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平成二十六年十月十六日提出
質問第二七号

在日米軍基地内・外に居住する米軍人・軍属並びにその家族らのNHK受信料支払い等に関する質問主意書

提出者  照屋寛徳




在日米軍基地内・外に居住する米軍人・軍属並びにその家族らのNHK受信料支払い等に関する質問主意書


 冒頭、強い抗議の意思を日本放送協会(以下、NHKという)に示したい。
 それは、NHK経営委員で作家の百田尚樹氏が、去る九月二十日に逝去した故土井たか子社民党名誉党首に対し、短文投稿サイト・ツイッター(以下、ツイッターという)で「売国奴」などと批判した問題である。
 NHK経営委員たる百田氏のツイッター上におけるかかる発言は、何らの根拠もなく、故人の名誉を著しく侵害するものだ。刑法(明治四十年四月二十四日法律第四十五号)第二百三十条第二項の名誉毀損罪にも該当する悪質な行為であり、断じて容認できない。
 一方で、NHKは放送法(昭和二十五年五月二日法律第百三十二号)を改正のうえ、インターネットを通じてパソコンやスマートフォンでも放送と同時に番組を見られるようにする「同時再送信」を実現し、ネット視聴者からの放送受信料(以下、受信料という)徴収に意欲を示していたが、次期経営計画期間内での制度変更は難しいと判断した、旨報じられている。(二〇一四年十月十五日「毎日新聞」朝刊)
 そのような中で、この間、私が「米軍人・軍属並びにその家族らのNHK受信料支払いに関する質問主意書」(二〇〇七年二月七日提出)や衆議院予算委員会第二分科会(同年二月二十八日)等の場で追及してきたNHKによる在日米軍人・軍属並びにその家族ら(以下、米軍人等という)との放送受信契約及び同契約に基づく受信料徴収は、一向に改善されることなく今日に至っている。
 NHKは、放送法に基づくその責務を放棄していると指弾せざるを得ない。国民同様に、在日米軍施設・区域内外(以下米軍基地内・外という)に居住する米軍人等からも受信料を徴収すべきである。
 以下、質問する。

一 政府は、NHKが経営委員で作家の百田尚樹氏がツイッター上において、故土井たか子社民党名誉党首に対し、「売国奴」などと言われなき誹謗中傷を行い、故人の名誉を著しく侵害した事実(以下、百田氏の発言という)を認識しているかどうかについて承知しているか。また、NHKとして、かかる明確な違法行為(刑法第二百三十条第二項・名誉毀損罪)を行っている百田氏が、NHK経営委員としての適格性を有していると認識しているか、政府の見解を明らかにされたい。
二 放送法第三十一条第一項は、NHK経営委員の任命について、「委員は、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する」と定めている。
 私は、右条文に照らし、故人に対して事実無根の誹謗中傷を行う百田氏が「公共の福祉に関し公正な判断をすることができる」人物には当たらず、NHK経営委員としての適格性を有し得ない、と解するものである。
 従って、かかる百田氏の発言は、同法第三十六条第一項に定める「委員たるに適しない非行があると認めるとき」に該当するものであり、任命権者たる安倍総理は、同法第三十六条第一項の規定に従い、衆参両議院の同意を得たうえで、同氏を即刻罷免すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
三 NHKの福井敬理事は、本年三月二十八日の参議院総務委員会において、社民党又市征治議員による在日米軍基地内の軍人等のNHK受信料徴収に関する質問に対し、「平成二十六年二月に文書によりまして、在日米軍、それから米国大使館、外務省、総務省、NHKの五者によります状況打開に向けた会合の開催を求めてございます。現在まだ回答は得られておりません」と答弁している。
 かかる文書で求めた「状況打開に向けた会合」とは、いかなる目的、内容のものか、具体的に示されたい。また、当該文書提出から既に約八か月が経過しているが、同会合は持たれたか、開催日やその概要と併せて答えられたい。
 なお、米側から現在も回答が得られていないのならば、このまま手をこまねいているつもりか。「状況打開」に向け、実効性あるさらなる方策を講じているか、政府とNHKの取り組みを具体的に示されたい。
四 在日米軍及び在日米大使館など米側は、受信料が日米地位協定第十三条第三項に規定する公租公課(租税)に当たると未だに主張しているのか、この間の米側との交渉経緯を明らかにしたうえで、受信料に対する同協定上の政府の見解を示されたい。
五 昨今のNHKが、訴訟を提起してまで国民から受信料を徴収していることに鑑みれば、米軍人等に対しても、それ相応の毅然とした態度で臨むべきである。政府やNHKには、「状況打開」に向けた然るべき対応が求められている。
 二〇〇八年二月二十二日付で外務・防衛両省が「在日米軍の施設・区域内外居住(人数・基準)」を公表して以降、特に基地外居住については「米側は、日本政府の要請を受けて、年に一度、施設・区域の所在する市町村毎に施設・区域外居住者数について情報を提供し、日本政府は、これを適切な方法により関係自治体と共有する」ことになっている。
 他方、米軍に関する守秘義務の厳格化等など米国防総省の方針を受け、二〇一一年三月末日時点以後の米軍基地内・外の居住状況については、市町村別の人数は公表されず、都道府県別のみにとどまっているものと承知している。
 必ずしも公表せずとも、政府は、米軍基地内・外に居住する米軍人等の居住状況の把握に資する資料を保持しているはずである。政府とNHKは、これら資料を活用し、基地内居住の米軍人等については在日米軍の協力を、また、基地外居住の米軍人等については関係自治体等の協力を得つつ、放送受信契約に必要な情報の収集に当たって、勧奨活動に役立てるべきと考えるが、見解を示されたい。
六 防衛省が二〇一三年十二月二十日付で公表した「在日米軍人等の施設・区域内外における都道府県別居住者数(同年三月三十一日時点)」によれば、@全国における在日米軍基地内居住者数は七万五千四百五十人、A同基地外居住者数は三万二百二十七人であり、そのうちB在沖米軍基地内居住者数は三万五千六百五十七人、C同基地外居住者数は一万六千四百三十五人となっている。
 右@〜Cの在日または在沖米軍基地内・外の居住者数に、日本放送協会放送受信規約第五条第一項の「表」に掲げる契約種別で「地上契約」に基づく支払区分「口座・クレジット」による「十二カ月前払額」一万三千九百九十円を乗じた金額は、それぞれ@十億五千五百五十四万五千五百円A四億二千二百八十七万五千七百三十円B四億九千八百八十四万千四百三十円C二億二千九百九十二万五千六百五十円−となり、@及びAを合算すると、実に年額にして十四億七千八百四十二万千二百三十円にも上る。
 これら金額は概算でしかなく、あくまで在日米軍人等が一人あたり一台のNHK放送を受信することのできる受信設備を設置したものと仮定した場合の試算でしかない。それでも、須らく在日米軍基地内・外居住の米軍人等と放送受信契約を締結すれば、相当額の受信料が徴収できるであろうことは容易に想像できよう。
 右私の試算(概算)に対する政府の受け止めを明らかにされたい。
 なお、私の試算(概算)が非論理的で説得性を欠くものとの認識であれば、政府において独自に試算のうえ、その算出方法と金額、当該試算結果に対する見解を示されたい。

 右質問する。



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