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平成二十七年九月九日提出
質問第四一五号

日米ガイドラインに関する質問主意書

提出者  原口一博




日米ガイドラインに関する質問主意書


 今年四月二十七日に日米安全保障協議委員会において日米両政府が合意した「新たな日米防衛協力のための指針」(以下「新ガイドライン」)は、我が国及び国際社会の平和と安定に資するよう日米両国間の安全保障・防衛協力を実効性あるものとするための措置を定めたものと承知する。国家の安全保障政策は、国民の理解と信頼があって初めてその実をあげられる。新ガイドライン関連の施策においても、可能な限り情報を国民に公開し、国会による民主的統制の下で施策が実施されることが肝要であると考える。
 このような観点から、新ガイドラインにおいて、同盟内の調整を強化するために新たに設置される、平時から利用可能な「同盟調整メカニズム」(ACM)及び「共同計画策定メカニズム」に関し、質問する。

一 一九九七年に改定された従来の日米ガイドライン(以下「一九九七年ガイドライン」)に定められた日米間の調整メカニズム(BCM)は緊急時に運用される想定であったが、実際にBCMの運用が開始されたことはないと承知する(第百八十九回国会衆議院予算委員会共産党要求資料への防衛省提出資料)。
 新ガイドラインにおいて「平時から利用可能」とされたACMは、今年八月時点で、中谷防衛大臣と来日したワーマス米国防次官との間でACMの「構築を早期に進めていくことで一致した」(『朝雲』二〇一五年八月二十七日号)と承知するが、ACMの運用開始予定年月のめど及び設置予定場所並びに設置の根拠となる法令を明らかにされたい。
二 ACMの運用は、既定の予算内で運用されるのか。新たな予算措置が必要とされるのであれば、その運用開始のために必要な追加的な予算額及び次年度以降に運用のために経常的に発生する費用を明らかにされたい。
 なお、平成二十七年八月三十一日に防衛省の平成二十八年度概算要求の概要が発表されているところであるが、この概算要求にACMに係る予算は含まれているか。含まれているとすれば、予算項目名及び予算額を明らかにされたい。
三 「平時から利用可能な」に対応する英文はstandingであると承知する。standingの訳語に「常設の」という日本語をあてるのが通例と思われるが、「平時から利用可能な」という訳語をあてた理由を明らかにされたい。なお、質問四で示した統合幕僚監部の文書においては、「平時から利用可能な」と「常設の」とが併用されていると承知する。
四 平成二十七年八月十一日の参議院の我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会で明らかになった統合幕僚監部作成の「「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)及び平和安全法制関連法案について」という文書(以下「統幕文書」)によれば、「平時から利用可能な常設のACM」という説明の後に、「なお、常設とは、「人の常駐」を意味しません。」と注記されている。人の常駐しないメカニズムにおいて、平時から緊急時に至る日米間の調整をどのような手順によって処理するのか、その想定を明らかにされたい。
五 質問四の統幕文書によれば、ACM内に、「運用面の調整を実施する軍軍間の調整所が設置される予定」である。この設置予定の軍軍間の調整所は、一九九七年ガイドラインのBCMの下に設置された日米共同調整所とはどのような点で異同があるのか、調整所の役割、調整所に配置される日米両者の要員の構成、調整所の設置の場所、調整所の運用に必要とされるハードウェア及びソフトウェアなどに関する両者の異同の詳細について明らかにされたい。
六 新ガイドラインのACMに関する項目(VのA)は、自衛隊と米軍の実施する活動に関連した政策面及び運用面の調整を強化する目的で、実効的な調整を確保するため、日米両政府は必要な手順及び基盤(施設及び情報通信システムを含む)を確立すると定めている。一方、平成二十七年度防衛省予算に日米間の戦術情報共有機能を付加した陸上自衛隊の野外指揮・通信システム一体化の一環として日米間の秘匿データ交換の研究費用が計上されており、また、平成二十八年度防衛省概算要求の概要においても米軍との連携緊密化のための海上作戦センターの整備費用や陸自と米軍とのリアルタイムの目標情報共有のための戦術データリンク機能の導入経費が含まれていると承知する。
 これらの平成二十七年度予算及び平成二十八年度予算で整備されるのは、「実効的な調整を確保するため、必要な手順及び基盤(施設及び情報通信システムを含む)」の一部にあたるのか。それとも、新ガイドラインに基づく日米両政府の実効的な調整を確保するため、別途の情報通信システムの基盤整備を今後行うのか。いずれの場合においても、新ガイドラインの実施に必要な情報通信システム基盤整備の具体的内容及びそのための予算措置の全体像を、政府として現時点で想定する範囲で明らかにされたい。
七 新ガイドラインにおいては、一九九七年ガイドラインで「包括的メカニズム」による検討課題とされた日米の「共同作戦計画」(Bilateral Defense Planning)という用語が見当たらない。新ガイドラインは、これに代えて「共同計画」(Bilateral Planning)という用語を用いている。用語の置き換えの理由を明らかにされたい。
八 質問四の統幕文書は、新ガイドラインにおいては、「日米共同計画」が従来の「検討」という位置付けから「策定」という位置付けになったとして、「共同計画策定メカニズム」という枠組みの中で、「統幕が主管となって「計画策定」を行う」としている。共同計画の策定を行う「共同計画策定メカニズム」に関し、統合幕僚監部以外の日米のどのような機関がこれに関与することになるのか、運用面と後方支援面の二つに分けてそれぞれ関与する各機関の名称及び役割を明らかにされたい。
九 一九九七年ガイドラインにおいて、「包括的メカニズム」は、日本有事における日米共同作戦計画及び周辺事態における日米相互協力計画の検討以外に、「準備のための共通の基準の確立」及び「共通の実施要領等の確立」という任務を有していたと承知する。新ガイドラインにおける「共同計画策定メカニズム」関連項目(VのC)にはこの種の任務の記述がない。これは、日米間で「準備のための共通の基準」及び「共通の実施要領等」がすでに確立されたことを意味するのか。確立されたのであるとすれば、日米は共通の交戦規則(ROE)を有し、防衛準備態勢(DEFCON)を共通化しているのか。共通化しておらず、自衛隊独自のROE及びDEFCONを用いているとすれば、どのように米軍との間で「準備のための共通の基準」及び「共通の実施要領等」を確保しているのかを具体的に説明されたい。
 それとも、新ガイドラインにおいて「準備のための共通の基準の確立」及び「共通の実施要領等の確立」に関する記述がない理由が他にあって、日米間で「準備のための共通の基準」及び「共通の実施要領等」を今後確立することになるのか。この場合、「準備のための共通の基準の確立」及び「共通の実施要領等の確立」に関する記述が新ガイドラインでなくなった理由を明らかにするとともに、どのように米軍との間で「準備のための共通の基準」及び「共通の実施要領等」を確保するのかを具体的に説明されたい。
 なお、これに関連して、平成二十七年七月八日の衆議院の我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会において、ROEあるいはDEFCONの日米間の共有について、中谷防衛大臣は「今後、協議、調整をしてまいりたい」と答弁したと承知している。

 右質問する。



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