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平成二十二年五月二十七日提出
質問第五一一号

日本駐留米兵の裁判権に係る日米密約についての外務省の説明等に関する質問主意書

提出者  鈴木宗男




日本駐留米兵の裁判権に係る日米密約についての外務省の説明等に関する質問主意書


 本年四月十日付読売新聞夕刊一面に、「『米兵裁判権を放棄』 日米が秘密合意 一九五八年文書で判明」との見出しで、一九五二年に締結された旧日米安全保障条約の付属協定である日米行政協定により、日本に駐留する米兵らの事件に関し、実質的に米国側に裁判権を譲るとしたとの密約(以下、「裁判権密約」という。)を示す文書が作成されていたことが、外務省の調査で明らかになったと報じられている。右と「政府答弁書」(内閣衆質一七四第四七五号)を踏まえ、質問する。

一 「政府答弁書」では「裁判権密約」について「外務省としては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)に基づき、我が国の当局が第一次裁判権を有する事件については、関係当局において、個別具体の事件に即して、我が国の法と証拠に基づき適切に対応しており、御指摘の『裁判権密約』が存在することを前提とした対応は行っていないものと認識している。」との答弁がなされている。「裁判権密約」について、例えば本年四月二十三日に閣議決定された政府答弁書(内閣衆質一七四第三八二号)では「本年三月九日、外務省は、いわゆる『密約』問題に関する調査の結果と併せて関連の文書を公表した。当該文書の中に、昭和三十三年十月四日の岸内閣総理大臣(当時)とマッカーサー駐日米国大使(当時)との会談を記録した文書(以下「本件文書」という。)がある。本件文書には、同大使が、千九百五十三年十月二十八日の刑事裁判権に関する分科委員会の文書に、日本側がある場合に裁判権を譲る趣旨が記録されているとして、同文書の公表を要請したとの趣旨の記述がある。お尋ねの文書は、本件文書を指すものと思われる。」との答弁がなされているが、「政府答弁書」では、要するに外務省として「裁判権密約」はないと認識していることを示しているのか。過去に我が国が、米国側に対して、「ある場合に裁判権を譲る」ことを認めたという事実はないのか。前自民・公明政権時に閣議決定された政府答弁書(内閣衆質一六九第四五六号)では、事実か否かは別として、「刑事裁判権に関し、我が国が一定の場合に、我が国の当局が有する裁判権を行使する第一次の権利(以下「第一次裁判権」という。)を放棄することについてアメリカ合衆国側との間で合意していたとの事実はない」旨、明確な答弁がなされていた。鳩山由紀夫内閣としても、「裁判権密約」があったのか否か、明確な答弁をすることを求める。
二 過去の答弁書では、「裁判権密約」について「外務省として、二についてでお答えした調査の結果の公表後、御指摘のような調査は行っていないが、お尋ねの『裁判権密約』の問題については、引き続き、適切な形で説明責任を果たしていくよう努力したい。」との答弁がなされていることを受け、過去の質問主意書で、外務省として今後どの様にして、いつまでを目処に「適切な形で説明責任を果たしていく」考えでいるのかと問うたところ、「お尋ねについては、現時点では具体的に決まっていない。」との答弁がなされている。仮に「裁判権密約」の様な合意が日米でなされていたのなら、我が国の国家主権に関わる大変な問題であり、それについて報道がなされ、国民の間に疑念がわき上がっている今、一刻も早い確認作業が求められると考える。同省として、それについて現時点で決めていないのはなぜか、右は同省の怠慢ではないのかと問うたところ、「政府答弁書」では「御指摘の『裁判権密約』の問題については、他の案件の緊急性等をも勘案しつつ、所要の作業を行い、適切な時期に適切な形で説明責任を果たしていくよう引き続き努力することとしており、現時点で、いつまでにどのような形で説明責任を果たすかについて具体的に決まっていないことが外務省の『怠慢ではないのか』との御指摘は当たらないものと考える。」との答弁がなされている。「裁判権密約」についてクローズアップされる様になったのは、沖縄返還時の核持ち込みや原状回復費の支払いに関するいわゆる密約問題についての調査がなされたことがきっかけである。右の密約について、外務省は有識者委員会を組織し、詳細な調査を行い、国民に対する説明責任を果たすべく、努力をしたことを鑑みても、「裁判権密約」に対する右の同省の対応は、動きが緩慢で、国民に対する説明責任を果たそうとする熱意が見られないと考えるが、岡田克也外務大臣の見解如何。
三 岡田大臣として、「裁判権密約」に関する調査をいつ始め、いつを目処にその結果を発表するかについての見通しだけでも、せめて国民に明らかにするべきではないのか。

 右質問する。



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