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平成二十四年十月二十九日提出
質問第一一号

三菱電機による防衛省等への過大請求についての会計検査院の報告書に関する質問主意書

提出者  吉井英勝




三菱電機による防衛省等への過大請求についての会計検査院の報告書に関する質問主意書


 自衛隊の装備品や、内閣衛星情報センターが運用する偵察衛星(情報収集衛星)の調達や開発・製造をめぐって、三菱電機とその子会社等の合計五社は防衛省、内閣衛星情報センター、宇宙航空研究開発機構(JAXA)等に対し、工数を付け替える方法で過大な請求(水増し請求)をしていることが明らかとなっている。防衛省、内閣衛星情報センター、JAXA等は、三菱電機をはじめ過大請求を行った企業に対し指名停止の措置や競争参加資格の停止措置をとっている。
 会計検査院は参議院の要請を受け、会計検査院法に基づいて検査を実施し、その中間的な報告書を十月二十五日に公表した。
 よって、次のとおり質問する。なお、金額は円単位で、年は西暦で表記されたい。

(一) 本年三月一日に提出した質問主意書において、発注者がやむを得ない事由があると認めさえすれば、三菱電機と他四社は防衛省と随意契約や再委託の形により業務を請け負うことが可能で、指名停止の措置が実効ある措置にならないという問題点を質した。これに対する答弁書(内閣衆質一八〇第一一〇号)は、「防衛省においては、指名停止期間中の三菱電機及び関係四社を指名競争入札及び一般競争入札に参加させず、また、やむを得ない事由があると認められる場合を除き、随意契約の相手方とせず、さらに、契約の相手方が業務の一部を三菱電機及び関係四社に請け負わせることについても、やむを得ない事由があると認められる場合を除き、承認しないこととしている。(中略)他の事業者と異なり、指名停止等の措置の期間中の三菱電機や関係四社については、契約の相手方及び再委託先から最大限排除されていることから、指名停止等の措置は実効性があるものと考えている。」と答えている。
 他方、会計検査院は報告書(以下、報告書と略)の中で「防衛省は、指名停止中の契約について、代替品や代替会社の有無を精査した結果、代替の調達手段がなく、かつ、指名停止中の会社との契約を行わなければ、自衛隊の任務遂行に重大な支障が生じる場合に限定して締結したとしているが、結果的に、三菱電機との間で指名停止後の5か月間に直近年度の契約金額計の9割を超える額の契約を締結していることは、指名停止等の措置が契約相手方にとってペナルティとして十分に機能していないと思料される。」という見解を示している。
 政府は現在も三菱電機等に対する指名停止等の措置は、「実効性があるもの」と考えているのか。その理由とともに答えられたい。
(二) 指名停止や競争参加資格停止の措置を受けている企業でも、一般競争入札に参加することは可能なのか。可能であるとすれば、それはどういう場合か。
(三) 報告書は、防衛省と指名停止中における三菱電機との契約実績が、本年六月末までで件数にして百五十二件、金額で千百十八億四千三百八十六万円余りに上っていることを明らかにしている。これに七月以降、本日までを加えると防衛省と指名停止中の三菱電機の契約件数は合計何件で、金額は合計でいくらになるか。
 また、本日までの右の契約について、@契約日、A調達機関名、B契約件名、C契約した業務の概要、D契約金額(円単位)、E契約方式(一般競争であれば、応札者名も)、F契約を行わなければ「自衛隊の任務遂行に重大な支障が生じる」と判断した「重大な支障」とは具体的に何なのか、契約別に答えられたい。
 さらに、これらの契約のうち、二〇一一年度の一般会計第三次補正予算や今年度の東日本大震災復興特別会計予算によるものがあれば、その旨を併記されたい。
(四) 報告書は同様に、JAXAと競争参加資格停止中の三菱電機との間で二十四件、十三億千五百万円あまりの契約実績があることも明らかにしている。これに七月以降、本日までを加えるとJAXAと競争参加資格停止中の三菱電機の契約件数は合計何件で、金額は合計でいくらになるか。
 また、本日までの右の契約について、@契約日、A契約件名、B契約した業務の概要、C契約金額(円単位)、D契約方式(一般競争であれば、応札者名も)、E競争参加資格停止中に三菱電機と契約した「やむを得ない事由」を契約別に答えられたい。
(五) 報告書は、三菱電機が防衛省との間の契約だけでなく、JAXAとの契約や民需に係る契約でも工数の付け替え等を、遅くとも一九七〇年代から行ってきたことを明らかにし、工数の付け替えの状況について次のことを述べている。
 工数データを集計、管理する「工数管理システム」を導入した一九九〇年までは、課員が紙に記録した実績工数を課長が書き換える方法をとっていたこと。工数管理システムが導入された後は、課長が課員に指示して工数管理システムに実際の工数ではない目標工数を入力させたり、課長がアクセス権限を有する工数データを上書きして修正するための「工数修正専用端末」を使用し、課員が入力した工数データを目標工数に書き換えたりしていたこと。各課長は課員に指示して、実際の工数でない目標工数を工数管理システムに入力させたり、過去の工数を実績工数としたりしていたこと。実績工数が目標工数を下回った場合には、下回った分に実績工数が目標工数を上回った他の契約から工数の一部を付け加えていたこと。情報収集衛星の研究・開発に関わる宇宙部門では、工数の付け替えについて、プロジェクトマネージャーや、技術、品質、製造部門の関係課長が中心となって行っていたこと。課長級以上の所長や副所長も工数の付け替えが行われていたことを認識していること、等である。
 このように三菱電機の過大請求の手法は組織的で巧妙、悪質なものであり、その意味でも指名停止等の措置を三菱電機にとってペナルティとして十分に機能させる必要がある。全容が解明され過大請求した金額がすべて国庫に返還されるまでは、例外を設けずに三菱電機との間の契約はやめるべきではないか。
(六) 本年二月一日に提出した質問主意書に対する答弁書(内閣衆質一八〇第二八号)では、防衛省退職者の三菱電機への再就職者数は二〇〇〇年七月から二〇一二年二月までの間に百四十四人いることが示された。これに対し、二月十六日に提出した質問主意書に対する答弁書(内閣衆質一八〇第七六号)では、防衛省以外の国家公務員の三菱電機への再就職者数はわずか三人であることが示された。これは自衛隊の装備品受注件数と金額において大きな位置を占める三菱電機と防衛省との間の癒着関係を象徴しているとも考えられ、三月一日に提出した質問主意書において、過大請求の調査に際して元防衛省職員の三菱電機等への再就職者の関与も対象に入れるべきだと質したが、これに対する答弁書(内閣衆質一八〇第一一〇号)は、「現時点で、お尋ねの「防衛省退職者の関与」については確認されていない。」というものであった。
 防衛省は発注先からの過大請求等の不正行為がなされないように、契約上、監査を受けることを義務付けている。しかし、三菱電機への数多くの防衛省退職者の再就職を例に、監査対象が天下りを受け入れる構図を指摘し、「なれ合い関係が防衛省の監査を甘くさせた要因ではないか」という会計検査院幹部の発言を紹介している報道(本年十月二十六日付、毎日新聞)や、「防衛省による定期調査や監査は、事前に三菱電機と日程などを調整していたため、専用端末の存在を明かさず、不用意な発言をしない幹部に応対させて発覚を逃れていた」という報道(同日付、産経新聞)もある。
 防衛省と三菱電機との癒着も観点に、防衛省退職者の三菱電機への再就職者の関与や、三菱電機社員(元職含む)の防衛省在籍者の関与も調査すべきではないか。改めて問う。また、現時点においても、その関与は確認されていないのか。
(七) 報告書によれば、防衛省における過大請求は、判明しているだけでも一九九三年から二〇〇八年まで(いずれも発覚時)に十九件発覚し、国庫への返還金額は約千二百十九億円である。同じくJAXAにおいては、一九九八年から二〇〇三年まで(同)に、四件の過大請求が発覚し、返還金額は約六十八億円である。過去の過大請求の発覚のたびに防衛省やJAXAは再発防止策を講じてきたとしているが、今般、三菱電機等からも過大請求が行われたように不正事案が繰り返し続いている。この根本問題は何で、その根絶のために何をなすべきと考えているのか。

 右質問する。



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