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平成二十二年三月三日提出
質問第一九七号

東京地方検察庁による事情聴取のあり方について報じた週刊誌記事に対する同庁の抗議に関する第三回質問主意書

提出者  鈴木宗男




東京地方検察庁による事情聴取のあり方について報じた週刊誌記事に対する同庁の抗議に関する第三回質問主意書


 週刊朝日二月十二日発売号の二十二頁から二十四頁にかけて、「暴走検察 子ども人質≠ノ 女性秘書『恫喝』十時間」との見出しの、ジャーナリストの上杉隆氏による論文(以下、「上杉論文一」という。)が掲載されている。右に対し本年二月三日、東京地方検察庁の谷川恒太次席検事は、「上杉論文一」は事実でないとする抗議文(以下、「抗議文」という。)を週刊朝日の山口一臣編集長に出している。また「抗議文」に関し、週刊朝日二月十九日発売号の二十一頁から二十三頁にかけて、「暴走検察の果て 東京地検の『抗議』に抗議する」との見出しの、「抗議文」に対して上杉氏が抗議する内容の論文(以下、「上杉論文二」という。)が掲載されている。右と「前回答弁書」(内閣衆質一七四第一五一号)及び「前々回答弁書」(内閣衆質一七四第九七号)を踏まえ、再度質問する。

一 「抗議文」には、
「@ 当該検事が、押収品の返却名目で『女性秘書』(以下「供述人」という。)をだまして呼び出した(二十二頁三段目、二十四頁二段目)。
 A 供述人が子供を迎えに行く必要があるので一旦帰るか、あるいは家族に連絡させてほしいと言ったのに、当該検事がこれを許さなかったため、供述人はパニック状態に陥り、手が震え、過呼吸状態に陥った(二十二頁二段目、二十三頁四段目、五段目)。
 B 供述人が『せめて夫に電話させてほしい』と何百回も繰り返し哀願した結果、夫への電話が認められた(二十三頁五段目、二十四頁一段目)。
 などとする全く虚偽の事実が記載されている。」
と、東京地方検察庁特別捜査部の民野健治検事が、石川知裕衆議院議員の女性秘書に対し、「上杉論文一」に書かれてある様な対応をとった事実はない旨述べ、更に右の@からBに関し、実際はどの様な対応をとったのかについて、
「@ 当該検事は、供述人に対し、『何点か確認したいことがある』旨を告げて来庁を依頼した。
 A 夕刻、供述人から、子供の迎えもあるので帰りたい旨申出があったので、当該検事が、『家族の誰かに代わりに迎えに行ってもらうことはできませんか』と尋ねたところ、供述人が夫に電話をかけ、その結果、子供の迎えの都合が付いたことから事情聴取が続けられたものであり、その際、供述人が子供の迎えだけは行かせてほしい旨発言したり、取り乱したりしたことはない。
 B 事情聴取中、供述人から、家族や事務所に連絡したい旨の申出が何度かあったが、当該検事がこれを拒絶したことはなく、供述人は、その都度連絡を取った。当該検事は、本件事情聴取中、終始、冷静かつ丁寧に対応しており、『恫喝』、『監禁』、『拷問的』などと評されるような言動は一切とっていない。」
との説明がなされている。
 右につき、「上杉論文二」においては、それぞれ次の様な反論がなされている。
 @について
  「民野検事が『何点か確認したいことがある』と言ったのは事実であるが、正確には『押収品の返却の他に、何点か確認したいことがある』と発言している。それに対して、女性秘書は『押収品の返却ですね』と三回も聞き直したにもかかわらず、結局、それはウソだった。
  また、〈来庁を依頼した〉とあるが、それもまったく違う。『午後一時四十五分に来てください』と有無を言わさず『出頭』の時刻を指定して呼び出している。だからこそ押収品の返却だと信じた女性秘書は、コートも羽織らず、ランチバッグひとつで検察庁に出かけたのだ。」
 Aについて
  「検事が『家族の誰かに代わりに行ってもらうことはできませんか』と尋ねたことになっているが真相は真逆だ。それは母親からの依頼である。
  しかも、繰り返しの哀願でようやくかけることのできた夫への電話も、その時点で保育園への迎えの都合はついていない。だから、それによって聴取が続けられたというのも虚偽である。しかも、夫は仕事中で迎えに行けず、女性秘書の別の親族が迎えに行っている。夫への電話で子どものお迎えの都合がつかなかったことで、この瞬間、この若い母親はパニック状態に陥り、手が震え、過呼吸症候群に陥ったのだ。」
 Bについて
  「これもまったくの虚偽であり、悪質極まる。
  騙し聴取の始まった十三時四十五分直後から女性秘書は繰り返し外部への連絡を求めているが、民野検事はことごとく拒否している。初めて外部と連絡が取れたのは、先述した夫への電話で、窓の外が暗くなった夕刻である。抗議書にはなぜか記述がないが、繰り返し要請した弁護人への連絡も、解放直前の二十二時半になって初めて許されている。
  そしてその電話によって、長時間拘束されていることを知った弁護人が、東京地検へ電話をし、女性秘書の解放につながったのだ。
  また、『終始、冷静かつ丁寧に対応』したとあるが、それも真っ赤なウソである。
  夕刻、無言の女性秘書に対して、『本当のことを言わないから、帰れないんだよ!』と声を荒げ始めている。女性秘書が大きな声を出さないようにお願いするが、まったく聞く耳を持たなかった。密室で初対面の男性と二人きり、しかも相手は圧倒的に立場の強い検事である。その人物から怒鳴りあげられたこの時の彼女の恐怖心はいかばかりだっただろう。結局終始、民野検事は大声をあげ、女性秘書に向かって怒鳴り続けた。
  『いいんだよっ!とにかく、本当のことを言えばいいんだよ!』
  こうしたことが、女性秘書に精神的苦痛を与え、ショック状態に至らしめたことは想像に難くない。」
 前々回質問主意書で、右の「抗議文」における@からBの記述、及びそれに対して反論した「上杉論文二」の内容につき、千葉景子法務大臣はどの様な見解を有しているか、千葉大臣として、「抗議文」と「上杉論文一」及び「上杉論文二」のどちらが真実を述べていると考えているかと問うたところ、「前々回答弁書」では「お尋ねの『上杉論文二』については承知しているが、個々の週刊誌の記事の内容に関し、政府として答弁することは差し控える。」との答弁がなされていることを受け、前回質問主意書で、「抗議文」を出すという行為そのものが、まさに右答弁にある「政府として答弁すること」に該当するのではないかと問うたところ、「前回答弁書」では「一般論として申し上げれば、捜査機関は、特定の週刊誌の記事の内容が個別具体的事件における捜査機関の活動内容にかかわる事柄である場合は、それぞれの事案及び記事の内容に応じて、捜査・公判の遂行に対する支障の有無等を考慮し、必要に応じて抗議をすることを含め、適宜適切に対処しているものと承知しているが、政府としては、個々の週刊誌の記事の内容を前提とした捜査機関の活動内容についての質問にお答えをすることは、裁判所に予断を与えることなどから差し控えているところであり、これらの対応は、矛盾するものではない。」との答弁がなされている。右答弁は、「抗議文」を作成し、週刊朝日に出したことは、あくまで一捜査機関、一行政機関である東京地方検察庁が単独で行った行為に過ぎず、政府としての行為ではないということか。千葉大臣に確認を求める。
二 前々回質問主意書で、「抗議文」と「上杉論文一」及び「上杉論文二」のどちらの方が真実を述べているかに関わらず、石川代議士の女性秘書に対する東京地検特捜部の事情聴取のあり方について、大きな疑問、不信感が渦巻いていることに鑑み、千葉大臣として、民野検事本人に話を聞くことをはじめ、右に関し、同特捜部に対して徹底した調査を行う考えはあるかと問うたところ、「前々回答弁書」では「検察当局においては、常に法と証拠に基づき、厳正公平・不偏不党を旨として適切に対処するものと承知しており、特定の週刊誌の記事の内容を前提として、御指摘のような調査を行うことは考えていない。」との答弁がなされている。右を受け、前回質問主意書で、千葉大臣はじめ加藤公一法務副大臣、中村哲治法務大臣政務官の法務省政務三役は、「上杉論文一」に対して「抗議文」が出され、それに対して更に「上杉論文二」が出されたことにより、石川代議士の女性秘書に対する東京地検特捜部の事情聴取のあり方について、国民が大きな疑問を抱き、国民の間に不信感が渦巻いているとは考えないのかと問うたところ、「前回答弁書」では「検察当局においては、常に法と証拠に基づき、厳正公平・不偏不党を旨として適切に対処するものと承知しており、『石川代議士の女性秘書に対する東京地検特捜部の事情聴取のあり方について、国民が大きな疑問を抱き、国民の間に不信感が渦巻いている』との御指摘は当たらないものと考えている。」との答弁がなされているが、右は何ら実質的な答弁となっていない。「上杉論文一」及び「上杉論文二」の内容は、右答弁にある「検察当局においては、常に法と証拠に基づき、厳正公平・不偏不党を旨として適切に対処する」という点を否定し、検察当局が立場の弱い者を脅し挙げ、無理矢理自白に持ち込み、自分達に有利な状況を作り出そうとする姿を描いているものである。例えば昨年八月の第四十五回衆議院議員総選挙において、当方は約四十三万の票を獲得し当選したが、当方の支持者の多くは、被疑者のみならず、将来参考人や証人となる人物に対して強圧的、脅迫的な取調べをする、または、報道機関に捜査上知り得た情報を流し、世論を誘導する等の検察当局の手法に大きな疑念を抱いている。法務省政務三役は、一般国民が「上杉論文一」及び「上杉論文二」を読んでも、何ら検察当局による捜査の手法に疑念を抱くことはないと考えているのか。
三 前回質問主意書で、法務省政務三役がなぜ「検察当局においては、常に法と証拠に基づき、厳正公平・不偏不党を旨として適切に対処する」と考えているのか、検察庁に限らず全ての省庁において、何らかの不手際、違法行為、または違法とは言えずとも、何らかの不適切な行為がなされることは多々ある話である。法務省政務三役が検察庁に限り、右の様に検察庁の無謬性を妄信しているのはなぜかと問うたところ、「前回答弁書」では「検察官は、検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)に基づき、公益の代表者として、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)を含む他の法令がその権限に属させた事務を行っているところ、刑事事件における検察の捜査・公判活動は、令状主義や証拠裁判主義等を規定した刑事訴訟法に基づいて行われているものと承知している。」との答弁がなされている。では法務省政務三役は、検察当局が何ら右の法令に反することなく、一切のミスもなく、捜査・公判活動を行っていると考えているのか。一九九〇年、栃木県足利市で当時四歳の女児が殺害されたいわゆる足利事件で容疑者とされ、無期懲役が確定し、服役中だった菅家利和さんが、女児の下着に付着していた体液のDNA型が菅家さんのものとは一致しないとの鑑定結果が出たことを受け、昨年六月四日、千葉刑務所から釈放された。右の足利事件の他にも、二〇〇三年の鹿児島県議選において、志布志市の運動員ら十五人が公職選挙法違反容疑で逮捕されたが、後に全員の無罪が確定したいわゆる志布志事件や、富山県氷見市の柳原浩氏が強姦などの容疑で富山県警に誤認逮捕されたが、二年あまり服役した後に無罪が確定したいわゆる富山事件等の事件が起きている。菅家さんの件については、再審の第五回公判が本年一月二十二日に宇都宮地裁で開かれた際、当時菅家さんの取調べを担当した森川大司検事も出廷し、謝罪はしなかったものの、「非常に深刻に受け止めている」と述べている。これらの例を見ても、検察当局が常に法と証拠に基づき、正しい判断を下しているとは到底言えず、一部の検察官により、強圧的、脅迫的な取調べが行われていることも事実である。「前回答弁書」では「法務大臣、法務副大臣及び法務大臣政務官(以下「政務三役」という。)においては、このような検察当局の活動を信頼しているものであるが、御指摘のように検察当局の『無謬性を妄信』しているものではない」との旨の答弁がなされているが、法務省政務三役が、右で挙げた事例があるにも関わらず、「検察当局においては、常に法と証拠に基づき、厳正公平・不偏不党を旨として適切に対処する」と考えているのなら、それは検察当局の無謬性を妄信していることに他ならず、検察当局を指導監督する立場にある者として、職務怠慢に該当するのではないのか。
四 「上杉論文一」に対して「抗議文」が出され、その反論として更に「上杉論文二」が出されている。前回質問主意書で、検察庁として「上杉論文二」に対し、「抗議文」と同様に何らかの反論、抗議はしているか、しているのなら、どの様な内容の反論、抗議を、いつ、どの様な方法でしているのか、していないのなら、それはなぜかと問うたところ、「前回答弁書」では「個別具体的な事件における検察当局の報道機関への対応についてお答えすることは、公表していない捜査の内容を推知させることとなる等の問題があるので、答弁することは差し控えるが、一般論として申し上げれば、捜査機関は、特定の週刊誌の記事の内容が個別具体的事件における捜査機関の活動内容にかかわる事柄である場合は、…同一の事柄について複数の記事が掲載されたとしても、当初の抗議で十分と考えられる場合もあることから、抗議をしなかったことをもって、必ずしも記事の内容が事実であると認めたということではないものと承知している。」との答弁がなされている。当方は一般論を問うているのではない。東京地検として、「上杉論文二」の後に、それに対して更なる抗議を行っているのか否か、右一点を明らかにされたい。
五 一で詳細部分を引用している通り、「上杉論文二」では「抗議文」で東京地検が事実でないと抗議した一つ一つにつき、詳細な反論が行われている。右に対する更なる反論をしないのならば、東京地検として「上杉論文二」の内容を認めたものと、同論文の読者はじめ一般国民は認識すると考えるのが常識的ではないのか。法務省政務三役の見解如何。
六 「前回答弁書」には「当初の抗議で十分と考えられる場合もある」とあるが、東京地検の対応としては「抗議文」を出すだけで十分であり、「上杉論文二」に対する反論をする必要はないと、法務省政務三役が考える根拠は何か、明確に説明されたい。

 右質問する。



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