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平成二十七年三月三十日提出
質問第一七八号

死因究明等の推進に関する質問主意書

提出者  郡 和子




死因究明等の推進に関する質問主意書


 昨今、関西で一人の女性が長期間にわたり数名以上の男性を青酸化合物によって毒殺したとの疑いがもたれていることが話題となり、わが国の死因究明制度が貧弱であることがこうした見逃しを生む一因に挙げられている。一件目でそれを疑い捜査を行っていれば再発は防止できたはずであったにも関わらず、今となっては立件すら困難になっていると推測される。今後このような事件が起こらないようにするためには強固な死因究明制度の構築が不可欠である。
 過去の事件や事故の見逃しを教訓に、平成二十四年に死因究明関連二法が制定された。その一つである「警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律」(以下「死因・身元調査法」)は一昨年四月に施行され、その法律に基づく死因究明等が行われるようになり、もう一方の「死因究明等の推進に関する法律」に基づき、昨年六月に死因究明等推進計画(以下「推進計画」)が閣議決定された。死因・身元調査法の運用、及び推進計画の実施状況等に関して、次の事項につき質問する。

一 死因情報を分析し、再発防止に役立てることは大変有意義である。その趣旨から、死因・身元調査法第九条に、関係行政機関への通報の条文が置かれたが、本法の施行後、この条文に基づく通報がどの程度行われてきたか。例示を含めお答えいただきたい。
二 推進計画「第2 死因究明等の推進を行うための当面の重点施策」の冒頭に、「政府において、死因究明等に関する関係府省庁間の施策の管理・調整等を行う体制を構築し、関連施策の総合的かつ計画的な推進を図るとともに、その実施状況を検証・評価・監視する。」とあるが、その体制は構築されているのか。仮に、「死因究明等施策推進室」の設置をもって、構築された、あるいは構築されつつあると言うのならば、今まで具体的にどういった活動を行ってきたか、また、今後どういった活動を行う予定か。
三 推進計画では、詳細な議論は、「死因究明等推進協議会(仮称)」に委ねることになっているが、閣議決定後九か月を経ているにもかかわらず、知る限り一県で立ち上がったのみであり、本当に政府が一体となって働きかけを行っているのか疑問である。今後、地方協議会を立ち上げ、その議論を加速することが肝要と考えるが、政府はそれに対しどのような努力をしていくのか。
四 警察庁は、司法解剖経費の見直しと称し、各都道府県警察に対し法医学会と警察庁で取り決めた価格で各大学法人、学校法人等と契約するよう指導しているとの噂があるが、その真偽はどうか。またそのようなことは本来すべきではないことを都道府県警察に指導するべきと考えるが如何か。
五 検査経費の大幅な値下げが行われると、とりわけ、精度の高い検査をするため、別途職員を雇用している大学に関してその影響は大きく、質の維持が困難になる可能性が指摘されている。警察庁はこうした値下げによる影響をどう考えているのか。
六 昨年六月十一日に行われた警察庁行政レビュー公開プロセス「司法解剖の実施」のなかで、有識者から、「ベストプラクティスを共有するのは当然」だが、それをするのに「法医学会とのすりあわせだけでよいのか」という意見が出ている。今後さらに司法解剖及びそれに伴う検査等の標準化を進める意思があるなら、外部の有識者の意見を聴取する過程を踏むべきと考えるが如何か。
七 上記行政レビューによれば、法医学教室等の機関によって検査経費の金額はかなり異なるということだが、警察庁等解剖の委託者は、検査経費の多寡が死因究明の精度に与える影響についてどんな評価を行っているのか。
八 死因究明等の推進にとっては、各法医学教室等が、単に解剖を実施するだけでなくより質の高い検査を実施し総合的に死因を推定できるような独立した鑑定機関として発展することが必要と考えるが、政府は将来にわたってこうした大学の法医学教室等を育成していく考えがあるのか。

 右質問する。



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