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平成二十八年一月六日提出
質問第一七号

被収容者へのホルモン療法に関する質問主意書

提出者  初鹿明博




被収容者へのホルモン療法に関する質問主意書


 男性から女性へ性別適合手術を受けた、東京拘置所に勾留中の被告が、定期的に投与する必要がある女性ホルモンの投与を求めたにもかかわらず、「病気ではない」として東京拘置所から女性ホルモンの投与を認められずに体調を崩していたことが報じられています。
 「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」第五十六条には、「刑事施設においては、被収容者の心身の状況を把握することに努め、被収容者の健康及び刑事施設内の衛生を保持するため、社会一般の保健衛生及び医療の水準に照らし適切な保健衛生上及び医療上の措置を講ずるものとする。」と規定されており、身体に変調を来している事実を考えると、女性ホルモンの投与は認められる医療上の措置であると考えます。
 しかしながら、法務省は二〇一一年に出した「性同一性障害等を有する被収容者の処遇指針について」の中で、ホルモン療法については、「収容生活上直ちに回復困難な損害が生じるものと考えられないことから、特に必要な事情が認められない限り、法第五十六条に基づき国の責務として行うべき医療上の措置の範囲外にあると認められること」として、原則投与を認めておりません。今回の事例ではこの指針に基づき、女性ホルモンの投与を認めなかったと考えられます。
 指針の中で、ホルモン療法は医療上の措置の範囲外としていますが、ホルモン療法を突然かつ長期的に中止した場合、性ホルモンが欠乏するため更年期障害に似た症状が出たり、自律神経に影響を及ぼし、精神に変調を来す危険性があるとの専門家の指摘もあります。
 また、身体的には女性であるが性自認が男性のFTMで子宮・卵巣摘出手術を行っていない方の場合、ホルモン療法を中止したことによって月経が再開する可能性があり、月経に強い嫌悪感を持つFTMにとっては、希死念慮につながるほどの大きな心理的負担を強いることになりえます。
 戸籍の性別変更が認められるようになった平成十六年以降、累計で五千人以上、近年、八百名近くの方が戸籍の性別変更をしており、今後も増加していくことは間違いなく、戸籍の変更をした被収容者も増加していくと考えられます。
 上記のホルモン治療を中断することの心身への影響を考えると、可能な限り本人の意向を尊重することが被収容者の心身の健康及び人権を守る上でも必要だと考えます。二〇一一年の指針を見直し、本人の意向を尊重してホルモン療法を継続できるようにするべきだと考えますが、政府の見解を伺います。

 右質問する。



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