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平成二十五年十一月十五日提出
質問第七〇号

一九七二年の沖縄返還時の原状回復補償費の肩代わりに係る密約の存在を裏付ける米政府公文書に係る安倍晋三内閣の認識等に関する質問主意書

提出者  鈴木貴子




一九七二年の沖縄返還時の原状回復補償費の肩代わりに係る密約の存在を裏付ける米政府公文書に係る安倍晋三内閣の認識等に関する質問主意書


二〇〇七年一月四日、ワシントン発の時事通信が、
 「一九七二年の沖縄返還前、日米間で結ばれた財政負担に関する密約の存在を裏付ける米政府の公文書が、また新たに米国立公文書館で見つかった。六九年十一月の佐藤栄作首相(当時)訪米直前に秘密裏に決まった三億七千五百万ドルに上る日本側支払いの使途をめぐる内容。特に、うち二億ドルは積算根拠のないまま決まった『つかみ金』的な性格だったことが浮き彫りになっているだけでなく、日本側の支払いが米国の『財政的利益』になる必要があるとの認識が示されている。(中略)
 今回見つかったのは、財務省が国防総省からの書簡を紹介する形で作成した七〇年十二月二日付文書。国防総省はこの中で、日米秘密合意の解釈に触れ、日本側支出となった三億七千五百万ドルのうち『基地の移転やその他の経費』二億ドルについて『日本からの二億ドルは国防総省の支出を減らし、その分を米政府が節約できる』と位置付けた。
 当時日本側は個別の米軍施設移転費用に充てるよう主張していたが、これについて文書は『米政府の支出削減にならず、最終的に差し引きすると財政上の純益にもならない』として、あくまでも日本側支払いは米国の利益になる必要があるとの考えを示している。沖縄返還で財政上の利益を確保し、ベトナム戦争に伴い増大する出費を少しでも削減する狙いがあったとみられる。
 文書はさらに、この二億ドルが基地移転に限定されず「その他の費用」にも適用できる点を強調し、復帰に伴い上昇する基地従業員の給与や社会保障費などに充てるべきだと提案している。
 これらの記述からは、密約から一年たっても支出内訳が決まっていなかったことが分かり、二億ドルが『つかみ金』的な性格を持っていたことが裏づけられた格好だ。
 これまでの研究によると、六九年の密約の中で日本側は二億ドルのほかに琉球電力公社などの米国の資産の買い取り額として一億七千五百万ドルを米側に支払うことで合意。密約の総額は最終的に三億九千五百万ドルに増大したことも分かっているが、一連の交渉経緯はいまだに不明な部分も多い。ただこの種の公文書は今後も表面化する可能性が強く、密約の存在すら認めない日本政府は苦しい立場に立たされつつある。」
との報道(以下、「時事通信報道」という。)を行っている。
 右につき、第一次安倍晋三内閣の下閣議決定された政府答弁書(内閣衆質一六六第一五号、以下、「政府答弁書」とする。)では、「時事通信報道」を承知しているとはしつつも、鈴木宗男元衆議院議員の質問に対し、「沖縄返還に際する支払に関する日米間の合意は、第六十七回国会における琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定(昭和四十七年条約第二号。以下「沖縄返還協定」という。)についての審議が行われた当時から歴代の外務大臣等が一貫して繰り返し説明しているとおり、沖縄返還協定がすべてであって、外務省としては、御指摘の調査等をする必要はないと考えている。」との答弁がなされているだけであった。
 右を踏まえ、質問する。

一 自身が第一次内閣を率いていた時に閣議決定した「政府答弁書」の内容は、真実を正確に示したものであり、国民の代表である国会議員の質問に誠実に答えたものであったか。現在、第二次内閣を率いている安倍晋三内閣総理大臣の認識を示されたい。
二 「時事通信報道」にある、アメリカの財務省が国防総省からの書簡を紹介する形で作成した一九七〇年十二月二日付文書(以下、「文書」とする。)の写しを外務省は有しているか。第一次安倍内閣では何ら明確な答弁がなされていないところ、現安倍内閣の誠実な答弁を求める。
三 「文書」の存否について、外務省は調査を行ったかとの問いに対し、「政府答弁書」では「御指摘の調査等をする必要はないと考えている。」との答弁がなされていた。「文書」に関連した、いわゆる一九七二年の沖縄返還時の原状回復補償費の肩代わりに係る密約に関しては、二〇〇九年九月に発足した当時の鳩山由紀夫内閣時に外務省と民間有識者による調査が行われている。右調査の中に、「文書」に関するものは含まれていたか。
四 「政府答弁書」の内容は虚偽のものであったと考えるが、安倍総理の見解如何。
五 かつて自身が第一次内閣を率いていた際、虚偽の内容を含む「政府答弁書」を閣議決定したことを、当時安倍総理は自覚していたか。
六 かつて自身が第一次内閣を率いていた際、虚偽の内容を含む「政府答弁書」を閣議決定し、国民に嘘をついたことに対し、現在、安倍総理はどう考えるか。

 右質問する。



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