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平成二十三年六月二十四日提出
質問第二七一号

中国の海洋覇権に関する質問主意書

提出者  木村太郎




中国の海洋覇権に関する質問主意書


 本年六月八日、中国海軍の駆逐艦など計八隻が、沖縄本島と宮古島の間の公海上を太平洋に向けて通過したと、防衛省統合幕僚監部が発表した。これまで主だった中国の海洋進出の活動を、昨年七月ASEAN地域フォーラムにおいて、米国が非難したところであるが、同年九月には、尖閣諸島沖で領海侵犯した中国漁船が我が国の海上保安庁の巡視船に衝突したのに加え、本年三月から四月にかけて、中国国家海洋局のヘリや小型機が東シナ海において我が国海上自衛隊護衛艦に異常接近、同年五月には、中国監視船が南シナ海において、ベトナムの資源探査船の活動を妨害、そして今月、シンガポールでのアジア安全保障会議で、南シナ海の南沙諸島などの領有権を巡り、ベトナムなどと中国が激しく応酬した矢先の今回の行動である。
 昭和四十三年、国連アジア極東経済委員会は東シナ海の海底調査報告を発表したが、これを契機に中国は尖閣諸島の領有権を主張し始めるのである。当時この海域において、日本、台湾、韓国、北朝鮮の四ヶ国がそれぞれ鉱区を重なり合って設定していたため、日本国岸総理の提唱により、日本、台湾、韓国の三ヶ国で領有権を棚上げし共同開発する計画が進んでいた。そこへ突如として、「この海域は中国のものであり、日本は、また中国の資源を狙っているのか」と反日を唱えつつ恫喝してきたのである。
 換言すれば、中国の狙いは尖閣諸島に限らず、東シナ海全域の海洋覇権ということであり、前記の一連の行動がそれを物語っている。昨年九月、中国漁船衝突事件の際、中国は即座に約束を破り東シナ海の中心に位置する春暁ガス田の開発を再開したが、これは中国海軍の山東半島における北海艦隊と膠州湾における東海艦隊が、沖縄本島と宮古島との間を縫って西太平洋に進出する通路であることは周知の通りである。また、この施設にはヘリポートがあり、今後におけるガス田の計画によれば数ヶ所のヘリポートが完成されることになり、中国海軍、空軍ともに哨戒や演習など現在以上に活発になることは必至である。
 戦後の歴史を紐解いた時、日米同盟にとって、国際共産主義勢力に技術援助を以って強化することが、共産主義国内の貧富の差を生じさせ、自由主義国の軍事力強化を生み、世界を軍備強化の悪循環に陥れ、引いては自由主義国内部の社会不安を引き起こし、共産主義国の勢力増大に拍車をかけさせる結果となるということを再認識しなければならない。今や核を保有する大国となった中国の目覚しい発展の、その結果待つものは人類が核戦争による人類破滅の危機にあることを直視し、日米安保について、我が国は片務的でなく双務化を促進し、相互・自国防衛により一層努めなければならないものと考える。
 従って、次の事項について質問する。

一 本年六月八日、中国海軍の駆逐艦など計八隻が、沖縄本島と宮古島の間の公海上を太平洋に向けて通過したことについてどのように捉えているのか、菅内閣の見解如何。
二 本年五月、中国監視船が南シナ海において、ベトナムの資源探査船の活動を妨害、そして今月、シンガポールでのアジア安全保障会議で、南シナ海の南沙諸島などの領有権を巡り、ベトナムなどと中国に摩擦が生じ、激しく応酬したことについてどのように分析しているのか、菅内閣の見解如何。
三 二に関連し、本年七月下旬に控えている「ASEAN地域フォーラム」においては、新総理の下での外務大臣が出席するのか、また、現段階において中国に対してどのような抗議をするのか、菅内閣の見解如何。
四 かつて、日本、台湾、韓国の三ヶ国で東シナ海の領有権を棚上げし、共同開発する計画が進んでいたにも拘わらず、突如として「この海域は中国のものであり、日本は、また中国の資源を狙っているのか」と反日を唱えつつ恫喝してきた中国の態度についてどのように捉えているのか、菅内閣の見解如何。
五 昨年、中国が東シナ海の中心に位置する春暁ガス田の開発を再開し、これが中国海軍の山東半島における北海艦隊と膠州湾における東海艦隊が、沖縄本島と宮古島との間を縫って西太平洋に進出する通路であることについてどのように認識し分析しているのか、菅内閣の見解如何。
六 五に関連し、春暁ガス田の施設にはヘリポートがあり、今後におけるガス田の計画によれば数ヶ所のヘリポートが完成されることになり、中国海軍、空軍ともに哨戒や演習など現在以上に活発になることは必至と考えるが、我が国としてどのように対応していくのか、菅内閣の見解如何。

 右質問する。



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