衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十一年六月十九日提出
質問第五六九号

国連憲章の旧敵国条項(第五十三条、第百七条)に関する質問主意書

提出者  岩國哲人




国連憲章の旧敵国条項(第五十三条、第百七条)に関する質問主意書


 国連憲章第五十三条、第百七条(以下、旧敵国条項)は、旧敵国の全てが国際連合に加盟して半世紀が経過した現在、一般的には、事実上死文化した条項と認識されているとされる。
 日本はドイツとともに、一九九五年の国連総会において、旧敵国条項を憲章から削除する決議案を提出し、賛成多数によって採択された。もっとも、実際に削除されるためには、憲章の改正手続が必要であり、憲章は国際条約に該当するため各国における批准を要する。
 批准は、署名の後に、各国の国会あるいは議会の承認を得る等の所定の国内手続により条約に同意することの確認を行い、批准書が作成される。
 署名した条約を国家が批准するかどうかは、信義上の問題は別として、法的には各国の自由である。
 国連総会特別首脳会合で二〇〇五年九月十六日採択された「成果文書」においては、第二次世界大戦の敗戦国である日本などが現在も国連憲章で「敵国」と規定されている旧敵国条項について「『敵国』への言及の削除を決意する」と明記された。
 成果文書の英文において使用された「resolve to」は、総会の機関決定を意味する「decide to」と異なり、削除を望む国が現行の国連憲章を改正する決議案を総会に提出し、国連加盟国の三分の二(一二八ヵ国)以上の支持を得て採択、批准されて初めて削除が実現する。
 当時、安全保障理事会の常任理事国入りを目指す日本政府は、安保理改革と併せて憲章改正を必要とする旧敵国条項の削除を求める方針であったが、安保理改革と切り離した形での削除を求めない背景としては、旧敵国条項が一九九五年の総会決議で「時代遅れ」と明記され、事実上死文化していることに加え「単独で削除を求めた途端、日本は常任理事国入りをあきらめたと言われる」(佐藤行雄・元国連大使)との考えを持っているとの報道もなされた。
 こうした状況のもと、一九九五年から十四年を経た今日において、同採択を批准した国は効力発生に必要な数には及ばず、旧敵国条項は依然として削除されていない。
 これに関連して以下質問する。

一 二〇〇一年七月発行の外務省パンフレット「日本と国連」によると、日本・ドイツ・イタリアは共に旧敵国条項削除の協議を行っている旨の記載がある。
 さらに、二〇〇六年四月六日の参議院外交防衛委員会において、麻生外相(当時)は、「敵国条項につきましては、一九九五年、今から約十一年前になりますけれども、そのときのいわゆる国連の総会で死文化、死んだ文章、既に死文化しているとの認識を示す決議案というものが圧倒的多数の賛成で既に可決をされておりますんで、死文化したというのはもう現実であります。
 ただ、昨年の九月のあの国連、あれは首脳会合だったと記憶しますが、成果文書におきましても、この条項において敵国への言及を削除するとの決意というものがなされております。ただ、今おっしゃいますように、これを正式な文章から削除するためには加盟国の三分の二の批准というものが必要とされておりますんで、これは安保理改革を含む話とちょうど関連をするところでもありますので、敵国条項の削除については今後とも求めていくのは当然のこととして、今現実問題として死文化されておるというところまで、日本、ドイツ、いろいろ努力をした結果というものは既に十一年前にでき上がっておるところではございます。」と答弁されている。
 この点、右答弁以降、旧敵国とされる国々と協議等を行った実績はあるか。
二 署名した憲章を各国が批准するか否かは、各国の議会に決定権限がある以上、あくまでも任意の協力を求めるという形ではあるが、憲章に署名はしたものの批准をしていない国々に対し、働きかけをしているか。
三 本年六月現在においても、政府は国連安全保障理事会改革と併せる形で旧敵国条項の削除を求めてゆく方針であるか。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.