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平成二十三年十一月七日提出
質問第三〇号

国選付添人制度(少年事件)に関する質問主意書

提出者  秋葉賢也




国選付添人制度(少年事件)に関する質問主意書


 国選付添人制度は、平成十二年の少年法改正で、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた場合等一定の重大事件について、その非行事実の認定手続の適正化を図るために少年審判への検察官関与を認める制度が設けられたこととの均衡上、少年に弁護士である付添人がいないときは、家庭裁判所が職権で国選付添人を付する制度として創設されたものであり、次いで、平成十九年の少年法改正では、検察官関与対象事件等で観護措置がとられ少年鑑別所に送致された場合にも、少年に弁護士である付添人がいないときは、家庭裁判所の裁量により国選付添人を付する制度が新設された。
 さらに、平成二十年の少年法改正において、家庭裁判所が相当と認める場合、故意の犯罪行為により被害者を死傷させた場合等一定の重大事件の被害者等による少年審判の傍聴を許すことができる(被害者の権利保護)制度が導入されたこととの関係で、被害者等の傍聴を許す場合で、少年に弁護士である付添人がいない場合に、家庭裁判所がこれを付さなければならないという制度が創設された。
 国選付添人制度の運用状況をみると、平成二十二年の司法統計(最高裁判所)によれば、自動車運転過失致死傷事件及び道路交通法違反事件等を除いた一般保護事件の終局総人員五万三千六百三十二人のうち国選付添人が付された少年は三百四十二人である。観護措置がとられた少年の数は一万六百三十九人であり、そのうち約三十パーセントに当たる三千百八十五人が少年院送致決定を受けている一方、観護措置がとられていない少年四万二千九百九十三人については、一パーセントにも満たない百十四人のみが少年院送致決定を受けたに過ぎないことから、観護措置をとられた少年は、そうでない少年に比して、少年院送致決定がされる可能性が極めて高い。(刑事事件の被告人については、同年の司法統計によれば、地方裁判所の刑事事件の終局総人員六万二千八百四十人のうち六万二千四百一人に弁護人がついており、さらに、そのうち国選弁護人がついている被告人は五万二千七百七十九人であり、被疑者段階から国選弁護人がついている者は三万二千四百六十五人となっている。)
 また、少年の主張に十分耳を傾けるなどして、少年の納得が得られるような手続を踏んで非行事実の認定が適正にされ、それを前提に適切な処遇決定がされることは、少年の自立的な更生のために極めて有効である上、誤った事実認定は、少年の人権を侵害することにとどまらず、少年審判制度全体の信頼を揺るがしかねないものであることから、専門家である弁護士を付添人として付する必要性は高い。
 右制度の概要と当該制度の運用状況を踏まえ、以下、政府に質問する。

一 これまで、非行事実の認定手続の適正化や少年の権利保護等のために、国選付添人制度を導入し、その範囲は制度上拡大していると了知するが、政府としては、現行の国選付添人制度が制度創設の趣旨を充分に実現していると解しているのか否か。
二 一の回答が否である場合、政府は、現行の国選付添人制度の範囲を拡大することを、現段階で、検討しているのかどうか。
三 これまでの法改正で、捜査段階における被疑者国選付添人制度の対象事件が拡大されてきたことについては右で述べた通りであるが、家裁送致後の少年に対する国選付添人制度の適用は、今なお、非常に限定されていると言わざるを得ない。将来、少年が社会に果たすであろう可能性を不当に剥奪しないよう、また、少年自身の自己反省や立ち直りを促すためにも、観護措置がとられた事件については全て国選付添人を付することができるとすることについて、政府の所見を伺いたい。

 右質問する。



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