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平成二十五年八月五日提出
質問第三号

陸上自衛隊化学学校と特定物質に関する質問主意書

提出者  塩川鉄也




陸上自衛隊化学学校と特定物質に関する質問主意書


 サリン、ソマン、タブン、VX、マスタード等の毒性化学物質を使った化学兵器は、国際社会の一致した取り組みによって全面的に禁止・廃棄すべき非人道的兵器である。我が国は、化学兵器禁止条約(以下、CWC)に加わるとともに、国内実施法として化学兵器禁止法を制定(一九九五年五月施行)し、CWCが表T剤として定める特定物質については製造段階から廃棄段階に至るまで厳しい規制措置を設け、民生用にも供される化学物質(指定物質)についても生産量、消費量等の届出義務をはじめとする規制措置を設けている。また、CWCの実施を監視する化学兵器禁止機関(以下、OPCW)の査察等が実施されてきている。
 同時に、化学兵器禁止法は、さいたま市北区の大宮駐屯地内に所在する陸上自衛隊化学学校(以下、化学学校)を「国の施設であって、特定物質の毒性から人の身体を守る方法に関する研究(特定研究)」を一に限り行う特定施設に指定している。化学学校における特定物質の製造等についても、これまで八回に及ぶOPCWの査察が行われている。
 化学学校における特定研究と特定物質の製造・使用・所持・廃棄等の取り扱いに関する必要な情報開示、地震・火災・事故等の緊急時における周辺住民の安全確保に関する地元自治体や消防本部、住民自治会等との情報共有及び普段からの連絡・協議体制の確立等は不可欠であり、それなしにはCWCに基づく我が国の取り組みに対する国民の理解は得られないと考える。
 以下について政府の見解を問う。

一 化学学校における特定物質の製造・使用・所持・廃棄等について
 1 化学兵器禁止法が施行された一九九五年以降、化学学校で製造した各年の特定物質について、その種類(サリン、ソマン等の化学物質名)ごとに、年間の生産量、同消費量(防護目的・廃棄に区分して)、同最大保有量、同終了時における貯蔵量を、OPCWに対する申告内容に沿って明らかにされたい。また、二〇一三年に予定している特定物質ごとの予想される生産量、生産が予想される時期を同様に明らかにされたい。
 2 平成十年版の防衛白書では、化学学校において「条約で規定される化学物質を少量合成している」と記載され、平成十一年版以降についても同様の記載がされている。防衛白書に記載される「合成」とは、CWCの表T剤の「生産」(production)・化学兵器禁止法の特定物質の「製造」と同じ意味であると考えるが相違ないか。
 3 我が国が、防護研究のために、サリン等の毒性物質の製造を開始したのはいつからか。『解説 化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律』(監修/通商産業省基礎産業局 化学兵器・麻薬原料等規制対策室 化学工業日報社発行)は、化学兵器禁止法の基本構成について解説するなかで、「第二章で化学兵器の製造、所持、委譲等の禁止を定めているが、我が国には化学兵器が存在しないことを前提としているために、化学兵器の禁止規定は禁止行為とその違反に対する直接的な罰則という刑法的な規定のみとなっている」としたうえで、「これに対し、第三章はサリン等の特定物質(条約上の表T剤)についての製造、使用についての許可制、さらにその所持、廃棄にいたるまでの厳格な管理(手続き)規定を定めているが、特定物質はその使用方法によって化学兵器ともなりうるものの、わずかながらも我が国における産業用途及び防護研究(いずれについても条約で禁止されていない目的のもの)が存在することから、その製造、使用を一定の条件下で認めることとしたものである」(P16)と説明している。さらに、化学兵器禁止法には、同法施行前に特定物質を所持している者が法施行後においても引き続き特定物質を所持する場合には、法の手続きに従って許可使用者となるか、そうでなければその速やかな廃棄を義務づける附則第二条(経過措置)の規定がある。同条第六項は「この法律の施行の際特定施設内において国が所持する特定物質」を同条前各項の規定から適用除外とするものとなっている。このことからも当時、特定施設内(化学学校内)に国が所持する特定物質が存在していたことは明らかではないか。少なくとも、我が国では、一九九五年の同法施行前には、防護研究のために特定物質を製造等していたのではないか。
 4 二〇〇〇年六月から二〇〇二年六月まで化学学校長を務めた山里洋介氏は、『週刊金曜日』(二〇一三年五月二十四日号)誌上でインタビューに応え、一九六四年にサリンの合成に成功し、VXについても独自に作っていたと明言している。国会でも、一九六七年当時、陸上自衛隊化学学校、同衛生学校、防衛大学校等の幹部将校がサリン、マスタードを使用して汚染水の浄化に関する研究を行い、その研究報告が『防衛衛生』(一九六七年十一号)に発表されていた事実についての指摘がある(衆議院予算委員会一九七〇年二月二十六日)。これら例示した事柄への検証を含め、我が国がいつから特定物質の製造等をおこなってきたのかを明らかにすべきではないか。少なくとも、現時点で、我が国における特定物質の製造等の開始を確認することができるのはいつの時期であるか明らかにされたい。
 5 防衛省及び化学学校は、一九九五年の化学兵器禁止法の施行以前に、我が国が防護研究のために毒性化学物質を製造・使用等してきたことを国民に公表してきたことがあるか。一九八四年二月六日、日本共産党国会議員団が化学学校に赴いて調査を行った際、化学学校からは、毒ガスは実験をふくめ一切していない。市販されている化学薬品を購入し化学構造の似たものでやる旨の説明を受けている。山里洋介氏が語っていることが事実ならば、防衛省及び化学学校は虚偽の答えをしていたことになるのではないか。
 6 「特定物質の製造等に関する達(陸上自衛隊達第97−1号)」(以下、達)及び「特定物質の製造等に関する化学学校規則」(以下、化学学校規則)では、「特定物質の製造等を行う施設(製造等施設)」を化学学校内の「第一研究棟」としている。「第一研究棟」が建設された時期はいつか明らかにされたい。
 7 達第五条(2)は、化学学校長は製造等施設に「排気・排水処理及びモニタリング設備を備え付ける」と定めている。排気・排水処理及びモニタリングを実施し、その結果記録を管理・保管するのは化学学校のどこの部署か明らかにされたい。モニタリング結果記録の保存期間について、その根拠規定とあわせて明らかにされたい。また、モニタリング実施に関する規定を開示されたい。
二 地元自治体等への情報開示、緊急時の対応に関する連絡・協議等について
 1 化学学校規則は、地震、火災又は特定物質の製造等に伴う事故の発生もしくは発生の恐れがある場合には、研究部長は、「特定物質の緊急時等対処規定」により措置を講ずるとともに、校長に報告するとされている。また、事故による被害が駐屯地外に及ぶ恐れがある場合には、総務部長は、「直ちに自治体、警察署、消防署、近隣の住民及び自治会並びに駐屯各部隊に通報するものとする」(化学学校規則第十二条二項)と定めている。しかしながら、さいたま市においても地元消防本部においても、化学学校におけるこうした緊急時の対応について、何ら情報の共有がされていないと聞いている。緊急時の通報は当然であるが、普段から必要な情報を開示・共有し、連絡・協議等を重ねていなければ、緊急時に通報を受けても住民の安全確保をはじめとした適切かつ有効な活動等ができない。化学学校規則が施行された一九九六年四月一日以降、化学学校がこれまでおこなった自治体、警察署、消防署、近隣の住民及び自治体に対する緊急時における化学学校の対応をはじめとする情報開示・共有、連絡・協議等についての取り組み実績(実施年月日、対象者、場所、内容等)を明らかにされたい。
 2 過去、化学学校規則第十二条に該当する緊急時対応が発生したことはあるか。あるのであれば、その概要を明らかにされたい。
 3 化学学校規則第十二条二項が明示する「自治体、警察署、消防署、近隣の住民及び自治会」とは、それぞれ具体的にどこか。今後、緊急時の対応上必要な情報について開示し、地元自治体等と情報を共有して連絡・協議を行う考えはあるか。地元自治体等からの要望があれば化学学校として誠実に検討し行うべきではないか。

 右質問する。



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