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平成二十年十一月十三日提出
質問第二三九号

障害児施設に関する質問主意書

提出者  山井和則




障害児施設に関する質問主意書


 障害者自立支援法において、最も深刻な被害を受けているのは障害児であり、障害児施設に暮らす児童である。そもそも障害児に対して、「契約制度」はなじまない。このゆゆしき事態を打開するために、以下の質問を行い、政府の見解を問う。

一 児童養護施設と障害児施設の格差について
 @ 同じ児童福祉法に基づく施設でありながら、障害児施設だけに「親の責任、施設の判断」に子どもを委ねる契約制度が適用されている。子どもにとっては「家庭から離され施設入所」という処遇は同じにもかかわらず、障害のない子は児童養護施設のため、無条件で措置され、障害児は措置の三要件を満たす場合のみ措置される。これは法の下の不平等であると考えるがいかがか。
 A 児童施設で障害児施設のみ契約制度が導入された結果、障害者自立支援法上の日額制も、障害児施設だけに適用される。「一人親世帯の子どもが入院、親は仕事で施設職員が日夜病院付き添い」等のケースでも、日額制により子どもの入院中、施設報酬が減額されるケースが起きている。このような観点から、児童施設への日額制適用は問題であると考えるがいかがか。
 B 契約制度に伴う負担金を保護者が滞納するケースが、全国の障害児施設で起きている。負担金滞納は契約不履行、契約能力が欠如していたことを意味している。未収金の徴収は施設の責任なのか。障害児施設に契約制度を導入した国、保護者に契約能力ありと判断した都道府県に、未収金の補填等の責任はないのか。
二 児童福祉法上の「国・地方自治体の責務」について
 @ 障害児の措置・契約を決定する前に、児童相談所が行う家庭訪問等の実態調査は法的に義務付けられているのか。もし、義務付けられていないとすればなぜか。
 A @において、「契約」と判断した児童相談所の決定が適正か否かを検証する機関が、都道府県に設置されているのか。設置義務がないならばなぜなのか。
 B 措置児の場合、施設入所前も入所後も、継続的に児童相談所の福祉司が子ども本人や家族をケースワークしている。しかし、契約児には継続的ケースワークの義務がない。それはなぜか。子どもへの公的責任の放棄ではないのか。
 C 措置児と異なり、契約児が一時帰宅や退所する際、帰宅や退所は子どもの福祉に反する可能性があっても、施設側は保護者の希望を拒否できない。児童相談所に子どもの帰宅・退所が妥当か否か検証する義務があるのか。義務がないならばそれはなぜか。障害児のみ、児童相談所のケースワーク等がないのは、障害児に対する公的責任の放棄に当たると考えるがいかがか。
 D 一割負担のみならず、教育・医療・日常生活費も、全額公費の措置児に対し契約児は自己負担する。これは、家庭から分離された子に適切な教育・医療・生活を保障することを放棄し、児童福祉法違反に当たるのではないか。また、一割負担についても、障害児支援は可能な限り無償であるべきで、障害児は障害のない子に比べ特別な配慮が必要と定めた「子どもの権利条約」違反ではないのか。
 E 特別児童扶養手当は施設入所と同時に打ち切られる。契約児は施設入所後も教育・医療・日常生活費を自己負担するにもかかわらず、手当打ち切りのみ措置児と「平等」に適用するのは、不平等であると考えるがいかがか。
 F 施設内事故、施設内虐待が起きた際、措置児は都道府県の責任が過去の判例で認定されている。契約児がこうした施設内事故・虐待に遭った場合の責任は、施設のみが負うのか。もしくは都道府県も措置児の場合と等しく負うのか。
三 障害児への契約制度導入の影響
 @ すべての障害児施設を対象にした、都道府県別の措置率・契約率の調査データ、すべての障害児施設を対象にした、不適切な契約制度の適用事例について聞き取り・アンケート調査データ、すべての障害児施設を対象にした、自立支援法施行後に経済的理由で施設利用をやめた契約児数の調査データ。これら三つのデータはそれぞれあるのか。また、調査データがないならば、それぞれ調査する予定はあるのか。
 A すべての障害児施設を対象にした、自立支援法施行後に「一割負担・医療・教育費・日常生活費など施設負担」を、「一〜三カ月未満」「三カ月以上」滞納しているケースについて、それぞれの滞納総額、滞納世帯の児童数等、滞納について調査データはあるのか。ないならば、調査する予定はあるのか。
 B 措置児の場合、契約児と異なり応能負担の措置費を都道府県に支払うが、保護者が滞納しても子どもは施設利用を継続できる。都道府県別の措置費の滞納率・滞納金額はいくらか。
 C 契約制度導入により、障害児にとってはどのような影響があったのか。また、その影響について、どのような調査を行ったのか。契約制度導入は、良かったと評価しているのか、悪かったと評価しているのか。
 D 契約制度導入により、障害児にとって、どのような良い影響があったのか。また、どのような悪い影響があったのか。
四 知的・精神障害者の成年後見人の普及率は何%か。

 右質問する。



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