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平成二十五年十一月十一日提出
質問第六五号

医師による長期処方の是非にかかる厚生労働大臣答弁に関する質問主意書

提出者  柚木道義




医師による長期処方の是非にかかる厚生労働大臣答弁に関する質問主意書


 処方せんの医薬品の処方期間については、平成十四年度から段階的に延長がはかられるようになり、現在では九十日以上の処方も可能となっている。ただし、長期処方には患者の状態が急変するリスクや安定した服薬コンプライアンスが確保される必要があり、その前提条件として、医師が患者の状態を医科学的に評価し、長期処方に耐える状態であるという高度な専門的な判断を必要とされる。したがって医療現場においても、医師が患者の要望並びに状態等に応じて適切な判断をされているものと理解するところである。
 しかしながら、平成二十五年十一月一日に開催された中央社会保険医療協議会の議論のなかで、この長期処方を問題視する声があり、厚生労働省保険局総務課長も「長期投与と多剤併用について議論する場をもうけさせていただく。」と応じたと聞く。これは、高度な医療的な判断について、医師以外の専門職、支払い側、行政機関などが同席する中央社会保険医療協議会という場にて議論をするということにつながり、医師による医師の判断、つまり医師の裁量権の範囲にまで立ち入る前例になるのではないかと危惧するところである。医師が適切に判断した長期処方については、本質的には医師の裁量権の問題である。医師が患者の状態をみて長期処方が可能ということで長期処方をしているものについて、同じ医師が医療的に妥当ではない長期処方があると自戒の念をこめて指摘している中央社会保険医療協議会の議論は、非常に高潔な精神にみちていると考える。しかしながら、今回の長期処方の適否の判断については、本質的には専門家たる医師の見解の相違であって、医師による自律的な判断にゆだねるべき問題と考える。利害関係者が一堂に会している中央社会保険医療協議会という場で議論するのは、職業の自律に対する冒涜とまでは評しえないとしても、いささか行き過ぎではないかと強く危惧するものである。
 仮に、患者の求めに応じて漫然と長期処方をしている医師が存在するとなれば、これは職業としての医師の尊厳に反する行為であり、ヒポクラテス以来の医師の自律を尊重するのであれば、行政機関等が口をはさむべき問題ではなく、職能集団としての医師の話し合いのなかで解決していくような道筋を考えるべきであると考えるところであるが政府の見解如何。
 また、これまで、医薬品の多剤併用問題や向精神薬の使用につき、保険者機能などを強化し、積極的に処方内容に介入するべきであるとの主張を繰り返す度に、政府は、「医師の診療行為については「医師の裁量権」の範疇にあり、積極的に介入するべきでない。」という主張を繰り返してきた。しかし、今回のような「長期処方」の適正化について行政機関等からの積極的な介入が認められるようになるとなれば、これは、医師の裁量権に積極的に介入する前例をつくることとなる。今後も医師の裁量権に属する諸問題について中央社会保険医療協議会等で議論するのを慣例とするということなのかどうかにつき政府の見解を求めるとともに、これからは、医師の裁量権にある事項についても、医療費適正化の観点から例外なく議論の俎上にあげるという国家の意志のあらわれなのかどうかにつき政府の見解如何。
 併せて平成二十五年十一月八日の衆議院厚生労働委員会における厚生労働大臣の答弁において、「中医協においてご議論頂く。」という趣旨の答弁につき、職業の自律という観点からそのご心意を明示いただきたい。

 右質問する。



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