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平成二十五年十一月七日提出
質問第五八号

一九六〇年の日米安全保障条約改定時における朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動に係る密約に対する安倍晋三内閣の認識に関する再質問主意書

提出者  鈴木貴子




一九六〇年の日米安全保障条約改定時における朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動に係る密約に対する安倍晋三内閣の認識に関する再質問主意書


 二〇〇九年九月十六日、当時の鳩山由紀夫内閣における岡田克也外務大臣は、以下の四点に関し、いわゆる密約があったと言われていることにつき、外務省において「いわゆる『密約』問題に関する有識者委員会」(以下、「委員会」という。)を立ち上げ、同年十一月末を目処にその存在の有無を徹底調査する旨の大臣命令を同省に出したと承知する。

@ 一九六〇年一月の安保条約改定時の、核持ち込みに関する密約
A 同じく、朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動に関する密約
B 一九七二年の沖縄返還時の、有事の際の核持ち込みに関する密約
C 同じく、原状回復補償費の肩代わりに関する密約
 そして二〇一〇年三月九日、岡田大臣は、「委員会」の調査結果をまとめた報告書(以下、「報告書」という。)を公表した。
 「報告書」には、Aに関し、以下の記述がなされている。
第三章 朝鮮半島有事と事前協議
 (1) 朝鮮半島有事の際は場合によっては事前協議を免除する非公開の「朝鮮議事録」は、今回の調査でその存在が確認された(ただしイニシャルなし)。
 (2) 一昨年フォード大統領図書館で発見された「朝鮮議事録」は、外務省でみつかった最終案と本文は同一。しかし日付は六十年六月二十三日付。政権交代を予測して、批准書交換時に「準備会合」を開催し、署名した可能性あり。
 (3) 今回その存在が確認された「朝鮮議事録」が密約という性格を帯びた文書であるとの認識を日本側交渉当事者が持っていたのは確実。
 (4) 「朝鮮議事録」について日米間で連日会談を重ねたとされる一九五九年十一月後半から十二月にかけての会談記録文書が存在しないが、その理由は不明。
 (5) 沖縄返還交渉で日本側は対外表明により「朝鮮議事録」を置き換えることを目指した。朝鮮議事録の有効性については、日米間で明確な決着がつけられることはなかったが、事前協議なしの基地使用は考えられず、朝鮮議事録は事実上失効したとみてよい。
 (6) 七十年代、米側は「朝鮮議事録」の延長を日本側に提起することが検討されたが、結局、「議事録を未解決のままとし、正式に消滅させることとしない」という形で、米側も日本側の立場を事実上受け入れた。九十年代のガイドライン策定等により、事実上、本件議事録は過去のものとなった。
 右と「前回答弁書」(内閣衆質一八五第三五号)を踏まえ、再質問する。
一 安倍晋三内閣総理大臣並びに岸田文雄外務大臣は、前回質問主意書の内容に自身で目を通し、その内容を把握しているか。
二 「前回答弁書」の内容を起案し、作成した政府内の担当部署の名称並びにそこの責任者の官職氏名を明らかにされたい。
三 安倍総理並びに岸田大臣は、二の部署によって作成された答弁の内容に目を通し、その内容を把握しているか。
四 前回質問主意書で、Aの密約に関する「報告書」に対する安倍晋三内閣の評価を問うたが、「前回答弁書」では、「いわゆる『密約』問題については、この問題により、外交に対する国民の理解と信頼が失われているとの観点から、過去の事実を徹底的に明らかにするため、平成二十一年九月から外務省が徹底した調査(以下「外務省調査」という。)を行い、その結果を平成二十二年三月に公表したところである。」との答弁がなされている。過去の政権による取組の様子を述べるのではなく、安倍内閣としてAの密約に関する「報告書」をどうとらえているのか、その認識を明確に示されたい。
五 平成二十二年三月十九日に行われた衆議院外務委員会での参考人質疑において、参考人として出席した元外務事務次官の斉藤邦彦氏は、Aの密約に関し、「私は、一九五九年、六〇年当時、朝鮮の停戦からまだ七年しかたっていないわけで、朝鮮情勢に対してアメリカは非常に強い危機感を持っていたと思います。万一の場合は一瞬の遅滞もなく出動をしていく必要がある、そのためには日本の基地からの出動も行うという権利、これを確保しておく必要があるという強い希望があったと思います。事前協議制度というのは、米軍の行動に対して日本政府が一定の発言権を持つという新しい仕組みでございますが、朝鮮有事に関しては、そういうことに拘束されることなく、直ちに行動に移れる状態を確保したいというのがアメリカの立場であったと思います。日本政府は、当時の情勢にかんがみまして、このようなアメリカ政府の要求を十分に理解して、これに応じたということであろうと思います。なぜ不公表にしたかということについては、これは私の推測にすぎませんけれども、少なくとも、大きな理由の一つは、このような合意文書を公表すれば、北朝鮮、中国を無用に刺激することになるので、それを避けたいと判断されたのではないかと考えております。」と述べている。右の発言に対する安倍内閣の認識如何。
六 前回質問主意書で、安倍内閣としても、Aの密約はあったと認識しているかと問うたところ、「前回答弁書」では、「『いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会報告書』では、『朝鮮議事録』が密約という性格を帯びた文書であるとの認識を日本側交渉当事者が持っていたのは確実との見解が示されている」としつつ、一方では、「他方で、外務省調査の報告書は、『日本側は、沖縄返還交渉の際、佐藤総理大臣・ニクソン米大統領の共同声明及び佐藤総理大臣のナショナル・プレス・クラブにおける演説において、朝鮮有事の際の対応についての対外的表明を行うことにより、本件文書を置き換えることを意図して対米交渉を行った。他方、本件議事録の扱いについては、日米の間であえて明白な決着をつけないまま、交渉を終えている模様。』としている。」と「委員会」と外務省双方の認識が併記され、「当時の状況については、簡単に判断できるものではなく、…。」との玉虫色の答弁がなされているだけである。「前回答弁書」にあるようなごまかし、すり替えの答弁ではなく、五で挙げた斉藤元次官の発言も踏まえ、安倍内閣としてAの密約についてどう認識しているのか、明確に示されたい。

 右質問する。



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