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平成二十三年七月十一日提出
質問第三一五号

大規模災害時における情報収集衛星の活用に関する再質問主意書

提出者  吉井英勝




大規模災害時における情報収集衛星の活用に関する再質問主意書


 先の質問主意書(本年六月三十日提出、質問二八六号)において、東日本大震災という未曾有の大災害に際し、政府が「大規模災害等への対応」を目的に運用している情報収集衛星が撮影した画像情報の公開の問題を取り上げた。大規模災害への対応を目的として導入を決めた人工衛星でありながら、情報収集活動に支障を及ぼすという理由で、政府は災害に対応する機関・組織や研究者等に衛星画像を全く公開せず、利用もさせていない。これは政府自らが国民の命と安全を確保する責任を果たしていないことと、大規模災害への対応という言葉が軍事偵察衛星である実態を覆い隠すための「方便」に過ぎないことを指摘したが、答弁書において「御指摘は当たらない」という見解が示された。
 よって、次のとおり質問する。なお、元号は使わずに、すべて西暦で表記されたい。

(一) 東日本大震災における被災者救援、被害情報把握、復旧活動等において、情報収集衛星が撮影した画像と画像に基づいて作成された情報を利用した省庁名をすべてあげられたい。
(二) 東日本大震災への対応に当たり、省庁ごとの情報収集衛星の詳細な利用状況を明らかにするように求めた。大規模災害への「対応」とは、「被災地における政府の支援活動等をいうもの」と答えたが、省庁別の状況については「それぞれの所掌事務の遂行における情報源の一つとして、その結果を活用」とあるだけで、省庁別の詳細がなかった。利用省庁別の具体的な支援活動とはどのようなものであったのか。その内容を明らかにされたい。
(三) 政府は、大規模災害の被害状況を撮影した画像を公開すると、情報収集衛星の性能と運用状況が明らかになるという。衛星の性能と運用状況が明らかになると、なぜ「今後の安全保障上の情報収集活動に支障を及ぼすおそれ」が生じるのか。その理由を分かりやすく答えられたい。
(四) 内閣情報調査室が情報収集の画像を基に作成した被災状況推定地図について、答弁書によれば「当該地図を配付された関係省庁においては、現地対策本部等に当該地図を配付し、現地の移動可能な経路の把握、津波により被災した農地面積の推計、被災した企業活動拠点の把握等に活用しているところ」とある。これらの情報取得であれば、民間商用衛星や航空機による撮影画像を使えば可能であり、情報収集衛星の画像は必要としないのではないか。
(五) 東北電力・女川原発も津波の被害を受け、重油タンクが転倒する等の外見でも明確な被害があったにもかかわらず、被災状況推定地図の当該部分には津波の浸水が及んでいないことになっていることから、情報収集衛星の画像に津波の浸水状況が撮影されていないのか質した。これに対する答弁は「今後の安全保障上の情報収集活動に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい」というものであったが、実際には内閣衛星情報センターは、女川原発とその周辺に津波の浸水があったことを判読・分析することができなかったのではないか。
(六) 答弁書において、情報収集衛星の目的であると政府が主張する「大規模災害等」に、東京電力・福島第一原発の事故が含まれることが明らかとなった。さらに、公開されている同原発の状況を撮影した画像は、内閣官房が米国の保有する衛星画像を代理店経由で、三千六百万円あまりで購入していることも明らかとなった。
 質問主意書では情報収集衛星が福島第一原発の状況を撮影しているか否かを質したが、それに対する明確な答はなかった。大規模災害に含まれる福島第一原発事故の状況を把握するため、情報収集衛星を運用する内閣官房自身が、わざわざ米国の衛星画像を購入しているのは予算の無駄であると思うが、なぜ他国の衛星画像を購入する必要があったのか、その理由を明らかにされたい。情報収集衛星が設計どおりの機能を果たしていなかったからなのか。あわせて答えられたい。
(七) アメリカからの商用衛星の画像を購入した主体は内閣官房とあるが、これは内閣情報調査室か、内閣衛星情報センターか、あるいは他の組織か、明らかにされたい。
(八) 商用衛星画像の購入先は日本スペースイメージング(株)と(株)日立ソリューションズで、価格は合計で三千六百八万五千七百七十円であることが示されたが、その内訳を購入先と衛星別に示されたい。また、各衛星の分解能を示されたい。
(九) 二社からの衛星画像購入の契約は、それぞれ一般競争入札だったのか、随意契約だったのか。一般競争入札であれば、入札参加者と入札価格、落札価格、予定価格とをそれぞれ明らかにされたい。また、随意契約であれば、随意契約にした理由は具体的に何であり、予定価格はいくらであったか。
(十) 答弁書に「現在、運用できるレーダ衛星がないため、情報収集活動に一定の制約は生じているものの、他の光学衛星を活用することなどにより、支障が生じないよう努めているところ」とある。そうであれば、必ずしもレーダ衛星は必要ないのではないか。
(十一) 未曾有の被害をもたらした大災害でも、「大規模災害等への対応」を目的とした衛星が得た情報を明らかにすることができない実態ならば、情報収集衛星に関連するすべての予算の執行を停止し、あわせて衛星の運用と今後の予算計上とをやめ、それを大震災の復興予算財源に充てることを求めた。これに対し答弁書では「今後とも、情報収集衛星を大規模災害等への対応にも有効に活用してまいりたい」と、それを拒否する姿勢を示した。予算執行停止や衛星運用の停止、予算計上の打ち切りを拒否するのは、情報収集衛星の真の目的が他国や他地域を宇宙から偵察、監視することにあるからなのではないか。
(十二) 情報収集衛星の一号機から八月二十八日に打ち上げ予定の光学四号機まで(軌道投入に失敗したものを含む)、また、現在開発・製造中の情報収集衛星までを合計すると全部で何機になるか。これらの製造(開発中含む)の契約相手はすべて随意契約により三菱電機と思うが、今後も情報収集衛星は三菱電機が受注することになっているのか。予算の執行停止や衛星の運用停止、今後の予算計上の打ち切りができないもう一つの理由は、三菱電機の情報収集衛星の受注を確保することを保障するためだからではないのか。あわせて答えられたい。
(十三) 情報収集衛星のうち、レーダ衛星二機が設計寿命前に運用を停止した原因について、答弁書には「厳しい宇宙環境下における運用」による「電源系の経年劣化が原因と思われる」とある。地球周回軌道上にある人工衛星の障害の原因を宇宙空間に行って直接調べたり、地上に持ち帰って調べたりすることは現状ではほとんど不可能と考えられるが、「電源系の経年劣化が原因」という判断は、誰が、いつ、どのような調査と方法によって下したものなのか。また、電源系の経年劣化が設計寿命よりも早くなった理由は何であったと考えられるのか。一方で、情報収集衛星の光学衛星では電源系の経年劣化が設計寿命に影響を与えていないのはなぜなのか。あわせて答えられたい。
(十四) 宇宙航空研究開発機構(JAXA)保有の陸域観測技術衛星ALOS(通称、だいち)の主たる製造社は日本電気(株)(NEC)であった。「だいち」も情報収集衛星同様に合成開口レーダを搭載し宇宙から地球観測を行っていたが、設計寿命三年のところ、実際には設計寿命より二年長い約五年四ヶ月の運用期間を経て本年五月まで運用が続き、東日本大震災での各地の被災状況も撮影し公開してきた。
 「だいち」の軌道高度は地上約六百九十kmであり、情報収集衛星の軌道高度は内閣官房の資料によれば地上五百km前後と、「だいち」よりも低い。「厳しい宇宙環境下における運用」という条件は「だいち」も情報収集衛星レーダ二機も同様であり、情報収集衛星だけが「厳しい宇宙環境下における運用」というのは人を欺くものである。「だいち」が設計寿命よりも二年も長く運用が可能であったのに対し、情報収集衛星のレーダ二機が設計寿命よりも短い期間で運用を停止するに至ったのはどういう理由からと考えているか。また、三菱電機の製造社としての責任は全くないと考えているのか。
(十五) レーダ衛星二機の運用障害は「故意により発生したものではないと考えられる」とのことだが、なぜ故意により発生したものでないと断定できたのか。
(十六) 「だいち」はこれまでも国外を含めて大災害が発生した際に、宇宙からの画像を公開・提供してきたが、東日本大震災でも運用が終わる直前まで観測を続けていた。JAXAによれば、「だいち」の合成開口レーダによる観測で、広範囲にわたる津波被害を把握し公表。震災当日から翌日に、七十六枚の「だいち防災マップ」を内閣府に提供し、各県の対策本部に送付している。国土交通省からは津波の浸水状況について情報の提供の要請があり、広範囲にわたる合成開口レーダによる解析結果を報告し、海上の浮遊物情報も提供している。地殻変動の解析も行っている。農林水産省からは農地の浸水状況について情報を提供し、六県で二万ヘクタール以上の浸水が推定されると判明した。これは今後の農地復旧工法検討の材料として利用されるという。京都大学防災研究所には、緊急地図作成プロジェクトのために画像を提供している。
 「だいち」の例のように災害状況を撮影した衛星画像は、広く公開し活用してこそ意味がある。答弁書で明らかになったように「大規模災害等への対応」という目的を掲げ約八千二百億円もの多額の経費をつぎ込みながら、災害の情報を国民の前に全く公開しない情報収集衛星では、存在そのものが無用の長物であり浪費である。災害の情報でさえこれまでどおり非公開を続けるのであれば、重ねて運用の停止と今後の予算計上の打ち切りを求め、大震災の復興財源に充てるべきと考えるが、政府の見解はどうか。
(十七)「だいち」の後継機(ALOS−2、ALOS−3)は技術試験衛星という位置づけで、開発を進めているのか。宇宙から撮影した災害状況を、広く公開し活用できる実用衛星にすることを検討していないのか。できないとすれば何らかの理由があるのか。
(十八)「だいち」の観測データは国内地上局への直接伝送だけでなく、データ中継衛星DRTS(通称、こだま)も利用していたが、「こだま」は二〇〇三年に打ち上げられ、すでに設計寿命を過ぎて運用しているのではないかと考えられるがどうか。「こだま」の後継機の計画はどういう状況か。また、情報収集衛星のデータ伝送や、自衛隊が活用している人工衛星のデータ伝送に「こだま」を利用しているのか。あわせて、データ中継用に現在「こだま」を利用している人工衛星の名称を、その保有者とともに明らかにされたい。
(十九) 情報収集衛星のデータ受信は、北海道苫小牧市の苫小牧衛星情報センター(北受信管制局)、茨城県行方市の北浦衛星情報センター(副センター)、鹿児島県阿久根市の阿久根衛星情報センター(南受信管制局)で受信していると思うが、国内に三つも受信局を置いている必要性を明らかにされたい。
 また、受信管制局を含んだ地上施設の建設、維持管理や改修、整備費に毎年度いくら支出しているのか。九八年度から施設別に、円単位で答えられたい。
(二十) 答弁書において、現時点での内閣衛星情報センターへの防衛省や警察庁、公安調査庁をはじめ省庁からの出向者は合計で七十二名であることが示された。同センター設置以来、これまでの省庁別の出向者は合計何人か。出向前の官職名(職位)とともに示されたい。また、同センターの定員に変化があれば、あわせて示されたい。
(二十一) 現時点の内閣衛星情報センターの定員二百十九名のうち、省庁からの出向者七十二名を除いた百四十七名は民間企業や独立行政法人等の退職者を採用したものか、あるいは民間企業や独立行政法人等の出向者なのか。独立行政法人や公益法人からの者であれば、法人ごとに中途採用・出向の別を付してその人数を明らかにされたい。
(二十二) 民間企業や団体からの採用者(出向含む)の数を明らかにすると、「今後の内閣衛星情報センターの業務に支障を及ぼすおそれがある」と考える理由は何か。具体的に明らかにされたい。また、これまでその情報を明らかにしたことで、実際の業務に何らかの支障が起きたことがあるのか。
(二十三) 内閣衛星情報センターの幹部職員の人事は「適材適所の観点」から行っているとある。同センター初代所長・國見昌宏氏は一九九九年十二月、防衛庁情報本部長を最後に退職。ヤマト運輸(株)経営企画本部部長に再就職した後、同センター所長に就任した。三代目の所長・椋木功氏は二〇〇八年三月に防衛省情報本部長を最後に退職後、同センター所長に就任している。情報本部は防衛省の諜報活動を行う組織で、両名はその組織の長であった。「適材適所の観点」から同センター所長に任命したとすれば、同センターが諜報活動の組織・施設であることを象徴していると考えられる。両名の所長就任人事が、「適材適所」と考える根拠を明らかにされたい。
 また、所長の人事とあわせて、省庁からの出向者七十二名のうち防衛省、公安調査庁、警察庁からの出向者が合わせて四十八名もいることは、同センターが運用する情報収集衛星は「大規模災害等への対応」とあたかも民生用途の人工衛星を装いながらも、実態は軍事偵察衛星であることの裏付けとなるものではないか。
(二十四) 国会議員に対する説明のため、議員会館に来る内閣衛星情報センターの職員が名刺を持たないことについて、答弁書では「情報保全の観点から、職員に対し、名刺の作成・配布については業務上必要なものに限るよう指導しているところ」と述べている。当該職員に何度名刺を求めても常に名刺を渡さず、その理由を問うと「名刺を持たないため」というのが事実であり、「「国会議員に対して議員会館に説明に来る内閣衛星情報センターの職員は常に名刺を持たない」ということはない」という答弁は誤りではないか。
(二十五) さらに当該職員に対し、出向元の省庁名を問うてもそれを明かさない事実もある。国会議員への説明に際し、「名刺の作成・配布について業務上必要なもの」について、業務上必要なものとそうでないものとの基準はどこにあるのか。また、国会議員への説明に伴い職員が名刺を渡すことは、情報保全の観点から支障があるのか。業務上不必要なものだという考えなのか。分かりやすく説明されたい。
(二十六) 答弁書によれば、情報収集打ち上げ用のH2Aロケット十六号機の製造費と打ち上げ費を合わせた額は九十四億九千百万円、同十九号機の製造費と打ち上げ費を合わせた額は百三億七千万円である。これ以外の情報収集衛星を打ち上げた五号機・六号機・十号機・十二号機の打ち上げに係る予算額は四機とも約十九億円で、ほぼ同額である。十六号機と十九号機の製造と打ち上げ者はともに三菱重工業(株)だが、十九号機の予算は十六号機より八億八千万円高くなっている。打ち上げに要する費用は、三菱重工業の方針から考えれば同額か安くなっているはずと思われるが、十九号機が高額になっている分の具体的な内訳は何か。明らかにされたい。
(二十七) H2Aロケットの製造費と打ち上げ費とを、一括して計上するようになったのはいつからで、その理由は何か。一括計上は政府にとって何らかの利点があるのか。
(二十八) これまで打ち上げたH2Aロケットの一号機から十八号機までの製造費と、打ち上げ費はそれぞれいくらか。百万円単位で答えられたい。あわせて、打ち上げ日、打ち上げ依頼者、打ち上げ者、搭載した衛星等の名称を示されたい。
(二十九) 情報収集衛星の打ち上げに限らず、H2Aロケットの打ち上げ者が宇宙航空研究開発機構(JAXA)から三菱重工業に変わったのは、打ち上げに関する業務が三菱重工業に移管されたことによると思うが、同社への移管の目的は何で、どういう手続を経て移管したのか。詳細に示されたい。また、移管に際し同社は、国もしくはJAXAに対し、いつ、何の名目でいくらの支払いを行ったのか。
(三十) 打ち上げ者が三菱重工業になってから、同社は打ち上げに際し、国もしくはJAXAに対し何らかの負担を求めているか。求めているとすれば、その名目は何で、金額はいくらか。ロケットの号機ごとに示されたい。

 右質問する。



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