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平成二十九年一月二十五日提出
質問第二九号

諫早湾干拓潮受堤防排水門の開門調査と有明海再生事業の関係等に関する質問主意書

提出者  大串博志




諫早湾干拓潮受堤防排水門の開門調査と有明海再生事業の関係等に関する質問主意書


一 開門調査と再生事業の関係について
 1 平成二十九年一月十四日付佐賀新聞などによれば、山口佐賀県知事との面談後の記者会見において、農林水産省佐藤速水農村振興局長(以下「佐藤局長」という。)が、開門調査について「開門調査をしている間は、原因を特定するためにも再生事業がストップする可能性が出てくる」と述べたと報道されている。
  開門調査の議論も再生事業も、いずれも長い歴史を有しているが、これまで佐藤局長のような発言を農林水産省幹部が行ったことはない。有明海漁民は長期にわたる不漁に苦しみ、有明海再生のためには開門も再生事業も共に行って欲しいと望んでいるなか、農林水産省幹部がこのような発言をすることの影響は極めて大きい。
  佐藤局長が、このような趣旨の発言をしたのは事実か。事実だとすれば、なぜ、この時期に、突然、そのような趣旨の発言をしたのか。
 2 開門調査は、常時開門により調整池への海水導入を行い、開門前後の漁場環境や漁獲量などの変化を検証するものである。開門の効果を見極めるためには、開門以外の環境条件は同一でなければならない。
  これまで長期にわたり再生事業を行ってきたにもかかわらず、佐藤局長の発言のように開門調査の実施期間だけ再生事業を中断すれば、同一条件下における開門効果の検証ができなくなる。
  異なる条件下でどのように開門の効果を検証するつもりなのか、科学的かつ合理的な根拠を示して説明を求める。
 3 また、農林水産省は常々、有明海の再生のためにはできる限りの努力をすると述べてきた。
  そうであれば、開門調査を実施する場合も、従来の再生事業と開門の相乗効果について、調査・検証すべきである。
  なぜなら、従来の再生事業と開門は、二者択一の関係にあるわけでもなく、同時に行うことが可能であり、どちらも有明海にとって有益なので、相乗効果が期待できるからである。
  しかるに、佐藤局長の発言があたかも両者を二者択一のように扱い、開門調査をするならば再生事業をやめるというのはなぜか。合理的な説明を求める。
 4 2、3について合理的説明ができないのであれば、佐藤局長の発言はその影響力の大きさに鑑み、公式に撤回すべきであると考えるが如何か。
二 基金方式による再生事業について
 1 農林水産省は、長崎地方裁判所における和解協議の場で、有明海再生にとって、基金方式の再生事業は極めて有効である旨、繰り返し述べている。
  そうであるならば、漁業者がかねてから、従来の再生事業の一態様として基金方式の再生事業を要求しているにもかかわらず、これを拒否するのはなぜか。なぜ、長崎地方裁判所の和解協議における提案のように、「開門に代わる」という前提がなければ有明海再生にとって有効な基金方式の再生事業は実施できないのか。
 2 従来の再生事業の一態様として基金方式ができない法的根拠があるのだとすれば、長崎地方裁判所の和解協議における提案のように、「開門に代わる」という前提の場合に限ってはできるという法的根拠を明らかにされたい。
三 国の立場について
 1 平成二十二年十二月に福岡高等裁判所の開門判決が確定し、平成二十五年に長崎地方裁判所で開門差止めの仮処分決定が出された後、国は一貫して「開門、非開門どちらの立場にも立てない」旨の発言を繰り返してきた。
  また、平成二十八年十一月二十五日の衆議院決算行政監視委員会における私の質問に対し、山本有二農林水産大臣は「解決に向けての新しい発想や新しい知恵が出た場合、私どもとしましては、裁判所の訴訟指揮に従いつつ、問題解決に至れますように最善の努力を傾けていきたい」と答弁している。
  このように、従来から国は、開門にも非開門にも偏頗することなく、裁判所の方針転換などがあれば、それに従った解決を目指す旨述べてきた。
  しかるに、平成二十九年一月十七日に長崎地方裁判所で行われた和解協議において、国の指定代理人からは、「差止め原告らが開門前提の協議には応じられないと言っている以上、国としては開門を前提とする解決を目指すことはありえない」旨の発言があった。
  従来から国がとってきた「中立的立場」を放棄して、差止め原告の主張に沿った解決のみを指向するとしたのはなぜか。
 2 前項の山本農林水産大臣の答弁では、裁判所の方針に従うということであるが、裁判所が和解協議において、開門をした場合の問題点などの協議も始めるという方針をとれば、国も当然に従うということでよいか。

 右質問する。



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