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平成二十三年七月二十八日提出
質問第三五六号

原子力発電所の安全基準に関する再質問主意書

提出者  稲田朋美




原子力発電所の安全基準に関する再質問主意書


 本年七月四日提出「原子力発電所の安全基準に関する質問主意書」(質問第二九五号)で、福島第一原子力発電所の事故を踏まえた原子力発電所の安全基準について明らかにすることを求めたが、本年七月十二日受領、答弁第二九五号(内閣衆質一七七第二九五号)における答弁は、極めて曖昧で不明確な内容であった。さらに、上記質問主意書提出後、九州電力株式会社玄海原子力発電所(以下「玄海原発」という。)について、いったん地元自治体に再稼働の了承を要請し、了承を得た直後、ストレステストを経なければ再稼働を認めないと態度を豹変させた。
 そのため、原子力発電所の立地する自治体や周辺住民は困惑の度を増し、益々不安にさいなまれている。
 そこで、次の事項について質問する。

一 答弁第二九五号記載によれば、「各電気事業者に対し、炉心損傷等のシビアアクシデントが万一発生した場合でも迅速に対応するために直ちに取り組むべき措置として、緊急時における発電所構内通信手段の確保、水素爆発防止対策等の実施を指示し、当該指示に対する各電気事業者からの報告を踏まえ、現地での立入検査や訓練の立会いにより確認及び評価し、これらの措置が適切に実施されていることを確認している」とのことであるが、例えば、万が一、関西電力株式会社大飯原子力発電所、同高浜原子力発電所、同美浜原子力発電所、日本原子力発電株式会社敦賀原子力発電所、独立行政法人日本原子力開発機構原子炉廃止措置開発センター(ふげん)、同高速増殖原型炉「もんじゅ」(以下「もんじゅ」という。)においてシビアアクシデントが生じた場合、これらの原子力発電所所在地周辺において、それぞれ具体的にはどのような被害や影響が生じると想定しているのか、明らかにされたい。
二 もんじゅは冷却材としてナトリウムを使用しており、配管が損傷するなどして冷却材が漏出した場合には重大な事態を招くおそれがある。もんじゅにおいてシビアアクシデントが発生し、ナトリウムが漏出した場合で最悪の場合にはどのような事態になるのか。その場合の安全対策としてどのような措置がとられているのか、明らかにされたい。
三 答弁第二九五号によれば、「福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、平成二十三年三月三十日に各電気事業者に指示した緊急安全対策の実施状況について、立入検査や訓練の立会いにより確認及び評価し、福島第一原子力発電所の事故を引き起こしたものと同程度の津波により、全交流電源喪失に至ったとしても、原子炉の炉型によらず、炉心を管理された状態で維持し冷温停止状態につなげることができる対応の手順の整備や必要な機器の配備を行っていること、防潮堤の整備や建屋の水密化など中長期対策を計画していることなどを確認して」おり、さらに「各電気事業者に対し、炉心損傷等のシビアアクシデントが万一発生した場合でも迅速に対応するために直ちに取り組むべき措置として、緊急時における発電所構内通信手段の確保、水素爆発防止対策等の実施を指示し、当該指示に対する各電気事業者からの報告を踏まえ、現地での立入検査や訓練の立会いにより確認及び評価し、これらの措置が適切に実施されていることを確認している」とのことであり、これを踏まえ、定期検査で停止中の玄海原発の再稼働をいったん決定したものと考えるが、その後、政府は「ストレステスト」を経なければ再稼働を認めない方針に転換した。これは、従前、再稼働を認めていた答弁第二九五号記載の安全基準では安全性に問題があったということか、そうでないならば、なぜ再稼働を延期する必要があるのか、明らかにされたい。
四 答弁第二九五号に記載された安全基準に基づく確認で原子力発電所の安全性に問題がないとすれば、なぜ、いったん安全基準を定め、それに従って対策を行い、再稼働まで要請しておきながら、急にストレステストを行うことになったのか。欧州においてストレステストを行っているから日本も行うというのでは、あまりに場当たり的で、主体性に欠けるが、ストレステストを導入しなければならなくなった理由を明らかにされたい。
五 経済産業省の説明によると、ストレステストは、シミュレーションによりどのくらいの地震や津波でどのように破壊が進行するか確認し、想定する地震や津波に対する余裕度を算出するテストであるとのことであり、このテスト自体によって原子力発電所が安全であるか否かを判定するものではないとのことである。停止中の原子力発電所の再稼働の可否や原子力発電所の安全性は、ストレステストにより算出された余裕度を見て、内閣総理大臣、内閣官房長官、経済産業大臣、内閣特命担当大臣が判断するが、具体的な判断基準は設定されていないとの説明であるが、技術的には素人の閣僚が、何を根拠に再稼働の可否や安全性を判断するのか、明らかにされたい。
六 もんじゅについても、他の原子力発電所と同様にストレステストを実施し、再稼働の可否や安全性を判断するとのことである。技術的には素人の閣僚が明確な基準もなく再稼働の可否や安全性を判断するということは、政策的、政治的判断とならざるを得ないと考えるが、それならばなぜ、もんじゅの所管大臣である文部科学大臣が判断権者に含まれないのか、明らかにされたい。
七 再稼働を検討する他の原子力発電所と異なり、もんじゅに関するストレステストについては一次評価は行わず、二次評価のみを行うとのことであるが、なぜ、もんじゅについては一次評価を行わないのか。また、もんじゅは他の発電所とは全く異なる方式、技術、冷却材を使用した原子炉なのだから、他の原子力発電所とは異なる独自のテストを行うべきであると考えるが、なぜもんじゅについて独自のテストを用意しないのか。それぞれ理由を明らかにされたい。
八 答弁第二九五号では、万が一、原子力発電所においてシビアアクシデントが発生しても安全性を維持できるとしており、他方、経済産業省の説明ではストレステストはあくまで計算上のシミュレーションであってテストの実施のために原子力発電所を停止する必要はないとのことである。それならば、安全性の確認できた原子力発電所は再稼働させ、電力供給を安定させて東日本大震災の復興や日本経済の立て直しに注力しつつ、並行してストレステストを行えば足りるはずである。なぜ、東日本大震災の復興や日本経済の立て直しに注力する必要があり、しかも電力需要が増大するこの時期に、原子力発電所の再稼働を延期して電力需給を逼迫させ、東日本大震災の復興や日本経済の立て直しを妨害するような方法でストレステストを行うのか、その理由を明らかにされたい。
九 今回行うストレステストの一次評価においては、設計上の強度で計算を行うとのことであるが、その強度の想定において、建設から三〇年、四〇年を経た高経年による強度の劣化も想定しているのか、明らかにされたい。
一〇 答弁第二九五号によれば、中部電力株式会社浜岡原子力発電所(以下「浜岡原発」という。)について運転を停止すべきと判断した根拠は、「平成二十三年一月一日から三十年以内にマグニチュード八程度の想定東海地震が発生する可能性が八十七パーセントと極めて切迫していることに加え、想定東海地震は東北地方太平洋沖地震と同じプレート間地震であるため、大規模な津波の襲来の可能性が高いことが懸念される」とのことであるが、福島第一原発において平成二三年一月一日から三〇年以内にマグニチュード八程度の地震が発生する可能性は零パーセントであったことからすると、浜岡原発以外の原子力発電所も大規模な地震に襲われる可能性が福島第一原発以上にあることは浜岡原発と同じであり、浜岡原発だけ停止を要請する理由にはならない。福島第一原発よりも大規模な地震が生じる可能性の高い原子力発電所の中で、なぜ、浜岡原発だけ全面停止を求めたのか、その理由を明らかにされたい。
一一 平成一五年一月二七日名古屋高裁金沢支部判決は、もんじゅについて安全審査に瑕疵があるとして原子炉設置許可を無効としたのに対し、平成一九年一〇月二六日静岡地裁判決は浜岡原発について安全性に問題はないとして運転差し止めを求める原告らの請求を棄却した。訴訟において一度は安全性に問題があるとされたもんじゅの方が、一度も安全性に問題があると判示されたことのない浜岡原発よりも安全だとする根拠は何か、明らかにされたい。

 右質問する。



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