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平成二十二年三月二十三日提出
質問第三〇〇号

一九七二年の沖縄返還時における原状回復補償費の肩代わりに係る密約に関する再質問主意書

提出者  鈴木宗男




一九七二年の沖縄返還時における原状回復補償費の肩代わりに係る密約に関する再質問主意書


 昨年九月十六日、岡田克也外務大臣は、外務省において「いわゆる『密約』問題に関する有識者委員会」(以下、「委員会」という。)を立ち上げ、いわゆる密約(以下、「密約」という。)があったと言われている、
@ 一九六〇年一月の安保条約改定時の、核持ち込みに関する密約
A 同じく、朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動に関する密約
B 一九七二年の沖縄返還時の、有事の際の核持ち込みに関する密約
C 同じく、原状回復補償費の肩代わりに関する密約
の四点につき、徹底した調査を命じる大臣命令を同省に出した。そして本年三月九日、岡田大臣は、「委員会」による「密約」に関する調査結果をまとめた報告書(以下、「報告書」という。)を公表している。右と「前回答弁書」(内閣衆質一七四第二四二号)及び「政府答弁書」(内閣衆質一七三第一七四号)を踏まえ、再質問する。

一 前回質問主意書でも触れたが、「報告書」には、Cに関し、以下の記述がなされている。
「第五章 沖縄返還と原状回復補償費の肩代わり
 (1) 米国側は、愛知大臣の書簡を求めるが、愛知大臣は、これを見合わせた。
 (2) 東京では、交渉当事者間で大臣書簡案に代わるオプションとして、吉野とスナイダーによるイニシャルを前提とした「議論の要約」を作成することで合意し、愛知の帰国前日の十二日に吉野とスナイダーがイニシャルしたものと考えられる。
 (3) 米側資料によれば、六月十二日の最終協議において、「署名による書簡」とするか、あるいは「交渉経緯(記録)」とするかが議論となり、井川、吉野両局長ら日本側の交渉当事者は二分されたという。吉野は交渉経緯の全体に言及することを避けるため、両者を混ぜ合わせた「議論の要約」を作成し、米側の要望に応えることを提案したようである。
 (4) 日本側の不公表書簡案(大臣書簡案)にせよ「議論の要約」にせよ、それ自体は、両国政府を拘束するような内容ではなく、両政府間の秘密の合意や了解を意味する「密約」にあたるわけではない。(「狭義の密約」ではない。)
 (5) 原状回復補償費の肩代わり合意と三億二千万ドルへの積み増し了解は、非公表扱いとされ、明確に文書化されているわけでもなく、返還協定や関連取り決めにも明記されていないものであるが、両国政府の財政処理を制約するものとなる。その点では、これらは序論に定義された「広義の密約」に該当する。」
 この様に、この度「委員会」、ひいては外務省、つまり政府として、Cの密約があったことを明確に認めている。しかし、過去に当方が提出した質問主意書に対する政府答弁書(内閣衆質一六四第六二号、一〇五号、一三二号、内閣衆質一六六第一五号、二三二号、二三三号、二三四号、四二〇号、四六八号、四七二号、内閣衆質一七〇第一六七号、二二三号、二六八号、内閣衆質一七一第五五五号等)では、例えば「沖縄返還に際する支払に関する日米間の合意は、第六十七回国会における琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定(昭和四十七年条約第二号。以下「沖縄返還協定」という。)についての審議が行われた当時から歴代の外務大臣等が一貫して繰り返し説明しているとおり、沖縄返還協定がすべてである。」と、それに反する虚偽の答弁がなされてきた。前回質問主意書で、これらの答弁は外務省のどこの課において、誰の責任の下、起案・作成されたのか、また、右の答弁を同省として決定する際に、その決裁に関わった同省職員は誰かと問うたところ、「前回答弁書」では「お尋ねの答弁書は、当時、外務省北米局において起案し、外務省においてしかるべく決裁を経た上で、内閣として決定したものである。」との答弁がなされている。当方は、虚偽の答弁書を起案・作成し、それを外務省として決定する際の決裁に関わった者の官職氏名を問うているところ、再度質問する。
二 先の質問主意書で、一で挙げた前政権における答弁書により、Cの密約の存在を明確に否定する答弁がなされていた当時、外務省において条約局長、国際法局長、北米局長を務めていた者の氏名を問うたところ、「政府答弁書」では「政府として、沖縄返還に際する支払に関する日米間の合意は、第六十七回国会における琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定(昭和四十七年条約第二号。以下「沖縄返還協定」という。)についての審議が行われた当時から歴代の外務大臣等が一貫して繰り返し説明しているとおり、沖縄返還協定がすべてである旨、本年九月十六日の岡田外務大臣の大臣命令に基づく調査開始前に国会に対して説明してきたのは、政府としてのこれまでの一貫した立場を答弁してきたものである。」と、何ら明確な答弁がなされていなかった。「密約」に関する調査が終了し、「報告書」が提出され、Cの密約の存在が明らかになった今、右で挙げた任に就いていた者の氏名を再度質問する。
三 先の質問主意書で、Cも含め、「密約」の存在が明らかになった場合、二の者に対して何らかの処分は下されるかと問うたところ、「政府答弁書」では「お尋ねについては、現在行っているいわゆる『密約』の有無をめぐる問題に関する調査の結果も踏まえ、適切に対処してまいりたい。」との答弁がなされていた。「密約」に関し、「前回答弁書」では「いわゆる『密約』問題については、この問題により、外交に対する国民の理解と信頼が失われているとの観点から、過去の事実を徹底的に明らかにするため、岡田外務大臣が外務大臣就任時に徹底調査を命じ、その結果を先般公表したところである。当時の状況については、簡単に判断できるものではなく、いわゆる『密約』問題に関する有識者委員会報告書においても、外交には、ある期間、ある程度の秘密性はつきものであるとした上で、外交に対する評価は、当時の国際環境や日本国民全体の利益・国益に照らして判断すべきものである旨述べられている。しかし一方で、この問題が、これほどの長期間にわたり、国民に対し、明らかにされてこなかったことは遺憾であると考えている。政府としては、今回の作業が外交に対する国民の信頼回復につながることを期待しており、今後とも、国民と共に歩む外交を実践し、国民の負託にこたえる外交の実現に努力していきたいと考えている。」との答弁がなされている。外交に対する国民の理解と信頼を回復させる上でも、「報告書」が公表され、Cの密約の存在が明らかになった今、一で触れた様に、虚偽の政府答弁書を起案・作成し、外務省としてそれを決定する際の決裁に関わってきた者に対し、やはり何らかの対応をとる必要があると考えるが、岡田大臣として、右につきどの様な考えでいるのか説明されたい。

 右質問する。



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