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平成二十八年十月二十日提出
質問第七五号

年金積立金の運用に関する質問主意書

提出者  奥野総一郎




年金積立金の運用に関する質問主意書


 年金積立金の運用については、「被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うこと」、「年金積立金の運用が市場その他の民間活動に与える影響に留意しつつ、安全かつ確実を基本とし、年金積立金の運用が特定の方法に集中せず」に行うことが法律に定められている。また、年金積立金は、国が年金保険料の拠出者から預かっている資産を原資としており、その運用に当たり安全を旨とし、拠出者である国民の理解を得ながら行うべきことは言うまでもない。平成二十六年十月、年金積立金管理運用独立行政法人(以下「GPIF」という。)は中期計画を変更し、基本ポートフォリオにおける株式の運用比率を高めたが、その後の平成二十七年度において五兆円を超える損失が発生するなど、年金積立金の運用に対する不安が高まっており、信頼できる年金制度に向けて一層の説明責任を果たすことが求められている。
 右を踏まえ、以下質問する。

一 安倍総理は、平成二十六年一月のダボス会議において、GPIFを改革し、成長への投資に貢献する旨発言している。成長への投資に貢献すると表明することは、「安全かつ効率的」、「安全かつ確実」な運用という法律の規定に反するものではないのか。また、本来であれば、被保険者など拠出者の同意の上で基本ポートフォリオを変更すべきであったと考えるが、政府の見解を伺いたい。
二 基本ポートフォリオについて
 1 平成二十六年十月の基本ポートフォリオ変更は、平成二十六年財政検証を踏まえて行われたものであるが、平成二十六年財政検証は、同年一月の内閣府「中長期の経済財政に関する試算」に準拠している。同試算の「経済再生ケース」は、「三本の矢」の効果が着実に発現した場合としているが、アベノミクスとは異なる成長戦略を採用していれば、その後の財政検証や基本ポートフォリオの見直しについても異なる結論となっていたということでよいか。
 2 平成二十六年十月三日のGPIFの第八十五回運用委員会の議事要旨によれば、ある委員の発言として、単年度で発生する可能性のある損失額を三十兆円である旨を掲載している。この損失額は、平成二十六年十月時点での試算額であるということでよいか。
 3 2のとおり平成二十六年十月時点で三十兆円という損失額の試算が行われていたにもかかわらず、同年十一月十九日に開催された厚生労働省社会保障審議会年金部会においては、単年度の損失が最大でいくらになるかとの出席委員からの質問に対し、厚生労働省は明言を避けている。試算があったのであれば、答えることは可能だったと考えられるところ、回答がなされなかったのはなぜか。
 4 GPIFの運用委員会の議事要旨は、現在、概ね開催から一か月ないし一か月半程度で公開されている。これに対し、第八十五回運用委員会の議事要旨は、開催から二か月半を超える平成二十六年十二月二十二日に公開された。過去三年間において、議事要旨の公開までこれ以上の期間を要した例があるのか伺いたい。また、公開まで時間を要したのは、同年十二月十四日に実施された衆議院議員総選挙への影響を避けることを意図したものだったのではないのか伺いたい。
三 平成二十六年十月三十一日、GPIFの中期計画変更に先立ち、日本銀行は追加緩和策を公表した。GPIFの中期計画の変更が同日に公表されたことも一因として、同日及び翌営業日の日経平均株価は大きく上昇した。GPIFと日銀との間での事前調整が困難であったとしても、結果として発表が同日に行われたことによる市場への影響は明らかであり、年金積立金管理運用独立行政法人法に定めるとおり、「市場その他の民間活動に与える影響に留意」する必要があったのではないか。この点、厚生労働省及びGPIFは、日本銀行の発表を受けて、中期計画の変更を延期する等の対応を行わなかったのはなぜか。
四 平成二十七年十月に被用者年金の一元化が行われ、現在は旧共済年金制度の積立金の運用についてもGPIFと共に定めたモデルポートフォリオに従って基本ポートフォリオを定めている。しかし、平成二十七年度の三共済の業務概況書によれば、厚生年金保険給付積立金の収益率は、いずれもGPIFよりも高い状況にある。この要因について伺うとともに、今後はGPIFと同様の収益率となるということでよいか伺う。
五 年金財政は百年後も積立金が枯渇することはないということか。政府はそれを約束できるのか。

 右質問する。



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