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平成二十一年十二月一日提出
質問第一三六号

鳩山内閣を支える官僚の在り方に関する質問主意書

提出者  高市早苗




鳩山内閣を支える官僚の在り方に関する質問主意書


 鳩山内閣総理大臣が代表を務める民主党は、野党であった時期には、殊更に国民のジェラシーを煽る手法で激しい「官僚叩き」を行ってきた。政権に就いた現在も、政務三役主導で組替えを行ったはずの来年度予算概算要求に係る事業仕分けにおいては、責任者である政務三役が要求した予算項目の必要性を説明する「説明者」の役割は官僚に押し付けて仕分け人(評価者)が官僚を叩く様を傍観したり、国家公務員宿舎建設計画の見直しを評決させるなど、「国民の支持率を上げるために官僚を叩く」という基本姿勢には変化がない。
 官僚は、鳩山内閣が目指す政策を実現するための重要な人的資源であり、その専門知識や実務能力を活用することは勿論、時には政策の企画立案においても、彼らの実務経験や国内外での勤務経験に基づいた知恵を活用することが大切であると考える。
 「脱・官僚主義」「政治主導」という主張については、聞こえはいいものの、如何に大臣、副大臣、大臣政務官が優秀であっても、彼らだけで行政運営を行うことは不可能であり、官僚のしっかりとした下支えがあってこそ、政務三役が立派に仕事をこなすことができるのである。
 昨今では、多くの官僚が、鳩山内閣発足後は「閉塞感がある」と感じている旨を語っており、士気の低下も著しいことを実感する。また、国際交渉等の現場で日本の官僚の優秀さを恐れていた海外の官僚が、日本の現状を喜んでいるという報道もなされている。
 このままでは、霞ヶ関からの人材流出は避けられず、優秀な新規人材も集まらなくなるのは必定である。
 右の点を踏まえ、次の事項について質問する。

一 官僚の残業等について
 @ 鳩山内閣は、「脱・官僚主義」「政治主導」を標榜しながらも、私が今国会に提出した、「官僚による首相答弁資料作成と鳩山政権の『脱・官僚依存』の考え方に関する質問主意書」に対する答弁書においては、「官僚による国会答弁資料作成を認める」旨の答弁をされた。民主党が野党であった折には、原口総務大臣をはじめとする民主党議員が「大臣の答弁資料を官僚が作成することによって、官僚の残業が発生している」という問題点を批判していたが、鳩山内閣では、多くの官僚に深夜に至るまでの残業を強いる現状となっている。この点について、鳩山内閣総理大臣の見解を伺う。
 A 国会審議前日の「質問取り」や「質問主意書に対する答弁書作成」についても、鳩山内閣は官僚に頼っており、「脱・官僚主義」とは程遠い現状である。「脱・官僚主義」とともに、「政治家同士の国会討論」をアピールしていたはずだが、何故、「質問取り」や「質問主意書に対する答弁書作成」を政務三役の仕事としていないのか、理由を伺う。
 B 私が閣僚を務めていた時には、現在は閣内におられる民主党議員から、夜間になってから翌日を提出期限とする大量の資料請求がなされたり、深夜になってから翌日の質問通告をされたりしたことが度々あった。これらの行為によって、官僚たちが、深夜や翌朝までの残業を強いられていたことを記憶している。政権に就かれた現在、野党だった時期の民主党議員のこれらの行為は不適切なものだったと考えるか。
 C 民主党が野党だった当時、長妻厚生労働大臣が、いわゆる「居酒屋タクシー問題」を取り上げ、各省庁では、タクシー券の使用を禁止・制限するなどの措置がとられた。長妻厚生労働大臣は、自らが府省に対して行った膨大な資料要求によって、最終電車に間に合わない時間帯まで官僚が残業をせざるを得なかったとは考えないか。また、長妻厚生労働大臣の親族に、当時、各府省の利用対象外であったタクシー運転者がおられたかどうかについても伺う。
 D 鳩山内閣総理大臣は、官僚の残業を減らすべきだと考えるか。
 E 官僚の残業を減らすべきだとすると、そのために、与野党の国会議員が各府省に対して行う資料請求や、その他の行為について、配慮して欲しいと考えることがあれば、具体的に示されたい。
 F 官僚の残業を減らすべきだとすると、そのために、政務三役が配慮すべきことは何か。
二 国家公務員宿舎について
 @ 国家公務員宿舎を東京都区内から郊外に移転することによって、官僚がやむを得ない残業によって帰宅にタクシーを使用する場合の運賃が高くなる上、災害等の緊急時における実務的対応に遅れが出るものと考えられるが、鳩山内閣総理大臣は、国家公務員宿舎は東京都区内にあるべきではないと考えるか。また、その理由は何か。
 A 平成二十一年十一月二十日の事業仕分けでは、「国家公務員宿舎の建設」について「見直し」の結論が出た。鳩山内閣総理大臣は、この事業仕分けの結果を尊重するべきだと考えるか。その理由は何か。
 B 仮に、鳩山内閣が国家公務員宿舎の建設を見直すべきだと考えているとすると、鳩山内閣総理大臣は、国会議員の宿舎は必要だと考えるか。その理由は何か。
 C 仮に、国会議員の宿舎は必要であると考えるならば、事業仕分けで国家公務員宿舎を見直しの対象とした理由との整合性をどう考えるのか。
 D 仮に、国会議員の宿舎は必要ないと考えるのであれば、既に議員宿舎に入居されている政権与党の多数の国会議員に対しては、退去を依頼するのか。しないとすると、その理由は何か。
三 官僚の存在意義について
 @ 鳩山政権は、「脱・官僚主義」「政治主導」を掲げ、政策決定は政務三役が行い、官僚は、政務三役が行った決定を執行するものとしている。鳩山内閣総理大臣は、官僚は、単に「執行事務を行うべき存在」だと考えているか。
 A 前問について、そうではないとすれば、官僚は、政策決定にどの程度関わることができると考えるのか。政務三役と官僚の役割分担について、具体的に答弁されたい。
 B 民主党マニフェストでは、「国家公務員の総人件費の二割削減」がうたわれている。官僚にとっては、鳩山内閣の閣僚等の国会答弁資料作成により長時間残業を強いられる一方、政策決定には参画できず、政務三役主導で組み替えたはずの来年度予算概算要求に係る事業仕分けでは「説明者」役を押し付けられ、給与も大幅に減額され、公務員宿舎まで取り上げられる可能性が出てきたことになる。私は、鳩山内閣の手法では、官僚の人材流出や良い人材が集まらなくなる懸念が生じると考えるが、鳩山内閣総理大臣の見解を伺う。
 C 鳩山内閣総理大臣は、官僚の士気を高め、優秀な人材を確保するためには、具体的にどのような措置が必要であると考えているのか。

 右質問する。



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