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平成二十三年十二月七日提出
質問第一一九号

冤罪の定義に関する第三回質問主意書

提出者  浅野貴博




冤罪の定義に関する第三回質問主意書


 二〇〇九年十月、法務省において、同省政務三役を中心とする取調べの可視化に関する省内勉強会が設置され、その最終報告(以下、「最終報告」とする。)が本年八月八日に公表されている。その概要版の「第二 被疑者取調べの可視化の在り方(検討結果)」という部分の中で、
 「一 可視化の目的等
 〇えん罪を防ぐなどの観点から、取調べの状況を客観的に記録し、公判で自白の任意性をめぐる争いが生じた場合に、その客観的な記録による的確な判断を可能とすることを、可視化の中核的な目的とすべきである。」
という記述がある。右と「前回答弁書」(内閣衆質一七九第六七号)を踏まえ、再度質問する。

一 前回質問主意書で、ある人物への有罪判決が確定したものの、その人物は真犯人ではなく、無罪が確定した事例について、政府として承知し、把握しているものをいくつか挙げられたい等と質問したところ、「前回答弁書」では「先の答弁書(平成二十三年十一月八日内閣衆質一七九第一九号)一について及び先の答弁書(平成二十三年十一月十八日内閣衆質一七九第三九号)一から六までについてで述べたとおり、法務省が本年八月八日に公表した『取調べの可視化に関する法務省勉強会の検討結果(概要)』における『えん罪』という用語は、真犯人ではない者に対する有罪判決が確定するなどの事態を念頭に置き、被疑者の取調べ状況を録音・録画の方法により記録する制度の目的に関し、いやしくも真犯人ではない者に対する有罪判決が確定するなどの事態を生むことがないようにすることの重要性を表すために用いたものであって、過去の個別具体的な事件を想定して用いたものではなく、政府としては、御指摘の各事件を含め、過去の個別具体的な事件について、それが『えん罪』に当たるか否かをお答えすることは困難である。」との答弁がなされている。右答弁にある「真犯人」の定義について説明されたい。
二 強姦などの疑いで富山県警に誤認逮捕され、二年あまり服役した柳原浩氏の再審判決公判が二〇〇七年十月十日、富山地裁高岡支部で行われ、藤田敏裁判長は柳原氏に無罪を言い渡し、柳原氏の無罪が確定した。右の事件について、政府は一連の経緯を把握しているか。
三 二の事件において、柳原氏は一の「真犯人」に該当するか。政府の見解如何。
四 二の事件において、柳原氏に一度は有罪判決が確定していると承知するが、政府の見解如何。
五 一九九〇年、栃木県足利市で当時四歳の女児が殺害されたいわゆる足利事件で容疑者とされ、無期懲役が確定し、服役中だった菅家利和氏が、女児の下着に付着していた体液のDNA型が菅家氏のものとは一致しないとの鑑定結果が出たことを受け、一昨年六月四日、千葉刑務所から釈放され、その後無罪が確定した。右の事件について、政府は一連の経緯を把握しているか。
六 五の事件において、菅家氏は一の「真犯人」に該当するか。政府の見解如何。
七 五の事件において、菅家氏に一度は有罪判決が確定していると承知するが、政府の見解如何。
八 一九六七年八月、茨城県利根町布川の男性が殺害された件につき、茨城県警は別件で逮捕していた桜井昌司氏と杉山卓男氏を同事件の容疑者として再逮捕した。一九七〇年、水戸地方裁判所土浦支部により無期懲役の判決を下され、また七八年には最高裁判所により上告が棄却され、二人は刑に服することを余儀なくされたものの、二〇一〇年七月から再審公判が始まり、本年五月二十四日、同支部は、桜井氏、杉山氏が犯人と証明する証拠は存在しないとして無罪判決を言い渡した。六月七日、水戸地方検察庁は控訴を断念し、二人の無罪が確定した。右の桜井氏、杉山氏に関する事件について、政府はその一連の経過を承知しているか。
九 八の事件において、桜井氏、杉山氏は、一の「真犯人」に該当するか。
十 八の事件において、桜井氏、杉山氏に一度は有罪判決が確定していると承知するが、政府の見解如何。
十一 「前回答弁書」では「政府としては、御指摘の各事件を含め、過去の個別具体的な事件について、それが『えん罪』に当たるか否かをお答えすることは困難である。」との答弁がなされているが、「最終報告」では「えん罪」について、「真犯人ではない者に対する有罪判決が確定するなどの事態」と、具体的な定義付けがなされている。過去の具体的な事例についても、それが右の「えん罪」の定義に該当するか否かを答弁することは、その客観的な事実関係に照らしてみれば十分に可能なことであると考えるが、右ができないとする理由は何か。再度質問する。

 右質問する。



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