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平成二十一年二月二日提出
質問第七八号

ビザなし交流における出入国カード提出に係る外務省の認識等に関する質問主意書

提出者  鈴木宗男




ビザなし交流における出入国カード提出に係る外務省の認識等に関する質問主意書


 北方領土に居住するロシア系住民へ支援物資を届けるべく、本年一月二十七日に根室港を出港した支援物資船(以下、「支援物資船」という。)が、国後島到着後、ロシア側から出入国カードの提出を求められた結果、同月二十八日、外務省として「支援物資船」の国後島への上陸を断念し、根室港に引き返すという一幕があった。右を踏まえ、質問する。

一 ビザなし交流に参加した邦人が北方領土に入域する際の手続きとして、ロシア側にどの様な書類を提出する必要があるのか、詳細に説明されたい。
二 ビザなし交流に参加し、北方領土に入域する際、「北方四島訪問団員参加票」という書類を提出することが求められると承知する。それには、たばこや現金、アルコール類、他にカメラ等の貴重品をそれぞれどれだけ持ち込むか、また円をルーブルに両替するか否かを記入することが義務づけられると承知するが、我が国固有の領土である北方領土に入域する際に、右の税関申告の様な、あたかもロシアの管轄権に服するかの様な手続きをとらなくてはいけないのはなぜか。
三 今回「支援物資船」が国後島への上陸を断念する原因となった、ロシア側が提出を求めてきた出入国カードとは具体的にどの様なものか、外務省は把握しているか。
四 我が国だけに限らず、ロシア側が外国人に対して出入国カードの提出を求める動きは、昨年から見られていたと承知するが、出入国カード提出の要求をはじめ、今回ロシア側が自国に出入りする外国人の管理を厳格化している背景にはどの様な要因があるか。外務省の認識を示されたい。
五 ビザなし交流に際してロシア側へ出入国カードを提出することは、ロシアの管轄権に服し、北方領土はロシアの領土であると我が国として認めることになるか。外務省の見解如何。
六 五で、ロシアの管轄権に服し、北方領土はロシアの領土であると我が国として認めることになると外務省が認識しているのなら、その根拠は何か説明されたい。
七 例えば、二で述べた様に、現在のビザなし交流の枠組みの中でも、「北方四島訪問団員参加票」の中における税関申告や、他には外務省は過去の政府答弁書(内閣衆質一六四第二七七号)で「御指摘の訪問団に対して御指摘の書類が配布されたとの事実があるとは承知していない。」と、その事実を明確に認めてはいないが、当方が二〇〇六年五月十九日から二十二日の間に行われたビザなし交流で色丹島を訪問する際、「ご存じですか〈海外から北海道への植物の持ち込みと植物検疫〉」と題し、「海外から植物を持ち込む場合、すべて植物検疫が必要です。必ず植物検疫の検査をお受け下さい。」と記された書類が配布され、訪問団に対して植物検疫についての注意喚起がなされた様に、ロシアの北方領土における管轄権を事実上認める手続きが既になされていると承知する。また、北方領土については、ゴルバチョフ、エリツィン、プーチン、メドベージェフの各ロシア大統領との首脳会談等において、日ロ間の係争地域であることが確認され、日ロ間の公式な外交文書にもなっている。ビザなし交流において、仮に邦人がパスポートの提示やビザの取得を求められる様なことがあれば、それこそ制度の根幹が崩れることになる。しかし、右に鑑みれば、今回ロシア側から新たに出入国カードの提出を求められたとしても、それはあくまで事務的な話であり、ビザなし交流の意義や制度の根幹が崩れ、ましてや北方領土がロシア領であることが決定し、北方領土交渉が終結してしまうことには決してならないと考えるが、外務省の見解如何。
八 今回「支援物資船」が国後島に上陸できず、根室港に引き返してから、出入国カード提出を巡り、現在まで日ロ間でどの様な交渉、協議がなされているのか説明されたい。
九 出入国カードの提出を求めるロシア側の動きは、昨年十月より既に見られていたが、外務省として何ら事前に対応をしてこなかったことは、これまでの質問主意書で既に指摘したところである。自らの不作為を棚に上げ、事がここまで大きくなってから、これまでの日ロ首脳間の合意、またビザなし交流において実際にとられている手続き等を顧みることなく、「支援物資船」を引き上げ、今になってロシア側による出入国カード提出の要求を批判する外務省のやり方は、我が国の国益を著しく損なう、最低の外交手段ではないか。中曽根弘文外務大臣の見解如何。

 右質問する。



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