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平成二十八年十月二十七日提出
質問第九〇号

TPPの今国会での承認と関連法の成立に反対しTPPの交渉見直しを求めることに関する質問主意書

提出者  仲里利信




TPPの今国会での承認と関連法の成立に反対しTPPの交渉見直しを求めることに関する質問主意書


 TPPについては、交渉経過や結果の説明が十分でなく、その影響についても政府の見通しが甘く、影響を被る産業への支援や対策も十分でないとの批判が根強く残っている中で、政府は今国会でTPPを強権的に承認し関連法を成立させようと躍起になっている。
 そこでお尋ねする。

一 米国の大統領候補者に名乗りを上げている共和党及び民主党の候補者はいずれもTPPに反対しており、また米国民の半数以上も反対しているが、その理由を政府はどのように考えているか。
二 共和党及び民主党のいずれの大統領候補者が勝利を収めても米国はTPPに反対することになる。そのような中、なぜ日本だけが率先してTPPに賛成しなければならないのか。
三 これまでTPPの交渉に参加した国の賛否の状況と締結に向けた今後の見通しはどうか。
四 二〇一七年の「核兵器禁止条約」制定交渉開始を定めた国連の決議案に対して政府は賛成しないとのことである。その理由は米国が反対するからとのことであるが、ことほど左様に米国の顔色だけを窺って追従しているならば、結局TPPも米国が反対すれば政府も同様に反対するのではないか。
五 国益や国民の生活を優先するならば、我が国があえてTPP推進のけん引役にならずに、慎重に各国と議論を積み重ねて機が熟すのを待つべきではないか。
六 政府はTPPで日本の実質GDPが押し上げられる一方、農林水産物の生産減少額が僅かであり、各種の支援や対策で十分凌げると試算する。しかし、アメリカ通商代表部のホームページでは「TPPは、エネルギー、環境技術、生物工学などのアメリカ企業を有利にする」とし、日本への影響として農産物では甘味資源作物の百%生産量減少を筆頭に牛肉で七十五%、豚肉で七十%、パインアップルで八十%それぞれ減少を見込んでいる。そうなれば沖縄県を始め我が国の農畜産業は壊滅的な打撃を被り、離島地域の殆どが崩壊すると予想している。またTPPは関税や保険、サービス、教育等二十一分野に及ぶが、その全ての分野で影響が出るとしている。政府はこのような見通しが米国政府にあることを承知しているか。
七 質問六に関連して、米国政府のこのような見通しと比べると、政府の試算は余りにも楽観的であり、現実を直視していないと思われるが、どうか。
八 今国会での質疑において、経済成長の指標GDPの「十四兆円拡大の時期はいつか」との質問に対して、政府は「いつか分からない」と答え、また「八十万人の雇用増の産業とは」との質問に対して、答弁がないという有様である。このような状況を鑑みると、政府はTPPによる国内への影響をきちんと調査・分析・把握・対策の樹立をしていないのではないか。
九 質問六〜八に関連して、政府は米国政府の見通しを参考として、TPPによる影響を再度検証して見直すべきではないか。
十 質問六に関連して、米国政府は「TPPはアメリカ企業を有利にする」と公言してはばからないのであるから、政府も我が国の産業や国民生活を第一義とし、米国への追従をやめてTPP交渉を進めるべきではないか。
十一 TPPには現在十二か国が参加し「環太平洋諸国」と標榜しているが、世界第二位の経済大国となった中国が対象となっていない。巷ではその理由として「TPPが対中国ブロック経済圏」との手厳しい批判もある。政府が言うようにTPPが「世界の自由で開かれた公正な貿易のルール作り」であるならば、なぜ中国を入れないのか。
十二 質問十一に関連して、中国をTPPに入れた上で、交渉を最初からやり直すべきではないか。
十三 TPPの今国会での承認と関連法の成立に関する審議や国民への説明について、政府は建設的・具体的に議論を積み重ねるとか、丁寧に説明すると言いながら、交渉過程を一切明らかにしないで結果を見て議論を進めるべきだとしたり、資料を全て黒塗りで提出したりするなどおよそ話と実態がかけ離れた形式的なものとなっている。今一度原点に立ち戻って、今国会での承認と関連法の成立を諦めて、国会での審議や国民への説明を丁重に行うべきではないか。

 右質問する。



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