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平成二十二年二月十九日提出
質問第一五一号

東京地方検察庁による事情聴取のあり方について報じた週刊誌記事に対する同庁の抗議に関する再質問主意書

提出者  鈴木宗男




東京地方検察庁による事情聴取のあり方について報じた週刊誌記事に対する同庁の抗議に関する再質問主意書


 週刊朝日二月十二日発売号の二十二頁から二十四頁にかけて、「暴走検察 子ども人質≠ノ 女性秘書『恫喝』十時間」との見出しの、ジャーナリストの上杉隆氏による論文(以下、「上杉論文一」という。)が掲載されている。右に対し本年二月三日、東京地方検察庁の谷川恒太次席検事は、「上杉論文一」は事実でないとする抗議文(以下、「抗議文」という。)を週刊朝日の山口一臣編集長に出している。また「抗議文」に関し、週刊朝日二月十九日発売号の二十一頁から二十三頁にかけて、「暴走検察の果て 東京地検の『抗議』に抗議する」との見出しの、「抗議文」に対して上杉氏が抗議する内容の論文(以下、「上杉論文二」という。)が掲載されている。右と「前回答弁書」(内閣衆質一七四第九七号)を踏まえ、再質問する。

一 前回質問主意書で既に触れているが、「抗議文」には、
「@ 当該検事が、押収品の返却名目で『女性秘書』(以下「供述人」という。)をだまして呼び出した(二十二頁三段目、二十四頁二段目)。
 A 供述人が子供を迎えに行く必要があるので一旦帰るか、あるいは家族に連絡させてほしいと言ったのに、当該検事がこれを許さなかったため、供述人はパニック状態に陥り、手が震え、過呼吸状態に陥った(二十二頁二段目、二十三頁四段目、五段目)。
 B 供述人が『せめて夫に電話させてほしい』と何百回も繰り返し哀願した結果、夫への電話が認められた(二十三頁五段目、二十四頁一段目)。
 などとする全く虚偽の事実が記載されている。」
と、東京地方検察庁特別捜査部の民野健治検事が、石川知裕衆議院議員の女性秘書に対し、「上杉論文一」に書かれてある様な対応をとった事実はない旨述べ、更に右の@からBに関し、実際はどの様な対応をとったのかについて、
「@ 当該検事は、供述人に対し、『何点か確認したいことがある』旨を告げて来庁を依頼した。
 A 夕刻、供述人から、子供の迎えもあるので帰りたい旨申出があったので、当該検事が、『家族の誰かに代わりに迎えに行ってもらうことはできませんか』と尋ねたところ、供述人が夫に電話をかけ、その結果、子供の迎えの都合が付いたことから事情聴取が続けられたものであり、その際、供述人が子供の迎えだけは行かせてほしい旨発言したり、取り乱したりしたことはない。
 B 事情聴取中、供述人から、家族や事務所に連絡したい旨の申出が何度かあったが、当該検事がこれを拒絶したことはなく、供述人は、その都度連絡を取った。当該検事は、本件事情聴取中、終始、冷静かつ丁寧に対応しており、『恫喝』、『監禁』、『拷問的』などと評されるような言動は一切とっていない。」
との説明がなされている。
 右につき、「上杉論文二」においては、それぞれ次の様な反論がなされている。
 @について
  「民野検事が『何点か確認したいことがある』と言ったのは事実であるが、正確には『押収品の返却の他に、何点か確認したいことがある』と発言している。それに対して、女性秘書は『押収品の返却ですね』と三回も聞き直したにもかかわらず、結局、それはウソだった。
  また、〈来庁を依頼した〉とあるが、それもまったく違う。『午後一時四十五分に来てください』と有無を言わさず『出頭』の時刻を指定して呼び出している。だからこそ押収品の返却だと信じた女性秘書は、コートも羽織らず、ランチバッグひとつで検察庁に出かけたのだ。」
 Aについて
  「検事が『家族の誰かに代わりに行ってもらうことはできませんか』と尋ねたことになっているが真相は真逆だ。それは母親からの依頼である。
  しかも、繰り返しの哀願でようやくかけることのできた夫への電話も、その時点で保育園への迎えの都合はついていない。だから、それによって聴取が続けられたというのも虚偽である。しかも、夫は仕事中で迎えに行けず、女性秘書の別の親族が迎えに行っている。夫への電話で子どものお迎えの都合がつかなかったことで、この瞬間、この若い母親はパニック状態に陥り、手が震え、過呼吸症候群に陥ったのだ。」
 Bについて
  「これもまったくの虚偽であり、悪質極まる。
  騙し聴取の始まった十三時四十五分直後から女性秘書は繰り返し外部への連絡を求めているが、民野検事はことごとく拒否している。初めて外部と連絡が取れたのは、先述した夫への電話で、窓の外が暗くなった夕刻である。抗議書にはなぜか記述がないが、繰り返し要請した弁護人への連絡も、解放直前の二十二時半になって初めて許されている。
  そしてその電話によって、長時間拘束されていることを知った弁護人が、東京地検へ電話をし、女性秘書の解放につながったのだ。
  また、『終始、冷静かつ丁寧に対応』したとあるが、それも真っ赤なウソである。
  夕刻、無言の女性秘書に対して、『本当のことを言わないから、帰れないんだよ!』と声を荒げ始めている。女性秘書が大きな声を出さないようにお願いするが、まったく聞く耳を持たなかった。密室で初対面の男性と二人きり、しかも相手は圧倒的に立場の強い検事である。その人物から怒鳴りあげられたこの時の彼女の恐怖心はいかばかりだっただろう。結局終始、民野検事は大声をあげ、女性秘書に向かって怒鳴り続けた。
  『いいんだよっ!とにかく、本当のことを言えばいいんだよ!』
  こうしたことが、女性秘書に精神的苦痛を与え、ショック状態に至らしめたことは想像に難くない。」
 前回質問主意書で、右の「抗議文」における@からBの記述、及びそれに対して反論した「上杉論文二」の内容につき、千葉景子法務大臣はどの様な見解を有しているか、千葉大臣として、「抗議文」と「上杉論文一」及び「上杉論文二」のどちらが真実を述べていると考えているかと問うたところ、「前回答弁書」では「お尋ねの『上杉論文二』については承知しているが、個々の週刊誌の記事の内容に関し、政府として答弁することは差し控える。」との答弁がなされている。「抗議文」を出すという行為そのものが、まさに右答弁にある「政府として答弁すること」に該当すると考えるが、千葉大臣の見解如何。
二 検察庁、つまり政府として「上杉論文一」に対して「抗議文」を出すという回答を行っておきながら、その「抗議文」について問うた当方の質問主意書に回答できないというのはいかなる理由によるものか。千葉大臣はじめ加藤公一法務副大臣、中村哲治法務大臣政務官の法務省政務三役は、なぜこの様な矛盾した内容を含む「前回答弁書」を作成したのか、その真意を説明されたい。
三 前回質問主意書で、「抗議文」と「上杉論文一」及び「上杉論文二」のどちらの方が真実を述べているかに関わらず、石川代議士の女性秘書に対する東京地検特捜部の事情聴取のあり方について、大きな疑問、不信感が渦巻いていることに鑑み、千葉大臣として、民野検事本人に話を聞くことをはじめ、右に関し、同特捜部に対して徹底した調査を行う考えはあるかと問うたところ、「前回答弁書」では「検察当局においては、常に法と証拠に基づき、厳正公平・不偏不党を旨として適切に対処するものと承知しており、特定の週刊誌の記事の内容を前提として、御指摘のような調査を行うことは考えていない。」との答弁がなされている。では、千葉大臣はじめ加藤副大臣、中村大臣政務官の法務省政務三役は、「上杉論文一」に対して「抗議文」が出され、それに対して更に「上杉論文二」が出されたことにより、石川代議士の女性秘書に対する東京地検特捜部の事情聴取のあり方について、国民が大きな疑問を抱き、国民の間に不信感が渦巻いているとは考えないのか。明確な答弁を求める。
四 三で、法務省政務三役として、何らその様な考えを有しておらず、ただ「検察当局においては、常に法と証拠に基づき、厳正公平・不偏不党を旨として適切に対処する」と、検察庁はじめ東京地検特捜部の無謬性を妄信しているのなら、それは同庁を指導監督する立場にある者としては不適切な態度であり、何より国政の運営を、官僚主導・官僚依存から政治主導・国民主導へと刷新し、国民の審判を受けた政治家が各府省の運営に名実ともに責任を持つという新たな体制を構築することを目指している鳩山由紀夫内閣の方針に反するものであると考える。鳩山由紀夫内閣総理大臣は、右につきどの様な見解を有しているか。
五 鳩山総理は、四で指摘したことにつき、法務省政務三役に対してどの様な指導を行う考えでいるのか説明されたい。
六 三の答弁には「検察当局においては、常に法と証拠に基づき、厳正公平・不偏不党を旨として適切に対処する」とあるが、検察庁に限らず全ての省庁において、何らかの不手際、違法行為、または違法とは言えずとも、何らかの不適切な行為がなされることは多々ある話である。法務省政務三役が検察庁に限り、右の様に検察庁の無謬性を妄信しているのはなぜか説明されたい。
七 「上杉論文一」に対して「抗議文」が出され、その反論として更に「上杉論文二」が出されている。検察庁として、「上杉論文二」に対し、「抗議文」と同様に何らかの反論、抗議はしているか。
八 七で、しているのなら、どの様な内容の反論、抗議を、いつ、どの様な方法でしているのか説明されたい。
九 七で、していないのなら、それはなぜか説明されたい。右は検察庁として、「上杉論文二」の内容が事実であると認めたと理解して良いか。千葉大臣の説明を求める。
十 「上杉論文二」には、
 「筆者と週刊朝日はこれまでも検察に対しては、繰り返し取材の依頼を行い、反論の機会を与えてきた。だが検察は、
 『司法記者クラブに所属していない週刊誌に対しては一律お答えしていない』
 といういつもの理由で、回答を拒否してきたのだ。」
との記述があることに関し、前回質問主意書で、右は事実か、検察庁、特に東京地検特捜部として、上杉氏及び週刊朝日による取材依頼を断ったという事実はあるか、それが事実ならば、その理由は何か、国民に対する説明責任を果たし、情報の透明性を確保する観点からも、同庁及び同特捜部がその様な措置をとっていることは不適切であり、例えば昨年、岡田克也外務大臣がより広範囲な報道関係者が記者会見に出席できる様、外務省に対する取材の門戸を拡げる措置をとった様に、同庁、特に同特捜部、ひいては法務省としても、右の外務省と同様の措置をとるべきではないのかと、千葉大臣の見解を問うたところ、「前回答弁書」では「司法記者クラブに所属している者以外による取材への対応については、特に定まった規定があるわけではなく、適宜適切に対応しているものと承知している。」との答弁がなされている。千葉大臣をはじめとする法務省政務三役は、外務省等の、より広範囲な報道関係者に対して記者会見に出席する機会を提供した他の省庁と比較して、法務省、特に検察庁、東京地検特捜部の報道機関に対する対応ぶりが閉鎖的であり、改善すべき点があるとは認識していないのか。

 右質問する。



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