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平成二十二年三月三十一日提出
質問第三三〇号

取調べの全面可視化に対する千葉景子法務大臣の見解に関する再質問主意書

提出者  鈴木宗男




取調べの全面可視化に対する千葉景子法務大臣の見解に関する再質問主意書


 「前回答弁書」(内閣衆質一七四第二八号)を踏まえ、再質問する。

一 一九九〇年、栃木県足利市で当時四歳の女児が殺害されたいわゆる足利事件で容疑者とされ、無期懲役が確定し、服役中だった菅家利和氏が、女児の下着に付着していた体液のDNA型が菅家氏のものとは一致しないとの鑑定結果が出たことを受け、昨年六月四日、千葉刑務所から釈放された。足利事件の再審の第五回公判が本年一月二十二日、宇都宮地裁で開かれ、その際、当時菅家氏の取調べを担当した森川大司元検事も出廷した。更に三月二十六日午前の公判では、佐藤正信裁判長は菅家氏に対して無罪を言い渡した。検察側は判決後に上訴権放棄を申し立て、菅家氏の無罪が確定した。右を受け、千葉景子法務大臣は同日、閣議後の記者会見で「こういうことがないようにさまざまな法的、制度的な検討をしなければいけない。可視化の問題やDNA鑑定のあり方とか、措置すべきものがあれば対応していかなければと思う」と述べていると承知する。千葉大臣として、そもそも取調べの全面可視化を実現させる意欲はあるのか。改めて確認を求める。
二 現在一部のみで行われている警察、検察における取調べの全面可視化に向けた政府による検討について、「前回答弁書」では「被疑者の取調べを録画等の方法により可視化することについては、法務省内の勉強会、国家公安委員会委員長の研究会等(以下「勉強会等」という。)において幅広い観点から着実に検討を進めている段階であって、その結論を得る時期をお示しすることは困難である。勉強会等においては、当面、取調べの可視化の効果としてどのようなものが考えられるかなどの検討すべき論点を整理するとともに、諸外国の法制度等について調査・検討することとしており、鋭意、作業を進めているところである。」との答弁がなされている。右答弁にある勉強会等における検討や、諸外国の法制度等についての調査・検討は、現段階でどの様な進捗状況にあるのか説明されたい。
三 現在、政府としては、取調べの全面可視化の実現まではまだ数年を要するとし、今国会での法案提出を見送ることを決めたと報じられている。しかし、「前回答弁書」で「千葉法務大臣は、平成二十年六月四日及び平成二十一年四月二十四日、いずれも参議院本会議において、刑事訴訟法の一部を改正する法律案が採決された際、参議院議員として、これらに賛成したものと承知している。」との答弁がなされている様に、千葉大臣は、取調べの全面可視化実現を目指す法案が二度提出された際、採決において賛成票を投じている。また、そもそも過去に関連法案を提出していることから、可視化法案のひな形はできているはずであり、勉強会等での検討に数年を要すると悠長なことを言うのではなく、まずは法案を国会に提出し、その中で検討を進めながら、可及的速やかな成立を目指すべきではないのか。
四 取調べの全面可視化と並び、被疑者ではない将来参考人、証人となる人物に対する聴取についても、録画・録音する等の措置をとることが必要であると考えるが、右に対する鳩山由紀夫内閣の見解を問うたところ、昨年十一月二十日閣議決定された政府答弁書(内閣衆質一七三第七五号)では、「被疑者以外の者の取調べを録音・録画することについては、刑事手続に与える影響等を含め、可視化の検討の中で十分議論し、結論を得たいと考えている。」との答弁がなされている。被疑者ではない将来参考人、証人となる人物の聴取についての全面可視化に関し、現在政府においてどの様な検討がなされているのか説明されたい。
五 本年三月五日に閣議決定された政府答弁書(内閣衆質一七四第一七一号)では、過去に四名の検察官が、取調べの相手方に暴行を加える等の行為を働き、懲戒処分又は法務省の内規に基づく処分を受けていることが明らかにされている。また同月三十日に閣議決定された政府答弁書(内閣衆質一七四第二七二号)では、右四名のうち、@平成五年十月、取調べの相手方二名にそれぞれ足蹴りするなどの暴行を加えて傷害を負わせ、同年十一月に免職処分を受けた検察官と、A平成二年七月、取調べの相手方の顔を突き上げる暴行を加えて傷害を負わせ、平成六年六月に停職三カ月の処分を受けた検察官の二名が、被疑者ではなく参考人として聴取を受けた者に対し、右の様な暴行を加えていたことが明らかにされている。この様に、本来何の咎めも受けるべき立場にない人物に対しても非道な行為が行われていたことが明らかになった今、被疑者だけではなく、将来参考人、証人となる人物の聴取も同様に全面可視化することが絶対に必要であると考えるが、千葉大臣の見解如何。

 右質問する。



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