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平成二十二年四月二日提出
質問第三五一号

一九七二年の沖縄返還時における原状回復補償費の肩代わりに係る密約に関する第三回質問主意書

提出者  鈴木宗男




一九七二年の沖縄返還時における原状回復補償費の肩代わりに係る密約に関する第三回質問主意書


 昨年九月十六日、岡田克也外務大臣は、外務省において「いわゆる『密約』問題に関する有識者委員会」(以下、「委員会」という。)を立ち上げ、いわゆる密約(以下、「密約」という。)があったと言われている、
 @ 一九六〇年一月の安保条約改定時の、核持ち込みに関する密約
 A 同じく、朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動に関する密約
 B 一九七二年の沖縄返還時の、有事の際の核持ち込みに関する密約
 C 同じく、原状回復補償費の肩代わりに関する密約
の四点につき、徹底した調査を命じる大臣命令を同省に出した。そして本年三月九日、岡田大臣は、「委員会」による「密約」に関する調査結果をまとめた報告書(以下、「報告書」という。)を公表している。右と「前回答弁書」(内閣衆質一七四第三〇〇号)、「前々回答弁書」(内閣衆質一七四第二四二号)及び「政府答弁書」(内閣衆質一七三第一七四号)を踏まえ、再度質問する。

一 「報告書」ではCの密約に関し、以下の記述がなされている。
「第五章 沖縄返還と原状回復補償費の肩代わり
 (中略)
 (5) 原状回復補償費の肩代わり合意と三億二千万ドルへの積み増し了解は、非公表扱いとされ、明確に文書化されているわけでもなく、返還協定や関連取り決めにも明記されていないものであるが、両国政府の財政処理を制約するものとなる。その点では、これらは序論に定義された『広義の密約』に該当する。」
 この様に、この度「委員会」、ひいては外務省、つまり政府として、Cの密約があったことを明確に認めている。過去に当方が提出した質問主意書に対する政府答弁書では、例えば「沖縄返還に際する支払に関する日米間の合意は、第六十七回国会における琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定(昭和四十七年条約第二号。以下「沖縄返還協定」という。)についての審議が行われた当時から歴代の外務大臣等が一貫して繰り返し説明しているとおり、沖縄返還協定がすべてである。」と、それに反する虚偽の答弁がなされてきた。前々回質問主意書及び前回質問主意書で、これらの答弁書は同省のどこの課において、誰の責任の下、起案・作成されたのか、また、右の答弁書を同省として決定する際に、その決裁に関わった同省職員は誰かと問うたところ、「前々回答弁書」及び「前回答弁書」では「お尋ねの答弁書は、当時、外務省北米局において起案し、外務省においてしかるべく決裁を経た上で、内閣として決定したものである。」との答弁がなされているだけであり、官職氏名が明らかにされていない。同省として、虚偽の答弁書を起案・作成し、それを同省として決定する際の決裁に関わった者の官職氏名を明らかにできない理由は何か。
二 先の質問主意書で、一で挙げた前自民・公明政権における答弁書により、Cの密約の存在を明確に否定する答弁がなされていた当時、外務省において条約局長、国際法局長、北米局長を務めていた者の氏名を問うたところ、「政府答弁書」では「政府として、沖縄返還に際する支払に関する日米間の合意は、第六十七回国会における琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定(昭和四十七年条約第二号。以下「沖縄返還協定」という。)についての審議が行われた当時から歴代の外務大臣等が一貫して繰り返し説明しているとおり、沖縄返還協定がすべてである旨、本年九月十六日の岡田外務大臣の大臣命令に基づく調査開始前に国会に対して説明してきたのは、政府としてのこれまでの一貫した立場を答弁してきたものである。」と、何ら明確な答弁がなされていなかった。前回質問主意書で、「密約」に関する調査が終了し、「報告書」が提出され、Cの密約の存在が明らかになった今、右で挙げた任に就いていた者の氏名を再度質問したところ、「前回答弁書」でも何ら明確な答弁がなされていない。同省として、右の者の氏名を明らかにできない理由は何か。
三 先の質問主意書で、Cの密約も含め、「密約」の存在が明らかになった場合、二の者に対して何らかの処分は下されるかと問うたところ、「政府答弁書」では「お尋ねについては、現在行っているいわゆる『密約』の有無をめぐる問題に関する調査の結果を踏まえ、適切に対処してまいりたい。」との答弁がなされていた。「密約」に関し、「前々回答弁書」では「この問題が、これほどの長期間にわたり、国民に対し、明らかにされてこなかったことは遺憾であると考えている。政府としては、今回の作業が外交に対する国民の信頼回復につながることを期待しており、今後とも、国民と共に歩む外交を実践し、国民の負託にこたえる外交の実現に努力していきたいと考えている。」との答弁がなされている。前回質問主意書で、外交に対する国民の理解と信頼を回復させる上でも、「報告書」が公表され、Cの密約の存在が明らかになった今、一で触れた虚偽の政府答弁書を起案・作成し、外務省としてそれを決定する際の決裁に関わってきた者に対し、やはり何らかの対応をとる必要があるのではないかと問うたところ、「前回答弁書」では「昨年九月十六日の岡田外務大臣の大臣命令に基づく調査開始前に決定されたお尋ねの答弁書は、政府としてのそれまでの一貫した立場を答弁してきたものである。したがって、これらの答弁書の作成等に関与した職員について、何らかの対応をとる必要があるとは考えていない。」と、岡田大臣として、右の者に何らかの対応をとることは考えていないとの答弁がなされている。岡田大臣は、かねてより国民の信頼と理解を得ずして外交は行えないと主張してきたと承知する。当方もその考えに完全に同意するものであり、またそのためには、「密約」についても、なぜこれまで国民を騙す答弁書が作られてきたのか、その責任は誰が負うべきであるのか、事実関係を明らかにし、事実は事実として、国民にきちんと伝えることが必要不可欠である。「前々回答弁書」では「この問題が、これほどの長期間にわたり、国民に対し、明らかにされてこなかったことは遺憾である」とされているが、前政権において、国民を騙す答弁書が作られてきたことに対する責任は誰が負うべきであるのか、そもそもなぜこの様な嘘をつく答弁書が作られるという行為が行われてきたのか、岡田大臣として、その事実関係を国民に明らかにする考えはあるか。
四 「前回答弁書」にある様に、岡田大臣として、Cの密約について嘘をつく答弁書が作られてきたのは、当時の政府としての一貫した立場を反映したものであると認識しているものと思料する。前政権において、国民を騙す答弁書が作られてきたことに対する責任は、外務省において虚偽の答弁書を作り、その決裁に関わった者や、それらの答弁書が作成された当時、条約局長、国際法局長、北米局長の任に就いていた者ではなく、あくまで当時の政府、つまり内閣総理大臣、外務大臣等の閣僚が負うべきであると考えているということか。
五 本年三月十九日の衆議院外務委員会に参考人として出席した元毎日新聞記者の西山太吉氏は、当時Cの密約の存在を明らかにしようとし、政府から情報をとろうとした結果、職を追われ、大きな社会的な打撃を被っている。右につき、岡田大臣としてどの様な見解を有しているか。
六 五で指摘した西山氏に思いを馳せる時、Cの密約をめぐり嘘がつかれてきたことに対する責任は、やはり誰かが負わなくてはならないと考えるが、岡田大臣として、前政権において、Cの密約に関し、当方の質問主意書に対して嘘の答弁書を作ってきた当時の総理大臣、外務大臣の任にあった者に対し、何らかの対応をとることは考えているか。

 右質問する。



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