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平成二十年五月二十七日提出
質問第四三二号

八ッ場ダム問題に関する質問主意書

提出者  石関貴史




八ッ場ダム問題に関する質問主意書


 利根川支川・吾妻川で建設が進められている八ッ場ダムは自然への影響や災害誘発の可能性など、様々な問題が指摘されており、ダム建設の必要性について徹底した検証が求められている。また、八ッ場ダム事業には様々な疑問がある。
 従って、次の事項について以下、質問する。

一 八ッ場ダムの治水計画について
 昨年九月の台風九号と二〇〇一年九月の台風一五号の降雨量は八ッ場ダムの治水計画に採用されている一〇〇年に一回の降雨量に匹敵するものであった。しかし、この時ダム予定地近傍の岩島地点で計測された実測流量は、国が想定している机上の計算による八ッ場ダムへの最大洪水流入量毎秒三九〇〇m3の二八%から三〇%の量にすぎなかった。このことに関連して以下質問をする。
 1 最大流入量毎秒三九〇〇m3を決めた時期
  八ッ場ダムの治水計画は一〇〇年に一回の降雨が想定され、最大で毎秒三九〇〇m3の洪水が流入し、そのうち、二四〇〇m3をダムでカットすることになっていると聞く。この最大流入量毎秒三九〇〇m3という数字が決まったのはいつのことなのか、その数字が決まった時期を明らかにされたい。
 2 毎秒三九〇〇m3算出の根拠となった観測流量
  毎秒三九〇〇m3は一〇〇年に一回の雨量を洪水流出モデルに当てはめて計算したものと思われるが、その洪水流出モデルの係数は実際の観測流量に適合するものが選択されなければならない。八ッ場ダムの洪水流出モデルの係数選択に用いた観測流量はどの地点のものなのか、また、いつの時点の観測値なのかを明らかにされたい。
 3 八ッ場ダム予定地近傍の岩島地点の流量観測
  現在、吾妻川の八ッ場ダム予定地の近傍では国土交通省が岩島地点で流量観測を行っている。岩島地点で洪水流量観測が行われるようになったのは何年からなのかを明らかにされたい。
 4 岩島地点の洪水流量と流域平均三日雨量
  岩島地点で洪水流量観測が行われてから、その洪水ピーク流量が毎秒一〇〇〇m3を超えた時の年月日と時刻、ピーク流量観測値、及びその時の八ッ場ダム上流域平均の最大三日雨量を明らかにされたい。また、八ッ場ダムの計画三日雨量、岩島地点と八ッ場ダムの流域面積も明らかにされたい。
二 利根川に対する八ッ場ダムの治水効果について
 国土交通省によると、八ッ場ダムが計画されている吾妻川の流域面積は、治水基準点「八斗島」(群馬県伊勢崎市)の上流域の1/4を占め、また八ッ場ダムの治水容量は利根川上流域にある六ダムを合計した治水容量の約六割を占めるため、利根川下流域の洪水被害を軽減するとのことである。国土交通省のいう洪水被害の軽減がどの程度のものなのか、八斗島治水基準点における、具体的なデータについて質問する。
 1 カスリーン台風再来時の八ッ場ダムの治水効果
  利根川の治水計画のベースとなっているのは、一九四七年のカスリーン台風による洪水である。このカスリーン台風が再来した場合、八ッ場ダムは治水基準点「八斗島」においてどのような治水効果があるのか、八ッ場ダムがない場合の洪水ピーク流量、八ッ場ダムがある場合の洪水ピーク流量をそれぞれ計算した結果について明らかにされたい。
 2 最近の洪水における八ッ場ダムの治水効果
  最近三〇年間の洪水について八ッ場ダムがあった場合の八斗島地点での治水効果を計算したものがあれば、その計算結果について詳細に説明されたい。八ッ場ダムがあった場合の洪水ピーク流量と最高水位の計算結果、及び実際の洪水ピーク流量と最高水位の観測値、その発生年月日・時刻を明らかにされたい。また、その時の八ッ場ダム地点の最大流入量と最大放流量の計算結果、及びそれぞれの発生年月日・時刻も明らかにされたい。
 3 最近の洪水における八斗島以外での八ッ場ダムの治水効果
  八斗島地点以外で利根川における八ッ場ダムの治水効果を、最近三〇年間の洪水について計算したものがあれば、その計算結果について詳細に説明されたい。八ッ場ダムがあった場合の洪水ピーク流量と最高水位の計算結果、及び実際の洪水ピーク流量と最高水位の観測値、その発生年月日・時刻を明らかにされたい。また、その時の八ッ場ダム地点の最大流入量と最大放流量の計算結果、及びそれぞれの発生年月日・時刻も明らかにされたい。
三 八ッ場ダムの暫定水利権について
 八ッ場ダムにより開発される水の約六割は既に暫定水利権として取水されていると国土交通省は説明している。このことに関連して質問をする。
 1 八ッ場ダム暫定水利権の内容
  現在、八ッ場ダムの暫定水利権が許可されている利水者の名、暫定水利権の水量、非かんがい期と通年の区別を明らかにされたい。
 2 暫定水利権の開始時期
  前記の暫定水利権それぞれが最初に許可を受けた時期を明らかにされたい。なお、開始時期は八ッ場ダムの暫定水利権に限定したものではなく、暫定水利権としての許可を最初に受けた時期を示されたい。
 3 渇水時における八ッ場ダムの暫定水利権の取水制限
  前記1の各利水者の八ッ場ダム暫定水利権は一九九〇年代以降の渇水時において安定水利権とは異なる取水制限を受けたことがあるのか。安定水利権とは異なる取水制限を受けたことがあるならば、各暫定水利権について、その状況を明らかにされたい。
四 発電について
 1 八ッ場ダムに付設される水力発電所
  八ッ場ダムに付設される予定の水力発電所の最大発電力と年間発電見込み量を明らかにされたい。
 2 吾妻川の水力発電所
  吾妻川の東京電力鰍フ水力発電所のうち、八ッ場ダムの貯水が影響すると想定される川中、松谷、原町、箱島、金井、渋川発電所のそれぞれの最大発電力と最近一〇年間の年間平均発電量を明らかにされたい。
五 八ッ場ダム事業の便益計算について
 1 洪水調節の便益
  八ッ場ダムの洪水調節の便益は一九四七年のカスリーン台風洪水が再来した場合に利根川の氾濫で失われる資産を計算した結果から求められていると聞く。しかし、一方で、カスリーン台風再来時における利根川での八ッ場ダムの治水効果の計算結果はゼロに近いと聞く。カスリーン台風再来時の八ッ場ダムの治水効果を前提にした場合は、八ッ場ダムの洪水調節の便益がいくらになるのか。その計算結果を示されたい。また、八ッ場ダムがある場合とない場合の、八ッ場ダム下流域の洪水想定氾濫区域図とその計算根拠を示されたい。
 2 河川の水量確保に係る便益
  八ッ場ダムの建設により、吾妻渓谷の自然は大きなダメージを受けるにもかかわらず、八ッ場ダムによって逆に「吾妻渓谷に必要な水量を確保することによる景観改善の便益」が生まれるとされている。この便益の計算方法とその計算に用いた観光客数及びその観光客数の算出根拠を明らかにされたい。
 3 水力発電所の河川維持流量の義務付け
  吾妻渓谷の流量がたまに落ち込むことがあるのは、上流側にある東京電力鰍フ水力発電所の取水堰で全量取水がされているからである。しかし、最近は水力発電所の取水に関しては水利権の更新時に河川維持流量の放流が義務付けられるようになっているから、次回の水利権更新時期を過ぎれば、吾妻渓谷の流量は増加すると予想される。吾妻渓谷より上流で取水している川中発電所及び松谷発電所の水利権更新が何年度に行われるのかを明らかにされたい。

 右質問する。



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