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平成二十八年九月二十六日提出
質問第八号

大阪市教育委員会の教科書採択への組織的介入問題に関する質問主意書

提出者  阿部知子




大阪市教育委員会の教科書採択への組織的介入問題に関する質問主意書


 二〇一五年度において、二〇一六年度使用中学校用教科書の採択が行われ、大阪市教育委員会は歴史・公民の使用教科書に育鵬社版を採択した。この採択の経過において、育鵬社と大阪府岸和田市に本社を置く不動産会社であるフジ住宅株式会社が協力して、教科書展示会場で組織的アンケート意見記入の活動を行った。また、育鵬社の利害関係者である教育委員が採択行為へ関与している。馳浩文部科学大臣(当時)は、本年三月八日の記者会見で組織的アンケート活動に触れて、「育鵬社に対しては猛省を促したい……(大阪市)教育委員会から協力の申出などがあれば、必要に応じて、育鵬社に対する事実関係の確認など、必要な対応をとる」と述べており、その問題性については認識していると思われる。
 教科書採択を決定する大阪市教育委員会には、教科書展示会場での不正なアンケート結果が報告され、採択の重要な資料とされている。文部科学省が事実をどのように把握し、その問題性をどのように考えているのか、明らかにすべきである。
 よって、以下質問する。

一 大阪市教育委員会が二〇一五年八月五日に行った中学校社会科歴史・公民の採択は、組織的アンケート活動と育鵬社の利害関係者である教育委員の関与があり、不公正に行われたと考えるが、文部科学省として、以下の事実を把握しているか明らかにされたい。
 @ 大阪市内三十三ヵ所の教科書展示場へ投函され、情報開示された教科書アンケート一一五三枚の中から、多重投票が数多く確認されていること。
 A 大阪市教育委員会は、アンケートを集計する途中で多重投票の存在に気づいたが、そのまま集計作業を進めて数値化し、教科書選定委員会などへ報告したこと。
 B 大阪市教育委員会には、育鵬社版教科書を印刷するサンケイ総合印刷の専務取締役を経験し、採択直前まで同社の百%親会社である産経新聞関係者だった者が委員として加わっていること。
二 大阪市教育委員会の教科書採択への不正な介入を誘引したのは、育鵬社と日本教育再生機構であると考えられるが、文部科学省として以下の事実を把握しているか明らかにされたい。
 @ 育鵬社版支持の多重投票をした中心団体がフジ住宅株式会社(大阪府岸和田市)であること及び支持票の過半が市外からのものであること。
 A 育鵬社は、大阪市の社会科の教科書採択はアンケートが決め手となることをフジ住宅会長へ伝え、同社に総力を挙げ取り組ませたとされること。
 B フジ住宅は不正な投票活動について全て育鵬社と日本教育再生機構(同機構理事長の八木秀次氏は育鵬社版を執筆し、同機構は育鵬社の見本本を販売している)へ報告し、育鵬社も採択後感謝を述べているとされること。
三 大阪市教育委員会による不公正な教科書採択に関し、前掲一の事実は地方教育行政の組織及び運営に関する法律第一条の二「地方公共団体における教育行政は……公正かつ適正に行われなければならない」に違反し、また、前掲二の事実は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第二条第九項第六号ハ「不当に競争者の顧客を自己と取引するように誘引し、又は強制すること」に該当し不公正な取引方法の禁止に違反すると考えられるが、政府としての認識を明らかにされたい。
四 馳文部科学大臣(当時)は前掲の通り「(大阪市)教育委員会から協力の申出などがあれば……必要な対応をとる」と述べたが、地教行法や独禁法などに違反したことが確認できる場合、大阪市教育委員会からの申出がなくても国(文部科学省)として積極的に対処すべきであると考えるが、政府の認識を明らかにされたい。
五 法令違反等が部分的にでも判明した場合に教科書採択のやり直しの必要性を判断する第三者機関を設置することについて、国(文部科学省)が主導して法整備をする必要があると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
六 教育委員会による教科書採択に関し公正さを担保するため、採択会議に出席する等教科書採択に関与する教育委員の資格及び欠格条項を現状より厳密に設定する必要性があると考えるが、政府として関係法令を点検し、改正を検討する考えがあるか明らかにされたい。

 右質問する。



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