衆議院

メインへスキップ



質問本文情報

経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
平成二十八年八月一日提出
質問第三号

米軍艦船によりマグロはえ縄漁船の漁具が切断された疑いのある事故の原因究明に関する質問主意書

提出者  仲里利信




米軍艦船によりマグロはえ縄漁船の漁具が切断された疑いのある事故の原因究明に関する質問主意書


 去る六月八日、沖縄県糸満市喜屋武岬南方五十〜七十キロメートルで操業していた沖縄県船籍のマグロはえ縄漁船四隻の漁具が、米軍艦船と思われる船舶に切断される事故が発生した。漁船の乗組員が目撃したとの証言があることも報道されている。
 幸い人命や船体への損傷はなかったものの、切断事故を起こしたと思われる米軍艦船が一定以上の大きさの船舶に搭載と発信が義務づけられている船舶自動識別装置の電波を発信していなかったとの情報も寄せられている中での事故であり、一歩間違えば重大な事故に繋がりかねなかったことから、沖縄県は被害を受けた漁船への聞き取り調査を行い、被害の程度や事故当時の詳細な状況の把握に努めるとともに、周辺海域で操業する漁船に対して注意喚起を促したとのことである。
 米軍艦船によると思われるマグロはえ縄漁具の同様な切断事故は、平成二十六年に九隻、平成二十七年にも二隻と相次いで発生しており、今回を合わせると三年連続の発生となる。
 平成二十六年に被害を被った漁業者は千百四十六万円の損害賠償を米海軍の音響測定艦の運航会社に求めたところ、運航会社は事故への関与を認めないが、請求額の三割を支払う内容で一方的に示談を提示したため、漁業者は全額の支払いを求めて示談を拒んでおり、補償問題が未解決のまま放置された状態となっている。過去の補償問題が未解決の中で起こった同様の事故であり、またしてもうやむやにされる懸念があることから、沖縄県の漁業者及び県民は米軍及び米国政府に対する憤りを隠しきれない状況である。
 さらに、この事故に対して原因究明や補償問題の解決に何ら関与しようとしない政府に対しても不信感を募らせている。
 これらを踏まえて、以下お尋ねする。

一 漁具の切断事故を起こしたとみられる米軍艦船は、船舶自動識別装置の電波を発信していなかったとみられていることに対して政府の承知するところを明らかにした上で、当該艦船が我が国の排他的経済水域内で国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律やSOLAS条約(海上人命安全条約)等船舶の安全な航行に関する諸法令等に反し、安全確保を怠って航行して漁船の安全を脅かしていることに対する政府の見解を答えられたい。
二 米軍艦船によると思われるマグロはえ縄漁具の切断事故が三年連続で発生し、漁業者に多大な損害と不安を与えていることに対して政府の承知するところを明らかにした上で、米軍艦船のこのような危険極まりない事故が後を絶たない理由や日米両政府の対応が十分であるかなどに対する政府の見解を答えられたい。
三 今回切断事故が発生した海域は、政府が沖縄の漁業者の同意を得ないまま、一方的に締結した「日台民間漁業取り決め」により好漁場を台湾及び中国の漁船に奪われた沖縄の漁業者がかろうじて操業できる唯一の場所である。その海域においてさえも米軍艦船により、一式で五百万円から八百万円を要する漁具があっという間に切断されるならば、一体沖縄県内の漁業者はどこに漁場を求めればよいのか。これまで政府は名護市辺野古沖の豊饒なサンゴ礁域を埋め立てようとし、さらに沖合のクロマグロ等の好漁場も県民の頭越しに取り上げて台湾や中国の漁業者に無条件で差し出したなどおよそ自国民に対する対応とは思えない圧政を行ってきた。挙句の果てには今回の米軍艦船が安全装置を外したまま我が物顔で航行し、生活の糧を得る貴重な漁具を切断するという有様であるが、これら沖縄県民に対して政府が強権的に行ってきた様々な対応に対して政府の承知するところを明らかにした上で、政府の沖縄県民に対するこのような対応や強権的な施策の根底には沖縄県民への差別があると思われていることに対する政府の見解を答えられたい。
四 三年連続して起こったマグロはえ縄漁具の切断事故に対して、政府はこれまで全く関与していない。しかし、ほんの僅かの賠償であり、被害者の救済には程遠い状況であるが、公務外の事件で起こった米軍絡みの事件・事故では米政府が賠償を担う制度があることに鑑み、今回の切断事故に対しては、被害者である漁業者や漁業関係団体任せの交渉や請求にするのではなく、我が国の外交や防衛問題に関わる問題として政府が窓口となって主導的に米国政府と交渉を行うべきと思われるが、政府の認識はどうか。

 右質問する。



経過へ | 質問本文(PDF)へ | 答弁本文(HTML)へ | 答弁本文(PDF)へ
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.