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平成二十一年四月一日提出
質問第二六五号

いわゆる「国策捜査」に対する森英介法務大臣の見解に関する再質問主意書

提出者  鈴木宗男




いわゆる「国策捜査」に対する森英介法務大臣の見解に関する再質問主意書


 本年三月三日、民主党小沢一郎代表が政治資金規正法に違反する形で西松建設より献金を受けていたとして、小沢代表の資金管理団体の会計責任者である公設第一秘書が逮捕された。森英介法務大臣は同月十一日の衆議院法務委員会において、右の事件に関連し、民主党幹部が「国策捜査」である等、批判していることについて「個別の事件捜査や処理について検察を指揮することは毛頭考えていない」、「国策捜査は法令上の用語ではなく、あいまいな表現で様々な発言がされていることは心外だ。検察当局が何らかの意図を持って捜査することはありえない」旨発言していると承知する。右と「前回答弁書」(内閣衆質一七一第二四〇号)を踏まえ、再質問する。

一 「前回答弁書」では、「一般論として申し上げれば、検察当局は、常に法と証拠に基づき、厳正公平・不偏不党を旨として、適切に事件を処理しているものと承知している。」との答弁がなされているが、右は森大臣本人による答弁か。
二 森大臣が一の答弁にある様に、検察の捜査の在り方が常に法と証拠に基づいた、厳正公平・不偏不党で適切なものであると認識している具体的根拠を示されたい。
三 平成十四年六月に逮捕された当方を取り調べた、当時の谷川宏太東京地方検察庁特別捜査部副部長は、取り調べの際、「世論に押されてやりましたが、マスコミに出たもので何ひとつ事件にすることができませんでした。しかし、それが捜査というものです」との旨話していた。また、「始めから鈴木ありきの国策捜査ではないか」との当方の問いに対して、「権力を背景にしてやっておりますので、そう受け止められればその通りです」との旨答えていた。右の谷川氏の発言を記録した文書はないが、当方の記憶から、谷川氏がこの様な発言をしたことは確かな事実であるところ、前回質問主意書で、谷川氏に直接確認を行った上で右の発言に対する森大臣の見解を明らかにすることを求めたが、「前回答弁書」では何の答弁もなされていない。右の当方の問いについて、検察庁として谷川氏に確認を行っているか。
四 三で、行っていないのなら、それはなぜか。
五 前回質問主意書で、本年三月二十一日付の毎日新聞夕刊一面に掲載されている、「西松献金事件 捜査大詰め 世論次第の『国策』批判」との見出しの記事(以下、「毎日記事一」という。)に「にわかに『国策捜査』が注目されるようになったのは、鈴木宗男衆院議員の『側近』で外務省休職中の佐藤優・元主任分析官の著書『国家の罠』(〇五年発刊)によるところが大きい。その中で、担当検事は『これは鈴木宗男を狙った国策捜査』と告げたとされる。当時の検察幹部によると、実際にこうしたやりとりがあったという。
 鈴木議員は〇二年、いわゆるムネオハウス問題が浮上して証人喚問などで『疑惑のデパート』と呼ばれた。当時の検察幹部は『国会であれだけ騒ぎになって検察が知らないふりはできない』と振り返る。佐藤元分析官は国策捜査を『国家が「自己保存の本能」に基づいて(中略)初めから特定の人物を断罪することを想定した上で捜査が始まる』と定義。」との記述があることに触れ、右記述にある様に、検察として、ある事案に関する世論のあり方を、捜査に踏み切る判断基準にするという事実はあるかと問うたところ、一の答弁がなされている。検察として、一般にある事案の捜査に踏み切る際、それに係る世論のあり方を考慮することは一切ないのか。
六 例えば、三で挙げた当方と谷川氏とのやり取りについては、二〇〇六年一月一日に講談社より発行された拙著『闇権力の執行人』の三百八頁に書かれており、既に広く世間に広まっているものと思料する。更に、二〇〇五年三月二十五日に新潮社より発行された、起訴休職外務事務官の佐藤優氏の著書『国家の罠』の二百八十七頁から二百八十八頁にかけて、
 「これは国策捜査なんだから。あなたが捕まった理由は簡単。あなたと鈴木宗男をつなげる事件を作るため。国策捜査は『時代のけじめ』をつけるために必要なんです。時代を転換するために、何か象徴的な事件を作り出して、それを断罪するのです」
 「見事僕はそれに当たってしまったわけだ」
 「そういうこと。運が悪かったとしかいえない」
 「しかし、僕が悪運を引き寄せた面もある。今まで、普通に行われてきた、否、それよりも評価、奨励されてきた価値が、ある時点から逆転するわけか」
 「そういうこと。評価の基準が変わるんだ。何かハードルが下がってくるんだ」
 「僕からすると、事後法で裁かれている感じがする」
 「しかし、法律はもともとある。その適用基準が変わってくるんだ。特に政治家に対する国策捜査は近年驚くほどハードルが下がってきているんだ。一昔前ならば、鈴木さんが貰った数百万円程度なんか誰も問題にしなかった。しかし、特捜の僕たちも驚くほどのスピードで、ハードルが下がっていくんだ。今や政治家に対しての適用基準の方が一般国民に対してよりも厳しくなっている。時代の変化としか言えない」
 「一般国民の目線で判断するならば、それは結局、ワイドショーと週刊誌の論調で事件ができていくことになるよ」
 「そういうことなのだと思う。それが今の日本の現実なんだよ」
と、佐藤氏と西村検事とのやり取りが鮮明に記述されている。佐藤氏の著書は多くの読者を獲得しており、一の答弁にある様に、検察庁として、ある刑事事件を「常に法と証拠に基づき、厳正公平・不偏不党を旨として、適切に事件を処理している」ものとは言えないという印象を多くの国民は抱いていると考えるが、右につき森大臣はどの様な見解を有しているか。
七 前回質問主意書で、本年三月二十二日付の毎日新聞二十九面に、「『西松』献金 総選挙前の立件 検察OBも『なぜ?』 以前は影響に配慮 『金額も軽微』指摘」との見出しの記事(以下、「毎日記事二」という。)に「特捜部の捜査は、選挙への影響を極力避けてきた歴史がある。典型的なのが〇〇年六月の中尾栄一元建設相の事件。六月二十五日の衆院選投開票日を待ち、五日後の同月三十日に受託収賄容疑で逮捕した。」との記述があることに触れ、警察庁、特に東京地検特捜部として、これまである刑事事件が衆議院議員総選挙に与える影響を考慮し、選挙前の捜査を避けてきたという事実はあるかと問うたところ、一の答弁がなされている。検察として、一般にある事案に対する捜査が行われた場合、それが衆議院議員総選挙に影響を及ぼすことをおそれ、選挙前には捜査を行うことを差し控えるということは一切ないのか。再度明確な答弁を求める。
八 五と七で、検察としてその様なことは一切なく、一の答弁にある様にあくまで「常に法と証拠に基づき、厳正公平・不偏不党を旨として、適切に事件を処理している」のならば、「毎日記事一」及び「毎日記事二」、更には六で触れた『闇権力の執行人』並びに『国家の罠』の内容は真実を反映していない、適切さを欠くものであることになるが、森大臣の見解如何。
九 検察庁、または法務省として、「毎日記事一」及び「毎日記事二」、更には六で触れた『闇権力の執行人』並びに『国家の罠』の内容が真実を反映していないことにつき、毎日新聞社、講談社並びに新潮社に対して何らかの意見を伝えているか。
十 九で、伝えているのなら、いつ、誰がどの様にして、毎日新聞社、講談社並びに新潮社側の誰に対してどの様な意見を伝えたのか、詳細に説明されたい。
十一 九で、伝えていないのなら、それはなぜか説明されたい。

 右質問する。



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