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平成二十二年一月十八日提出
質問第一号

学術文化遺産の戦後処理問題解決に関する質問主意書

提出者  吉井英勝




学術文化遺産の戦後処理問題解決に関する質問主意書


 エジプト政府は大英博物館所蔵のロゼッタストーンや、ベルリン博物館所有の古代エジプト王妃・ネフェルティティの胸像をはじめ、盗難や略奪によって国外に持ち出された文化財返還を求める国際会議を四月にカイロで開催することを決め、返還を求める文化財のリスト作成を進めているという。
 わが国においても、戦前に植民地支配をしていた諸国・諸地域から正当な手続きを経ずに持ち帰った貴重な文化財が数多くあるといわれている。たとえば、一八九五年、日本の軍人らに殺害された朝鮮国王妃・閔妃の国葬などを記録した「朝鮮王室儀軌」は、宮内庁が所蔵している。韓国側は返還を求めているが、いまだ実現していない。これ以外のものを含めその実態を解明することはもちろんだが、公開や返還を進めることは、学術文化分野における戦後処理問題の解決につながるものと考える。同時にこの問題の解決は、植民地支配や侵略の誤りと責任を認める上で欠かせないことと考える。
 よって、次のとおり質問する。

(一) ピテカントロプスより後に現れた原人(ソロ原人)の頭蓋骨化石が、インドネシアを占領した日本軍によって「天長節のお祝いに天皇に献上するため」持ち出された。戦争の混乱によって行方不明だったが、戦後、オランダ国籍の人類学者の依頼を受けたGHQの調査により、京都帝室博物館(現・京都国立博物館)で埃をかぶって放置されていたのが見つかった。その後アメリカ、オランダ、ドイツの博物館を経てインドネシアに戻されている。
 こうした人類史上の貴重な化石だけでなく、各国それぞれの歴史究明に重要な意味をもつ学術資料や文化財の流失が多数にのぼっているが、日本の植民地政策や侵略支配のもとで中国(台湾をふくむ)、朝鮮、ベトナム、カンボジア、ラオス、フィリピン、インドネシア、タイ、ミャンマー、マレーシアなどの各国からわが国に持ち込まれた文化財は、それぞれの国別に何点あるか。そのうち、返還したものは何点で、未返還のものは何点あるのか。
(二) 現在、各国から持ち出された文化財は、日本の博物館、大学、宮内庁等の施設で何点所有されているのか。国別、所有施設別に答えられたい。
(三) (二)の調査が仮に行われていないとすれば、その理由はなぜか。
 実態の把握は、市民団体や民間の力だけでは達成できない。植民地支配と侵略の責任は政府が負うべきものであり、実態の把握は政府が行うべきものである。すみやかに調査を実施すべきではないか。
(四) 現在、それぞれの国から返還要求や請求が出ているものは何点あるのか。
(五) 返還要求や請求が行われた際、どのような手続きで返還を進めるのか。戦後の各国との賠償交渉等でいちおうの決着をすませた形になっているものでも、道義的に要求や請求があれば返還すべきものと考えるが、政府はどういう立場で臨むのか。
(六) 反対に、第二次大戦後の占領下の日本から、占領軍に持ち出された文化財や学術資料は何点あるのか。その中で返還されたものは何点で、未返還のものは何点か。占領軍の国別に明らかにされたい。
(七) 政府は日本から持ち出された未返還の文化財返還をどのように進めるのか。

 右質問する。



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