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平成二十八年三月十日提出
質問第一八三号

保育料値上がり問題に関する質問主意書

提出者  西村智奈美




保育料値上がり問題に関する質問主意書


 平成二十二年度税制改正により、年少扶養控除及び十六〜十八歳までの特定扶養控除の上乗せ部分の段階的廃止が行われた。保育料の算定は所得税・個人住民税の税額等と連動している。そのため、保育料算定における扶養控除の廃止による影響をできるだけ遮断すべく、平成二十三年七月十五日に厚生労働省より通知が発出され、扶養控除見直し前の旧税額を市町村において再計算し、それを基にして保育料を決定する取扱いとしてきた(いわゆる「年少扶養控除のみなし適用」)。
 平成二十七年三月三十一日に「子ども・子育て支援法施行令等の一部を改正する政令及び子ども・子育て支援法施行規則の一部を改正する内閣府令」(以下、内閣府令)の公布が自治体に通知された。それによれば、「利用者負担の階層区分の判定について、年少扶養控除等の廃止に係る影響については再計算しない取扱いを原則とする」とされている。ただし、既に入園している子どもが卒園するまでの間に限り、旧算定で決定することが可能で国庫負担も行うとされている(いわゆる「経過措置」)。
 内閣府からは、従前は所得税額で階層区分を決定していたものを市町村民税所得割課税額に変更し、制度の前後で階層区分が変わらないように所得割課税額を設定していると説明されているものの、その際、夫、妻、子二人の世帯を基本にしたため、昨年四月ないし九月以降、子どもが三人以上の世帯においては保育料が三万円や二万五千円も負担増となるケースが生じている。
 この点について、HTB北海道テレビ放送の取材によれば、子ども・子育て会議の無藤隆会長が「第三子の保育料がかなり上がるのは想定していなかった」とインタビューに答えているなど、内閣府としてのシミュレーションがなされていなかったことが問題視されている。
 またこれも北海道テレビ放送の取材によれば、政令指定都市の約半数が経過措置などの対応をとっていない。指定都市市長会長の林文子市長も指定都市会では国の責任において対応すべきと発言している。
 今回の多子世帯における保育料の値上がりは、内閣府令が主たる要因であると疑われる。
 新しく入園する子どもはすべて経過措置の適用外となることは、平成二十八年三月九日厚生労働委員会における内閣府副大臣の答弁から明らかである。また多子世帯の保育料負担軽減として第二子、第三子以降の保育料の減免が行われるとはいえ平成二十八年度予算におけるその対象世帯は年収三六〇万円未満相当の世帯のみと狭くなっているため、制度上、引き続き高い保育料を徴収される世帯が生じることとなる。
 よって、以下、質問する。

一 今年度、自治体が経過措置などの対応を行ったか否か、行った場合はどの時点からどのような措置を行ったか、すべての市町村に調査を行うべきと考えるが、如何。
二 経過措置などの対応を行っていない自治体において、特に多子世帯において、保育料がどのように変化したのか、またその原因は何か、サンプル調査を行うべきと考えるが、如何。
三 経過措置期間が終了した後、保育料が高止まりすることがないよう、政府として対応に万全を期すべきと考えるが、二〇一七年度以降の保育料の減免など幼児教育無償化はどのような実施計画となっているのか。また実施するための必要経費はどの程度と見込んでいるか。またそのための安定財源はどのように確保するのか。
四 保育料が大幅に値上がりした世帯がある原因が、内閣府令であった可能性は排除できず、内閣府がその影響を事前にきちんとシミュレートした形跡もないことは、子育て支援に逆行することであり、一億総活躍、希望出生率一.八を掲げる安倍政権の本気度を疑わざるを得ない。どのように責任を感じているか。

 右質問する。



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