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平成二十三年一月二十六日提出
質問第一三号

環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に係る政府による国民への説明等に関する質問主意書

提出者  浅野貴博




環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に係る政府による国民への説明等に関する質問主意書


 昨年十月一日、菅直人内閣総理大臣は、所信表明演説の中で環太平洋戦略的経済パートナーシップ協定(TPP)に関し、「私が議長を務めるAPEC首脳会議では、米国、韓国、中国、ASEAN、豪州、ロシア等のアジア太平洋諸国と成長と繁栄を共有する環境を整備しなければなりません。かけ橋として、EPA、FTAが重要です。その一環として、環太平洋パートナーシップ協定交渉等への参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏の構築を目指します。」と述べている。また本年一月二十四日の施政方針演説(以下、「演説」という。)では「環太平洋パートナーシップ協定は、米国を始めとする関係国と協議を続け、今年六月を目途に、交渉参加について結論を出します。」と述べている。右と「政府答弁書」(内閣衆質一七六第九二号)を踏まえ、質問する。

一 「政府答弁書」で政府は、「TPP協定交渉の内容については、我が国が交渉に参加していないことから、政府としてお答えする立場にはない。」との答弁がなされていたが、現在政府として、例えば本年一月十三日、十四日の日程で、米国ワシントンにおいて米国通商代表部と協議を行っているように、TPP交渉またはTPPの内容そのものに関する情報収集を行っていると承知する。現時点に至るまで、政府としてどこの国とどの場でどのような協議を行い、TPP交渉またはTPPの内容に関する情報収集を行ってきているのか、すべて明らかにされたい。
二 一の収集活動によって得られた情報を、政府としてこれまで国民に対して可能な限り明らかにし、説明をしてきているか。
三 そもそも政府、菅直人内閣として、TPP交渉への参加を検討し始めたのはいつか。
四 「演説」において菅総理は、「農林漁業の再生」として、「『平成の開国』を実現するため、もう一つの大目標として農林漁業の再生を掲げます。貿易を自由化したら農業は危うい、そんな声があります。私は、そのような二者択一の発想は採りません。」と述べている。我が国がTPPに参加し、すべての貿易品目の関税が完全に撤廃された場合、大きな影響を受ける産業の具体例として、農業はじめ第一次産業が挙げられることが多い。しかし、現在TPP参加国が二十四の分野について協議を進めているように、TPPが対象とする分野は第一次産業だけに留まるものではないと承知する。例えば米国は、オバマ大統領が昨年三月に「外国貿易障壁報告書」を発表した中で、我が国の医療サービス市場を海外企業に開放することを求めている。仮に我が国の医療サービス市場が海外企業に全面的に開放された場合、国民皆保険を旨とする我が国の医療体制が大きく変わり、安心安全な医療を受けられなくなる国民が出てくる可能性もある。このように、TPP参加により我が国が受ける影響は非常に多岐に渡るものであり、単に農業再生を図れば良いというものではないと思料するが、この点につき、政府として、国民にどのような説明をしてきているか。
五 TPPに関し、北海道に限らず、第一次産業従事者はじめ地方に住む人たちが最も危惧し、不満に感じているのは、当方が各方面の意見を聞く限りでは、政府、菅内閣が昨年十月一日、突如この話題を持ち出し、また何の説明もないまま、参加に向けて前のめりに走っていることであると考える。また昨年、前原誠司外務大臣がTPP参加について、「我が国のGDPに占める比率が一.五%しかない農業のために、残りの九八.五%が犠牲になっている」旨の発言をしたことに対しては、多くの第一次産業従事者が強い不満、憤りを感じている。昨年十月一日に政府がTPPについて言及して今日に至るまで、またそれ以前においても、政府としてなぜTPPへの参加を目指しているのか、参加により我が国の産業構造、つまり国の形がどのように変わるのか等について、国民に対する説明は十分ではなく、またいたずらに第一次産業について「平成の開国」を拒む抵抗勢力化のような表現を用いてしまったことで、国民の間に混乱と不安を招いてしまったのではないのか。政府の見解如何。
六 五で指摘したことにつき、少なくとも政府として明確な釈明、説明がない限り、TPPに関する国民の広い理解を得ることは困難であると考えるが、政府の見解如何。

 右質問する。



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