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平成二十八年十二月十二日提出
質問第二二九号

世界各国における自家用車ライドシェアをめぐる犯罪行為等に関する質問主意書

提出者  辻元清美




世界各国における自家用車ライドシェアをめぐる犯罪行為等に関する質問主意書


 平成二十八年十月十九日の衆議院国土交通委員会で、自家用車ライドシェアに対する本村賢太郎委員の質問に対し、石井国土交通大臣は下記のように答弁している。
 「国土交通省といたしましては、自動車による旅客の運送において、安全、安心の確保が最重要の課題と認識をしております。一部民間から提案がなされておりますいわゆるライドシェアにつきましては、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としております。このような形態の旅客運送を有償で行うことにつきましては、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があり、極めて慎重な検討が必要と考えているところでございます。」
 自家用車ライドシェアについては、多発する犯罪や違法行為について下記の通り多数の報道がある。
・米国・サンフランシスコ:Uberにログインしていたドライバーが交通事故を起こし、六歳の少女が死亡した。(二〇一三年十二月、PUNTA紙)
・米国・ロスアンジェルス:Uber社の運転手が乗客を誘拐し、性的暴行を加えたとして逮捕された。(二〇一四年六月、Huffington Post紙)
・米国・ボストン:女性客はUber社の運転手に目的地を伝えたが、女性の知らないところまで車を走らせて人目のつかないところで停車し、女性の座る後部座席に乗り込み、車の扉をロックした上で、女性を押さえつけ、性的暴行を加えた。捜査にあたったケンブリッジ警察は、Uber社の記録から容疑者の男を突き止め、被害女性も同容疑者を犯人だと確認した。(二〇一四年十二月、Huffington Post紙)
・インド・デリー:Uber社の運転手が乗客を強姦したとして逮捕され、同市を含むインド国内の複数の地域で、Uber社は営業停止になった。(二〇一四年十二月、Huffington Post紙)
・韓国・ソウル:韓国検察当局は米タクシー配車サービスを展開するUber社が韓国で正式な許可なしにタクシー事業を行っているとして、同社のトラビス・カラニック最高経営責任者(CEO)と現地の提携先のトップを起訴した。(二〇一五年六月、CNN)
・香港:香港警察当局は八月十一日、配車サービスアプリUberに対する一斉摘発に乗り出した。香港警察は今回の摘発の理由として、自家用車を不正に旅客輸送用途に転用して報酬を得る行為は違法にあたるとした上、第三者保険が自動喪失することから、乗客及びその他の道路使用者に対して非常に危険であることを挙げている。また、午後には午前中に逮捕されたUber運転手らの違法行為及び第三者保険喪失をほう助した疑いで、Uber香港事務所に対する家宅捜索を行い、二十一〜二十九歳の男性スタッフを拘束するとともに、パソコンなどの関連資料を押収した。(二〇一五年八月、THE WALL STREET JOURNAL紙)
・マカオ:マカオ警察当局と交通当局が当月二十九日に合同記者会見を行い、配車アプリを使った白タクサービスを運営したとしてUber運転手二人を検挙したと発表した。警察当局によると、検挙された二人の運転手は違法な白タク運営を行ったとしてそれぞれ三万パタカ(日本円換算・約六十万円)の罰金が科せられたという。(二〇一五年十月、マカオ新聞)
・アメリカ・ミシガン州:米北部ミシガン州カラマズーで発生し六人が死亡した銃撃事件で、逮捕された容疑者の男が、米配車サービス「ウーバー」の運転手で、事件の直前まで客を乗せていた可能性があることが明らかになった。二十日夜に起きた事件では、市内三カ所で男が発砲し、六人が死亡、二人が重傷を負った。男は集合住宅の外で女性一人を撃ち重傷を負わせた他、自動車の販売代理店で二人を射殺。さらにレストランで四人を射殺し、十代の少女に重傷を負わせた。ウーバーは、事件の翌日に逮捕されたダルトン容疑者(四十五)が同社の運転手だったことを認めた。容疑者は身元調査に合格し、犯罪歴もなかったという。(二〇一六年二月、AFP)
・アメリカ・カリフォルニア州オレンジ郡:カリフォルニア州オレンジ郡で十代の少女がウーバーに乗客として乗車中にドライバーによってレイプされ、ドライバーが現地警察によって逮捕されたという。少女は酒に酔っていたとの情報もあり、帰宅が遅いことを心配した家族がウーバーのアプリで現在位置を確認し、警察に通報した。被告男性は既に保釈金を支払って釈放された。ウーバーの広報担当は被告をドライバーから永久に除外すると述べているが、一方で、同社によるドライバーのバックグラウンドチェックはクリアしていたことも認めているという。(二〇一六年十一月、交通界Faxpress)
 政府はこれまで、自家用車ライドシェアによって引き起こされた各国の事件と、各国政府の対応について、下記のような答弁を行ってきた。
「マイカーを用いた旅客運送については、例えば米国ロサンゼルスやインドのニューデリーにおいて、乗客がドライバーから暴行を受けるなどのトラブルがあったと承知をしております」(答弁一、参議院・国土交通委員会 平成二十七年七月二日)
「私どもでつかんでおる範囲は報道ベースとなりますけれども、海外におけますウーバー社に関連した事例ということで一例を申し上げますれば、例えばアメリカにおきまして、またインドなどにおきまして、乗客がドライバーから暴行を受けるなどのトラブルがあったと承知しております」(答弁二、参議院・内閣委員会 平成二十八年五月十九日)
「欧米、アジア等の各地でも訴訟等が提起されているほか、行政当局との関係でも、例えば米国において、ネバダ州の地方裁判所が自家用車を用いたサービスを行った会社に仮差止め命令を出しました。欧州でも、ドイツの地方裁判所が自家用車を用いたサービスの提供を禁止する判断を下した、アジアでも、韓国においてソウル検察が自家用車を用いたサービス等を行った代表者を起訴したなどの対応がなされているものと承知をしております」(答弁三、参議院・国土交通委員会 平成二十七年七月二日)
「欧米、アジアでの裁判所等との関係につきましては、例えばドイツにおきましては裁判所が自家用車を用いたサービスを禁止する判断を下したでありますとか、また、韓国においてはソウル検察が自家用車を用いたサービスを行った者を起訴したといった事例があったものと承知しております」(答弁四、参議院・内閣委員会 平成二十八年五月十九日)
 平成二十八年十一月九日の未来投資会議・第二回「第四次産業革命」会合で内閣官房IT総合戦略室提出資料には、「自家用車ライドシェアについては、禁止とする国・地域や許可制等の規制を整備する国・地域が現れつつある。」という記述がある。自家用車ライドシェアをめぐっては、世界各国で以下のような状況がある。
・ドイツ:二〇一五年三月、フランクフルト州裁判所が、自家用車を用いたウーバー社のサービスを違法とする判決を出した。当該判決はドイツ全土に適用される。
・フランス:二〇一四年二月、ウーバー社が自家用車を用いたサービスを営業開始したが、二〇一五年七月、ウーバー社の幹部二人が逮捕・起訴され、自家用車を用いた営業が中止となった。さらに二〇一五年九月にはフランス憲法裁判所が、自家用社ライドシェア(UberPOP)を禁じる法律を違憲とするUberの訴えを棄却した。
・ベルギー:二〇一五年九月、ブリュッセルの商事裁判所はウーバー社に対し、UberPOPの当地での提供を禁じる判決を下した。
・韓国:国土交通部がソウル特別市に対し、旅客自動車運動事業法違反でUberXを取り締まるよう指示。二〇一四年十二月、ソウル市警察は、Uber Koreaの支社長、同社に協力するレンタカー業者ら三十五人を同法違反で起訴した。二〇一五年三月、ウーバー社は自家用車によるサービスを中止した。
・台湾:二〇一五年九月、台湾高等行政法院はウーバー社が台湾で展開するタクシー配車サービスが違法であると認定し、業務停止を命じた。
 以下、質問する。

一 「自家用車ライドシェアについては、禁止とする国・地域や許可制等の規制を整備する国・地域が現れつつある。」という記述について。
 1 具体的にはどのような国・地域が「禁止」となったか、政府の把握している国・地域をすべて明らかにされたい。答弁三・四で述べられたもの以外の事例についても、すべて明らかにされたい。
 2 具体的にはどのような国・地域が「許可制等の規制を整備」となったか、政府の把握している国・地域をすべて明らかにされたい。答弁三・四で述べられたもの以外の事例についても、すべて明らかにされたい。
 3 その結果、自家用車ライドシェアのサービスがいったん開始されたものの、中止・撤退した国・地域をすべて明らかにされたい。
 4 右記1〜3について、どのような理由で「禁止」「許可制等の規制を整備」となったと政府は理解しているか。個々の国・地域について明らかにされたい。
二 世界各国で自家用車ライドシェアによって引き起こされた、乗客の安全と運転手の権利が保護されなかった事案について。
 1 政府は、世界各国で、自家用車ライドシェアの運転手が傷害・窃盗・暴行等で逮捕・起訴された事案について、どのようなものがあると承知しているか。答弁一・二で述べられたもの以外の事例についても、すべて明らかにされたい。
 2 政府は、自家用車ライドシェアの運転手が傷害・窃盗・暴行等で逮捕・起訴された事案について、調査・収集・検証した事実はあるか。なければ至急調査・収集・検証する必要があると考えるがいかがか。
 3 右記1・2以外で、世界各国で、自家用車ライドシェアによって引き起こされた、乗客の安全と運転手の権利が保護されなかった事案について、どのようなものがあると承知しているか。

 右質問する。



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