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平成二十八年十月十八日提出
質問第七一号

耐震基準に関する質問主意書

提出者  奥野総一郎




耐震基準に関する質問主意書


 「平成二十八年熊本地震」(以下「熊本地震」と称す)では、建築基準法の耐震基準に合致した公共建築物等にも甚大な被害が出て避難所として使用できなくなったり、住宅が倒壊したケースが相次いだ。専門家の中からは、「耐震基準の見直しが必要」とする意見も少なくない。
 そこで、以下質問する。

一 「地震地域係数」を設けている理由ならびに、係数がどのような根拠で算出されたのか示されたい。マグニチュード(以下「M」と称す)とはどのように連関するのか。
二 熊本地震は予測できたのか。予測できなかったとすれば、地震地域係数の低い地域でも、大地震は十分起こりうるということではないか。
三 熊本地震の本震は、M七・三、熊本県西原村と益城町で震度七を観測した。M七・三は一九九五年(平成七年)に発生した兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)と同規模の大地震である。九州においても、近畿圏と同規模の大地震が起きることがわかったわけだが、なお、「地震地域係数」を設けている根拠は何か。
四 益城町役場庁舎など昭和五十六年基準を満たしている建築物の構造部分が損傷した。地震地域係数がなければ、損傷を免れたケースもあるのではないか。
五 国土交通省の「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」の報告書では地震地域係数について「そのあり方は中長期的に検討すべき課題であると考えられる」としているが、いつ、どこで起きるかわからない大地震での被害を少しでも防ぐためには、地震地域係数について国は早急に見直すべきと考える。政府はどのように検討を進めているのか、具体的に示されたい。
六 地震地域係数については、福岡市、静岡県など自治体が独自に係数を上乗せし、被害を抑える取り組みをしている。一方で、沖縄県では全国で唯一係数が〇・七となっている。建築コストのみを優先し、財政力の弱い地域の安全性が損なわれているのではないか。政府の考えを伺いたい。
七 前述報告書では「構造部材や非構造部材等の部分的な損傷により、庁舎、体育館などの避難所、病院、共同住宅等で地震後に継続的に使用できなかった事例が確認された。こうした状況を踏まえ、今回の熊本地震を含む最近の地震被害において建築物の機能が損なわれ、継続的に使用できなかった事例について、その原因を明らかにする必要がある」としている。さらに「災害時に機能を継続すべき庁舎や、防災・避難・救助等の拠点となることがあらかじめ想定されている施設については、被害を少しでも軽減し、期待される機能が被災後に維持できるようにするための検討を行うことが必要である」としている。これらの指摘に対し、政府は具体的にどのように取り組むのか、明らかにされたい。
八 建築基準法第二十条第一項第四号の「小規模な建築物」では「直下率」は基準の対象外となっている。しかし、NHKスペシャル等で報道された通り、熊本地震においては、二〇〇〇年基準に適合した新耐震住宅が多く全倒壊した。専門家は、直下率が採用されていなかったことが原因、と指摘している。政府の見解と、四号建築物についても「直下率」を取り入れる考えはないか、示されたい。
九 朝日新聞(二〇一六年十月十六日付け朝刊)は「活断層の上 住めるのか」と題し、活断層が甚大な被害をもたらした熊本地震対策の問題点を指摘している。機能が失われた益城町役場庁舎も隠れた活断層上やその延長線上にあった可能性も考えられる。この記事によれば福岡沖地震を経験した福岡市では、断層周辺にビルを建てる場合、国の基準より二十五%上乗せした耐震強度を求める条例を設けている、という。国は来年度予算で益城町の断層調査や断層を避ける区画整理への新たな支援も設けていると伺うが、そもそも、断層を避けるための法整備こそ優先するべきではないか。
十 政府は今回の熊本地震被害の問題点を早急に洗い出し、建築基準の全面的見直しをすべきと考える。政府の方針を示されたい。

 右質問する。



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