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平成二十七年二月五日提出
質問第三九号

一九七二年の沖縄返還時の原状回復補償費の肩代わりに係る密約についての外交文書に関する再質問主意書

提出者  鈴木貴子




一九七二年の沖縄返還時の原状回復補償費の肩代わりに係る密約についての外交文書に関する再質問主意書


 二〇〇九年九月十六日、当時の鳩山由紀夫内閣における岡田克也外務大臣は、以下の四点に関し、いわゆる密約があったと言われていることにつき、外務省において「いわゆる『密約』問題に関する有識者委員会」(以下、「委員会」という。)を立ち上げ、同年十一月末を目処にその存在の有無を徹底調査する旨の大臣命令を同省に出したと承知する。

@ 一九六〇年一月の安保条約改定時の、核持ち込みに関する密約
A 同じく、朝鮮半島有事の際の戦闘作戦行動に関する密約
B 一九七二年の沖縄返還時の、有事の際の核持ち込みに関する密約
C 同じく、原状回復補償費の肩代わりに関する密約
 そして二〇一〇年三月九日、岡田大臣は、「委員会」の調査結果をまとめた報告書(以下、「報告書」という。)を公表した。
 「報告書」には、Cに関し、以下の記述がなされている。
第五章 沖縄返還と原状回復補償費の肩代わり
(一) 米国側は、愛知大臣の書簡を求めるが、愛知大臣は、これを見合わせた。
(二) 東京では、交渉当事者間で大臣書簡案に代わるオプションとして、吉野とスナイダーによるイニシャルを前提とした「議論の要約」を作成することで合意し、愛知の帰国前日の十二日に吉野とスナイダーがイニシャルしたものと考えられる。
(三) 米側資料によれば、六月十二日の最終協議において、「署名による書簡」とするか、あるいは「交渉経緯(記録)」とするかが議論となり、井川、吉野両局長ら日本側の交渉当事者は二分されたという。吉野は交渉経緯の全体に言及することを避けるため、両者を混ぜ合わせた「議論の要約」を作成し、米側の要望に応えることを提案したようである。
(四) 日本側の不公表書簡案(大臣書簡案)にせよ「議論の要約」にせよ、それ自体は、両国政府を拘束するような内容ではなく、両政府間の秘密の合意や了解を意味する「密約」にあたるわけではない。(「狭義の密約」ではない。)
(五) 原状回復補償費の肩代わり合意と三億二千万ドルへの積み増し了解は、非公表扱いとされ、明確に文書化されているわけでもなく、返還協定や関連取り決めにも明記されていないものであるが、両国政府の財政処理を制約するものとなる。その点では、これらは序論に定義された「広義の密約」に該当する。
 そして、本年一月十五日に外務省が公開した外交文書(以下「文書」とする。)には、当時外務省が牛場信彦駐米大使に対し、Cを否定するよう求めた内容が記されている。また、米側にも「一切知らないとのラインで応答されたく、国務省に対し強く申し入れおきありたい」と要請していたことが明らかにされている。右と「前回答弁書」(内閣衆質一八九第一四号)を踏まえ、再質問する。
一 「文書」に対する外務省の見解を問うたが、「前回答弁書」では「コメントは差し控えたい」との答弁がなされている。「文書」は外務省が行ってきた外交活動を記録したものであり、それに対する見解を述べられないとすることに、何の根拠があるのか説明されたい。
二 「委員会」としても、外務省、政府としても、Cの密約があったことを明確に認めている。しかし、過去に鈴木宗男元衆議院議員が提出した質問主意書に対する政府答弁書では、Cの密約の存在を明確に否定し、小泉純一郎、第一次安倍晋三、福田康夫、麻生太郎各内閣においては、Cの密約はなかったとの虚偽の答弁が繰り返されてきた。特に、第一次安倍内閣の時に閣議決定された政府答弁書(例えば内閣衆質一六六第一五号、二三二号、二三三号、二三四号、四二〇号、四六八号、四七二号)では、Cの密約に関し「沖縄返還に際する支払に関する日米間の合意は、第六十七回国会における琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定(昭和四十七年条約第二号。以下「沖縄返還協定」という。)についての審議が行われた当時から歴代の外務大臣等が一貫して繰り返し説明しているとおり、沖縄返還協定がすべてであって、外務省としては、御指摘の調査等をする必要はないと考えている。」との答弁がなされている。自分たちが行ってきた外交活動を記録した「文書」に記されている内容と、閣議において決定された政府答弁書の内容が全く異なっているのはなぜか説明されたい。
三 外務省が行ってきた外交活動を記録した「文書」に記されている内容と、閣議において決定された政府答弁書の内容が全く異なっていること自体がそもそもおかしいのであり、それに対して政府としてコメントを差し控えるのは、国民の理解を得られないのではないのか。正直に答えられたい。

 右質問する。



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