質問本文情報
平成二十一年四月二十七日提出質問第三四二号
国連女性差別撤廃委員会への第六回政府報告に関する質問主意書
提出者 石井郁子
国連女性差別撤廃委員会への第六回政府報告に関する質問主意書
政府が国連女性差別撤廃委員会に提出した第六回政府報告（二〇〇八年四月）は、男女雇用機会均等法、パートタイム労働法、育児介護休業法、ＤＶ防止法の改正などを列挙している。しかし現実には、賃金差別、昇進・昇格差別、パートなど非正規労働者差別、妊娠・出産による解雇・退職干渉などが横行している。妊娠・出産によって七割の女性が仕事をやめており、子育てを母親と父親の責任とする社会にはほど遠い現状が続いている。
二〇〇三年の国連女性差別撤廃委員会からの第四回・第五回政府報告への最終コメントでは、調査や法整備などを評価する一方で、多岐にわたる懸念・要請・勧告がのべられている。コース別雇用やパート・派遣の賃金格差への懸念、家庭と職業上の責任を両立させるための対策強化、民法上の差別規定の廃止、意思決定機関への女性の参画の遅れなど、社会の根本にかかわるものである。
以下、第六回政府報告について、この前回の国連女性差別撤廃委員会の最終コメントにもかかわって、質問をする。
（一）均等法改定で禁止された間接差別に関する都道府県別、年度別の申告数と申告内容、是正結果と是正内容、（二）有期雇用労働者の育児休業取得に関する不利益取扱による退職、解雇件数。妊娠した有期雇用労働者のうち、育児休業を取得して働き続けている人数、（三）あわせて二〇〇七年改定のパートタイム労働法による差別禁止規定にもとづく申告数と申告内容、是正結果と是正内容、（四）これらを行政指導する都道府県雇用均等室のこの十年の年度別の人員数と予算。
二 第六回政府報告は、家族に関する法律の整備について、「世論調査等により国民意識の動向を把握しつつ」、婚姻最低年齢、再婚禁止期間の短縮、離婚制度の改正の是非とあわせ「選択的夫婦別氏制度について、国民の議論が深まるよう引き続き努めている」としている。
政府報告の第一部総論「一、序論」は、「第四回及び第五回報告に対する女子差別撤廃委員会の最終コメントに留意する」としているが、民法について、前回の最終コメントは「依然として存在する差別的な法規定を廃止し、法や行政上の措置を条約に沿ったものにすることを要請する」としていた。留意した点はなにか、明らかにされたい。
三 女子差別撤廃条約の選択議定書の批准について、前回報告では、司法の独立などを批准にいたらない理由としていたが、今回報告は、現在検討中である、として批准にいたらない理由を記していない。
二〇〇九年四月に政府が公表した「第六回報告審査に関する女子差別撤廃委員会からの質問事項に対する回答」によれば、「平成十一年十二月以降、外務省の主催により、外務省及び法務省の関係部局等が参加する研究会を実施し、個別具体的な事案等も見つつ研究を続けてきたが、平成十七年十二月には同研究会を改組し、関係省庁に広く呼びかけた『個人通報制度関係省庁研究会』を立ち上げ、検討を継続している」としている。
（一）個人通報制度関係省庁研究会に参加している省庁名とメンバー、（二）平成十一年十二月以降、検討してきたテーマと具体的な内容、今後、検討を必要としているテーマ、（三）いつまでに結論を出そうとしているのか、を明らかにされたい。
四 国連女性差別撤廃委員会の最終コメントは、条約をはじめ、選択議定書、委員会の一般的勧告、北京宣言および行動綱領、第二十三回国連特別総会の成果、政府報告への委員会勧告などを女性団体や人権組織、市民社会に広報し続けることを要請している。
二〇〇四年、わが党参議院議員の質問主意書にたいして、これまで国民への周知・広報をしていなかった二十五の一般勧告を今後は内閣府男女共同参画局ホームページに掲載する等、国民への周知・広報に努めたい旨の回答があった。
以下、（一）それ以外に国連女性差別撤廃委員会の前回の勧告後、条約・勧告などの周知・広報のためにおこなった改善措置（時期、その内容）、（二）周知・広報のための体制（人員規模と予算措置）、（三）今後の改善計画、を明らかにされたい。
右質問する。