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平成二十二年四月一日提出
質問第三四〇号

独立行政法人都市再生機構による市街地再開発事業に関する質問主意書

提出者  柿澤未途




独立行政法人都市再生機構による市街地再開発事業に関する質問主意書


 独立行政法人都市再生機構(以下「機構」という。)が施行する東京都小金井市内における武蔵小金井駅南口第1地区第一種市街地再開発事業に関して、都市再開発法等に照らして、違法ないしは不適切と思われる実態があり、権利者に実害が及んでいる。そこで、都市再開発法上、監督権限を有する政府として、事実関係や法的見解を明らかにされたい。

一 通損補償の不平等な取り扱いについて
 機構は、同事業の工事期間が当初予定より遅延したことに伴い、予定より一か月遅れで完成した1−U街区の権利者には都市再開発法第九十七条に従い追加の通損補償を支払った。
 しかし、予定より二十か月遅れで完成予定の1−V街区の権利者二者(A(株式会社)及びB(個人))に対しては、都市再開発法上、追加の通損補償の支払い義務があるにもかかわらず、その義務の履行を意図的に怠るという「不平等な取り扱い」を行っている。このため、権利者二者は、本来ならば通損補償で受ける金銭を充当して支払うべき従前建築物の建築費の債務返済を、既に一年余りの間、自己資産から捻出して支出するなど、不当な損害を受けている。
 そこで以下の点について質問する。
 1 都市再開発法では、工期延長に伴う追加の通損補償の支払いは、工期の延長期間に入る前に支払われるべきものと理解しているが、政府はどのように考えているのか。
 2 機構が施行している市街地再開発事業で、追加の通損補償を支払わない事例があれば、漏れなく挙げていただきたい。
 3 国土交通省は、このような「不平等な取り扱い」が行われている事実を知っていて放置しているのか。仮に知っているとした場合、いつ、どのような形で事実を知ったのか、また、なぜ適切な指導をせず放置しているのか、明らかにされたい。
 4 国土交通省は、都市再開発法上、今回のような「不平等な取り扱い」が許容されると考えているのか。許されるとしたなら、どのような法的根拠で許容されるのか、明らかにされたい。
 5 機構は、権利者Aに対して「平成十八年三月三十一日の明渡し期限を経過しても従前建物を明け渡さなかったことにより多額の損害を被っているため、近日中に貴社に対する損害賠償請求訴訟を提訴することとしており、したがって、その対当額において相殺することを予定しておりますので、当該追加補償の支払につきましては、留保します。」との趣旨の説明を平成二十一年七月三十一日に書面にて示しているが、半年が過ぎた現在でも訴訟を提訴していない。そのような不確実な理由(裁判を提起するのかも、判決がどうなるのかも不明な段階)で、通損補償の支払いを拒否できるのか。法的根拠を含めて政府の見解を明示されたい。
 6 国土交通省は、即刻、追加の通損補償の支払い義務を履行するよう機構を指導すべきだと考えるが、国土交通省として適切な指導を行うのか、明らかにされたい。
二 仮使用許可の店舗の賃料収入等について
 当該再開発の1−V街区には、権利者二者の商業業務ビル、JR東日本の商業業務ビル、(仮称)市民交流センターの三つの建物が「一筆一棟」で建築されるものとされている(国土交通省が認可した事業計画では「分棟形式」と明記されているので矛盾がある)。
 このうち、権利者二者の商業業務ビル、JR東日本の商業業務ビルは完成しているが、(仮称)市民交流センターが未完成のため、登記並びに完成引渡しがされていない。現在は、(仮称)市民交流センターが工事中との理由から、施行者である機構が、施行者として完成したビルの管理を行い、仮使用許可でテナントが入り営業を行っている。なお、権利者二者の商業業務ビルに入居しているテナント(美容院)は、当初のプレハブ造仮店舗で営業を行っていたが、工事の進捗で駅前交通広場の築造工事の支障となったことから、第二の仮店舗と称して機構が入居させたものであり、その床が与えられる予定の権利者は一方的に通知を送られただけで、その入居を容認していない現状がある。
 1 JR東日本の商業業務ビルに仮使用許可で入居しているテナントの賃料は、誰が徴収しているのか。明らかにされたい。
 2 権利者二者の商業業務ビルに仮使用許可で入居しているテナント(美容院)の賃料は、機構が徴収しているとされるが、実態を明らかにされたい。
 3 権利者二者の商業業務ビルに仮使用許可で入居しているテナント(美容院)の賃料は、権利変換後にその床を与えられる予定の権利者は得ていない。もし、同じく従後に床を与えられる予定のJR東日本は、テナントからの賃料を徴収しているとした場合、「一棟」の建物で、なぜ、そのような「不平等な取り扱い」となるのか、法的根拠も含めて事情を説明されたい。
 4 機構は、権利者二者の商業業務ビルでは、仮店舗と称しながら、本設と同様にテナント(美容院)に出費させて内装工事を行い、入居させた。これは、完成引渡し後の家主との賃料交渉を始め、何も条件が整わないまま行ってしまったものである。その後、将来の家主との賃料交渉が行われたが難航し、その結果がまとまらない状態ではあるが、既に平成二十二年一月十八日にテナントは自主的に閉店し、同月二十三日には別の場所で新たに店を構え営業を始めている。このような再開発完成後の条件が整わないまま、しかも床の権利者に相談もないまま、仮店舗と称して本設同様の形態で入居させるやり方が、過去の機構施行の市街地再開発事業で行われたことはあるのか、明らかにされたい。また、このようなやり方が適法・正常であると考えるのか、政府の見解を明らかにされたい。
三 消えた権利床について
 権利者二者のうち一者(A)が権利変換で取得した床は、従前の建築物の床の区画に対応していない。そのため、従前に存在した床が従後に計画されておらず、事業完了後に戻るところがないという問題が発生している。
 また、従前に店舗用途であった床が、従後には業務用途の床として計画されてしまっており、構造設計強度が低いため、店舗として利用できないという問題が発生している。
 1 Aが所有していた従前建物の一階の店舗部分(美容院だった部分を除く)とAの本社部分に対応する床はどこに権利変換されたのか。権利変換計画を認可した国土交通大臣として、責任をもって明らかにされたい。
 2 都市再開発法の規定に基づく権利変換を希望しない旨の申し出がないのであるから、いずれかの場所に権利変換すべきものである。そうではないとするなら、床を与えられない権利者はどうすればよいのか。政府の見解を明らかにされたい。
 3 二階にあった店舗用途床が、利用価値の劣る三階以上へ、しかも業務用途として権利変換されてしまったが、これは権利変換計画の瑕疵だと考える。また、この瑕疵によって将来にわたる賃料収入への不利益が生じると考える。権利変換計画を認可した国土交通大臣の見解を求める。
四 従前建築物に課税される固定資産税の負担について
 固定資産税は、地方税法の規定により賦課期日(一月一日)現在の登記簿等に所有者として記載されている人に対して課税されるとあるが、当該課税年度途中での売買などによる所有者移転の場合に生じる負担割合などに関しては規定されていない。しかし民−民での不動産取引においては、負担割合を所有期間で按分して負担することが日常的・慣例的に行われ、常識化している。
 さて、当再開発事業の権利変換日は平成十八年一月二十八日であり、法の規定により、即日に既存建物は機構の所有に登記変更された。しかし平成十八年度の固定資産税(家屋)は全額、元の権利者の負担となっている。
 施行者である機構は、国や地方自治体ではなく独立行政法人であり、つまり単なる一法人へ所有が移転したのだから、その点では、一般的な民−民不動産取引となんら変わらない。ただし按分負担する慣例並びにその割合は当事者同士の合意によるものであるので、全額を元の権利者が負担することも当事者同士の合意があればあり得るが、そのような協議は成されておらず、一方的に元の権利者に負担を強いている。しかも機構は、按分負担を求める権利者からの申入れに対し、返答もせずにいる。
 1 機構は一法人であり、当該建築物の所有移動は一般的な民−民取引に当たると考えるが、政府の見解を求める。
 2 負担の在り方について、当事者間での協議を行うよう機構を指導するべきだと思うが、政府の見解を求める。
 3 機構が固定資産税について相応の負担をするべきだと思うが、政府の見解を求める。
五 一棟とした計画通知について
 当再開発事業の1−V街区は独立した構造の三つの建築物から成り、それぞれ、地方自治体(小金井市)、JR東日本、権利者(二者の共有)と、規模も性質も異なる三者に与えられる。
 地方自治体(小金井市)が取得する予定の建物は、(仮称)市民交流センターなるホールを主体とした公共施設であり、他の二者の商業業務ビルとは全く異なった用途の建物である。もちろん、構造・外観・用途のどれをとっても他の二つの建築物とは全く異なった建築物である。
 JR東日本と権利者が取得する建築物は、用途や階高などは同じであるが、構造が独立しているため、お互いの隙間をエクスパンションジョイントなる金属プレートにて隠し、更には権利者の建物の外壁の外側に穴あきの金属パネルを張って建物外周を同一面にするなどして、一見すると一つの建物に見えるような工夫をしている。また各階外部にて連絡通路を設けている。機構は、これらにより二つの建築物は一棟であると主張している。
 しかしながらエクスパンションジョイントは、あくまでも構造的に分離せねばならない建物の隙間を埋める部材であり、それをもってして「一棟」であることを証明するものではない。逆に目視だけで構造的に独立していることを証明するものである。
 また権利者の建築物に設けられた穴あきの金属パネルは、外壁ではなく、外廊下の外周に付けられた装飾物で、外観を同一面にすることによって一棟に見せようとしているものであり、ましてガラスのカーテンウォールと穴あきの金属パネルでは素材の違いが顕著で、実質的に外観の一体性は認められない。
 両建築物の相互通行が可能だとする連絡通路に関しては、権利者の建築物からJR東日本の建築物の外階段へは行くことは可能だが、建物内部へ入るための扉は常時鍵が掛かっており入ることができない。あくまで非常時の避難扉であり、緊急時に内部からサムターンを保護しているプラスチックカバーを壊して開錠するものである。この扉はテナント内部に面するため、その店舗の利用客でないと扉に達することはなく、非常扉でなく鍵が掛かっていないとしても、一般客の相互通行はありえない。
 その他、機構はこれら三つの建物を一棟と主張する理由に、小金井市が取得する建物の地下部分に、「全体共用」なる、通信などの設備施設を計画しているとしている。建設中の当該区画を権利者が見学した際には、電線の一本すら設置されていなかった。既に完成している他の二つの建築物は仮使用許可で稼動しており、その「全体共用」を使わなくても何ら問題ないことが明らかである。機構は、「一棟」を偽装するために、「全体共用」なる無駄な区画を築造していることとなる。
 1 このとおり構造・外観・用途などから見て、「一棟」であることを満たす要件に足らず、しかも相互通行が実質不可能にもかかわらず、「一棟」にて計画通知が確認されているのは、建築基準法に照らして問題だと思われる。確認をした建築主事に問い合わせた上で、政府としての回答を明らかにされたい。
 2 国土交通大臣が認可した事業計画上では、1−V街区は、「分棟形式」と明記されている。権利変換計画の内容にかかわらず、「分棟形式」であるならば、JR東日本の商業業務ビル、権利者(二者の共有)の商業業務ビルは既に完成しており、登記、引渡しが可能なはずである。政府としての見解を求める。
 3 機構が、「分棟形式」で事業認可を得ながら、その後「一棟」という話を持ち出した背景には、東京都駐車場条例に規定される「駐車場付置義務」を逃れる意図があることが明白である。「分棟形式」の場合、それぞれの建物に、その床面積に応じて駐車場の付置義務が発生するが、権利者(二者の共有)の建物には一台の駐車場も予定されていなかった。この建物には、条例によれば、八台の付置義務があることを指摘され、急遽、「一棟」に見せかけることにしたものと思量される。この論点は、東京都建築審査会でも議論されたが、その会長は、建設省OBであると同時に機構のOBでもあり、権利者からの指摘を却下したのである。このような、偽装工作による駐車場付置義務逃れの再開発事業に国費を投じている政府は、一連の偽装工作を綿密に調査し、一連の流れが妥当かどうか、見解を明らかにされたい。
六 (仮称)市民交流センターの着工について
 平成十五年十二月二十六日、小金井市と機構は、(仮称)市民交流センターの着工時期に関して、「武蔵小金井駅南口第1地区第一種市街地再開発事業に係る公益施設の取得に関する覚書」を締結した。その第五条は、「譲渡契約等」との条項名で以下のように定めている。
 「甲(都市基盤整備公団)及び乙(小金井市)は、公益施設の保留床の取得について、権利変換計画の認可後、公益施設の工事着手前までに、乙(小金井市)が地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百十四条に定める債務負担行為に係る同法第九十六条第一項第二号に規定する議会の議決及び同法第九十六条第一項第八号に規定する財産取得に係る議会の議決を経た上で、譲渡契約を締結するものとする。」
 つまり、小金井市議会が地方自治法に基づく「財産取得の議決」をしてから着工するとの覚書が締結されているわけである。しかし、現時点では、小金井市長は財産取得の議案を小金井市議会に提出しておらず、したがって当然に小金井市議会も財産取得の議決をしていない。にもかかわらず、機構は、(仮称)市民交流センターの建築工事に着手しており、既に躯体工事が相当程度進行している状況にある。小金井市は、機構に着工を依頼した事実はないとの答弁を繰り返している。
 そこで以下の点について質問する。
 1 なぜ、平成十五年に、財産取得の議決を得てから着工するとの覚書を締結したのか、その理由を詳細に明らかにされたい。
 2 なぜ、「覚書」を無視して着工したのか、その理由を詳細に明らかにされたい。
 3 小金井市は、小金井市議会に対して、「着工を依頼していない」と繰り返し答弁しているが、事実関係はどうなっているのか、明らかにされたい。
 4 オフィスビルであれば、小金井市が団体意思として保留床の買取りを拒否しても、第三者に転売が可能だが、センター(ホール形状)の場合、そのような措置を講じることは困難である。保留床が確実に処分できることを確認しないまま着工していることについて、国土交通省はどのような見解を持っているのか。
 5 地元自治体等が保留床を購入しなかったことに伴い、機構自身が保留床を取得して自家使用している例を漏れなく挙げていただきたい。例えば、機構本社(横浜市)や機構東日本支杜(新宿区)などは、どのような経過だったのか、詳細に明らかにされたい。
 6 機構が施行する市街地再開発事業は、独立行政法人都市再生機構法に基づき地元市区町村の要請に基づいて行われる原則があるが、覚書に反して着工し、既成事実(建物の完成)を作り上げ、小金井市議会に購入を強要するような手法は、地方自治の本旨に照らして、また、現政権がめざしている無駄な公共事業を排除する観点から、大きな問題があると思われる、地方自治を管轄する総務省の見解も含めて政府としての見解を問う。
 7 小金井市は、平成二十二年度予算に、(仮称)市民交流センターの購入費用の財源として、国からのまちづくり交付金十一億二千二百六十万円を計上している。これはガソリン税などが財源になっているものと理解してよいか、充当されている国税の名称をすべて挙げていただきたい。また、ガソリン税等が財源になっているとした場合、(仮称)市民交流センターなどのハコモノ行政に回されることには相当強い国民的批判があったが、そのような使途が適切だと考えているのか、財務省の見解を含めて政府の見解を求めたい。
 8 とりわけ、小金井市の(仮称)市民交流センターの場合、東京多摩地区に一例もない、「駅前ロータリーの真正面」「単体建築」ということで、本来不要な膨大な土地購入費用が発生している。「コンクリートから人へ」を標榜する現政府が、このようなハコモノに国民の税金を注ぎ込むことを妥当・適切と考えているのか、詳細に答弁されたい。
七 清算について
 市街地再開発事業は、「清算」「登記」をもって終了する。そこで伺うが、機構(前身の公団含む)が行った過去十年間に完了した市街地再開発事業で、清算を行った事業、清算を行わなかった事業を、それぞれ漏れなく挙げていただきたい。なお、清算を行った事業の場合、「権利者からの精算金の徴収の件数と額」「権利者への精算金の支払い件数と額」をそれぞれ明記されたい。
 また、清算を行っていない事業について、事業認可時点での収支と完成時点の収支が、全く変わらないということは、常識的に考えられない(工事入札などで建設費が抑制されるのが一般的であろう)。収支を調整して、行うべき清算を飛ばしていた事実がないか、政府において総点検するべきであると考えるが、見解を伺いたい。
八 念書の違法性について
 機構は、複数の借家権者に、「機構が再開発ビルを取得することになった場合には、従前の賃料・共益費で貸す」との念書を交付している。このような念書交付は、従前建築物の入居者を早く退去させるための「小道具」として使われているものである。そのような念書は、都市再開発法に違反し、また、公序良俗にも反する内容であると思量されるが、政府の見解を問う。
 なお、武蔵小金井駅南口第1地区第一種市街地再開発事業に関しては、我が党の川田龍平参議院議員が、別の論点で質問主意書を提出した経過があり、「内閣参質一六九第一〇八号」(平成二十年四月二十五日)にて一定の回答が示されている。
 また、同事業では、平成二十年に、国土交通大臣の変更認可を受けないまま膨大な設計変更が行われていたことが発覚し、変更認可を得るため、工事が約一か月中断されるなどの異例の事件が起きていることも付言する。

 右質問する。



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