一元ネパール国駐箚特命全権大使がPCIに再就職しているとのことであるが、伊藤氏以外にその後外務省からPCIに天下った者はいるか。
二 平成元年から現在に至るまで、内閣府からPCIに天下った者はいるか。いるのならば、その氏名と内閣府退職前の官職を明らかにされたい。
三 「前回答弁書」によると、本年度は「機構」と「処理事業」について契約を行っていないとのことであるが、本年度政府はどこと「処理事業」の契約を行っているのか説明されたい。
四 前回質問主意書で、我が国が「処理事業」を行うことになった経緯を問うたところ、「前回答弁書」では「化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約(平成九年条約第三号。以下「化学兵器禁止条約」という。)第二条6においては、『遺棄化学兵器』とは、千九百二十五年一月一日以降にいずれかの国が他の国の領域内に当該他の国の同意を得ることなく遺棄した化学兵器をいう旨が規定されており、我が国は、千九百九十七年四月二十九日の化学兵器禁止条約の発効に伴い、化学兵器禁止条約上、遺棄化学兵器を廃棄する義務を負うことになり、処理事業を開始した。」との答弁がなされている。しかし、同じく前回質問主意書で、そもそも「遺棄化学兵器」の所有権はどこにあるか、第二次世界大戦で我が国が無条件降伏したことを受け、中国大陸における旧日本軍は武装解除され、全ての兵器、財産は旧ソ連と中国に没収または接収されたのではないかと問うたところ、「前回答弁書」では「旧日本軍が武装解除を行った当時の個別具体的な状況が必ずしも明らかではなく、お尋ねについて確定的にお答えすることは困難である。」と、「遺棄化学兵器」の所有権がそもそも我が国にあるのか、我が国が「処理事業」を行う義務があるのかどうか、政府として確定的な回答はできないとの答弁がなされている。この様に、「遺棄化学兵器」をめぐる歴史的経緯が不透明であるところ、政府として改めて我が国の「処理事業」への関与のあり方を見直すべきではないのか。
五 防衛庁(現防衛省)が担当した、福岡県苅田町苅田港の海底で見つかった旧日本軍の遺棄化学兵器の処理事業(以下、「苅田町の遺棄化学兵器処理事業」という。)の調査研究費は約五千万円であるのに、「処理事業」には五年間で約百七十億円超の調査研究のための予算が組まれていることにつき、昨年十一月二日の政府答弁書(内閣衆質一六八第一四六号、以下「政府答弁書一」という。)では、「外務省として、中国で発見された砲弾等が旧日本軍の化学兵器であるかについてまず鑑定を行う必要があったこと、また、内閣府として、長期間土中等に埋設されている大量の遺棄化学兵器を迅速に発掘・回収及び廃棄処理するというどの国も取り組んだことのない事業であること、加熱爆破炉の実証性実験など、所要の実験を積み重ねる必要があったこと等、苅田港における老朽化化学兵器処理事業とは異なる事情があり、十分な調査研究等を慎重かつ広範に実施していく必要があったことから、中国における遺棄化学兵器処理事業の調査に関する経費と苅田港における老朽化化学兵器の処理技術等の調査に関する経費とを一概に比較することは困難である。」と、「苅田町の遺棄化学兵器処理事業」と「処理事業」にかかる費用が大きく異なるのは正当な理由がある旨の答弁がなされているが、今次PCIの元社長らが特別背任罪の容疑で逮捕される等、「処理事業」をめぐり種々不透明な疑惑がもたらされている。また、「処理事業」については、外務省の外郭団体である日本国際問題研究所(以下、「国問研」という。)が主に調査研究に従事していると承知するが、「政府答弁書一」によると、「国問研」には平成十年度に二名、平成十一年度に一名、平成十二年度に一名、平成十三年度に二名、平成十四年度に二名、平成十五年度に一名、平成十七年度に一名、平成十八年度に一名と、九年の間に十一名の外務省職員が「国問研」に天下っていることが明らかにされている。更に、昨年十二月七日の政府答弁書(内閣衆質一六八第二七六号、以下「政府答弁書二」という。)では、「内閣府及び外務省は、中国国内における遺棄化学兵器埋設地区における現地調査、当該地区における環境や安全性に十分に配慮した発掘回収調査、遺棄化学兵器の無害化処理技術の研究及び提案等の業務を財団法人日本国際問題研究所(以下「国問研」という。)に委託してきたところであり、国問研は、委託された業務を適切に行ってきたものと考えている。」と、「処理事業」における「国問研」が果たした役割は適切であるとする答弁がなされている。しかし、「政府答弁書一」と「政府答弁書二」でも、「国問研」から更に社団法人日本防衛装備工業会、財団法人化学物質評価研究機構、株式会社小松製作所へ業務が委託されていることが明らかにされているところ、そもそも「国問研」には「処理事業」に関わる能力はないのではないかと考える。右で述べた「処理事業」についての問題点を鑑みる時、政府として、改めて我が国の「処理事業」にかかる予算、あり方を見直すべきと考えるが、政府の見解如何。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.