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平成二十一年一月二十三日提出
質問第五三号

裁判員制度について国民が抱いている疑問点に対する政府の認識に関する質問主意書

提出者  鈴木宗男




裁判員制度について国民が抱いている疑問点に対する政府の認識に関する質問主意書


 裁判員の参加する刑事裁判に関する法律に基づき、本年五月二十一日より、重大な刑事事件の裁判に一般国民が参加するいわゆる裁判員制度が始まることとなっている。右と「政府答弁書」(内閣衆質一七〇第一六一号)を踏まえ、質問する。

一 裁判員制度は、国民にとって出廷を課される義務、または、我が国の司法制度の改革に参画できる権利のどちらに該当するか。政府の見解如何。
二 国民はいかなる場合に裁判員としての出廷を免れるのか説明されたい。
三 例えば中小零細企業の経営者、主力社員等、その人物が業務から外れることで企業側が多大な不利益を被ることが考えられる時、それを理由に裁判員としての出廷を辞退することは認められるか。
四 三で、業務の繁忙、企業経営への影響を理由とした出廷辞退が認められないのなら、裁判員として出廷することで生じうる不利益の補填はどの様になされるべきであると政府は認識しているか。
五 裁判員は任意の選出を受けた国民から構成されると承知するが、どの様な立場、職業に就いている国民が裁判員の抽選対象から除外されるのか、裁判員の除外要件について説明されたい。
六 例えば暴力団の構成員等、いわゆる反社会的組織に属している人物が、裁判員として任意の選出を受けることはあり得るか。
七 六で、あり得るのなら、それは適切か。昨年十月十日に閣議決定された政府答弁書(内閣衆質一七〇第五九号)で政府は、裁判員制度について「裁判員制度は、国民の感覚を裁判の内容に反映させ、司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上を図るために導入されるものである。」と述べているが、暴力団の構成員等、いわゆる反社会的組織に属している人物が裁判員として出廷し、司法に対する信頼の向上を図ることが出来るのか。政府の見解如何。
八 全国の裁判所の改装や裁判員制度推進のためのフォーラム等の開催や広告の掲載等、同制度の実施に当たり政府が追加的に要した費用はいくらか。それぞれの支出項目等とあわせて全て明らかにされたい。
九 裁判員制度は、七で触れた所期の目的を達成し、我が国の司法の改革として八の費用に見合うだけの効果を得られるか。政府の見解如何。
十 日本国憲法第十九条に「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」とある。例えば、人を裁くことはしたくない、死刑判決に関することに抵抗があるとの考えを有する人物が裁判員として選出され、その後正式に裁判員に選任された場合、当該個人の思想の自由を侵し、日本国憲法に違反するおそれがあるのではないか。政府の見解如何。
十一 第二次世界大戦時、国民に兵役を課すべく召集令状が出されたが、裁判員としての出廷を国民に課すことは、現代におけるかつての召集令状に該当するのではないか。政府の見解如何。
十二 これまでの答弁書(内閣衆質一七〇第五九号、一六一号)で政府は「最近の意識調査の結果によれば、九割以上の方が裁判員制度について知っていると答え、六割以上の方が裁判員として裁判に参加するとの意向を示すに至っている。したがって、裁判員制度に対する国民の理解は、相当程度深まっているものと認識しており、現段階において、裁判員法を見直し、又はその施行を延期する必要があるとは考えていない。」、「平成二十年一月から二月にかけて最高裁判所が実施した『裁判員制度に関する意識調査』の結果によれば、九十・一パーセントの方が『裁判員制度がもうすぐ始まる』ことを知っていると答えたほか、八十七・七パーセントの方が『裁判員制度は、国民が裁判員として重大な刑事裁判に参加し、裁判官と一緒になって、有罪・無罪の判断や刑の内容(重さ)を決める制度である』ことを知っていると答え、八十二・〇パーセントの方が『選挙権のある人(有権者)であれば、原則として、誰でも裁判員に選ばれる可能性がある』ことを知っていると答えている。また、同意識調査の結果によれば、裁判員として刑事裁判に『参加したい』、『参加してもよい』、『あまり参加したくないが、義務であれば参加せざるを得ない』と答えた方の合計が六十・三パーセントに達しており、六割以上の方が裁判員として裁判に参加するとの意向を示すに至っている。」と答弁しているが、右は、過半数の国民が、裁判員制度が義務である以上、選出された場合は出廷しなければならないという意向を示しているだけであって、同制度の意義を十分に理解し、裁判員としての出廷に意欲を持っていることを示しているものではない。本年一月九日付の朝日新聞世論調査では、裁判員制度への参加について「絶対したくない」とする意見が約二十六%、「できればしたくない」とする意見が約五十%という結果が出ていることに見られる様に、国民の多数は裁判員制度に極めて消極的な考えを持っているのが現状であると考える。それでも政府として、裁判員制度実施を延期する、または同制度に対する国民の理解が十分に深まるまでその実施を無期限に停止する考えはないのか。政府の見解如何。

 右質問する。



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