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平成二十九年四月十日提出
質問第二一七号

トランプ政権のシリアへの軍事行動への安倍総理の支持表明に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




トランプ政権のシリアへの軍事行動への安倍総理の支持表明に関する質問主意書


 四月九日、安倍総理はアメリカのトランプ大統領と電話会談した。この会談の中で、安倍総理はアメリカ軍がシリアのアサド政権に対し、軍事行動を行ったことについて、化学兵器の拡散と使用を抑止するために責任を果たそうとするアメリカの決意を支持すると表明し、同盟国と世界の平和と安全に対するトランプ大統領の強いコミットメントを高く評価するという考えを伝えたと承知している。
 この会談に関して疑義があるので、以下質問する。

一 電話会談の中で、安倍総理はアメリカ軍がシリアのアサド政権に対し、軍事行動を行ったことについて、「わが国は化学兵器の拡散と使用を抑止するために責任を果たそうとするアメリカの決意を支持する」、「同盟国と世界の平和と安全に対するトランプ大統領の強いコミットメントを高く評価する。引き続き、緊密に連携していきたい」と述べたことが報じられているが、事実か。
二 アメリカ軍がシリアのアサド政権に対し軍事行動を行ったことに関して、政府はその軍事行動がどのような法的根拠に基づいていると考えているのか。アメリカ合衆国憲法第二章第二条第一項でいう「大統領は、合衆国の陸軍および海軍ならびに現に合衆国の軍務に就くため召集された各州の民兵団の最高司令官である」との規定に基づくアメリカの自衛権の行使であると考えているのか。
三 ロシアのサフロンコフ国連次席大使は、アメリカ軍の軍事行動は「明らかな国際法の違反であり、侵略行為だ」との見解を示しているが、かかる軍事行動はアメリカの自衛権の行使ではないのではないか。
四 アメリカ軍によるシリアのアサド政権への軍事行動の国際法上の妥当性とアメリカの自衛権の行使であるという、二つの法的妥当性を評価した上で、「わが国は化学兵器の拡散と使用を抑止するために責任を果たそうとするアメリカの決意を支持する」との安倍総理の見解が示されたという理解でよいか。
五 四に関連して、アメリカ軍の軍事行動について、政府が明確な法的評価を与えていないとすれば、「アメリカの決意を支持する」との安倍総理の見解は合理性を欠く不適切なものではないか。
六 トランプ大統領は軍事行動に踏み切った理由について、「女性や子どもを含む、無実のシリア市民が多くの損害を被ったことを受けて、化学兵器が二度と使用されないようにするために行ったものだ」と説明したと承知しているが、急迫不正の侵害がアメリカの女性や子どもにまで及ぶとは考えられず、トランプ大統領の軍事行動は、トランプ政権内でもバノン上級顧問らには異論があったとされる。「女性や子どもを含む、無実のシリア市民が多くの損害を被ったこと」は人道上許されないことだが、国連安全保障理事会での議論やわが国における国民的な議論を経ず、拙速に「アメリカの決意を支持する」と表明するに至った理由は何か。国民に分かりやすい言葉で政府の見解を示されたい。
七 国連安全保障理事会が四月七日に開いた緊急会合では、ロシアのサフロンコフ次席大使は、アメリカ軍によるシリア攻撃は「明らかな国際法の違反であり、侵略行為だ」と強く非難している。このような国際社会の反応を見極めずに、拙速に「アメリカの決意を支持する」と表明することは、わが国の国益を損なうのではないか。
八 国連憲章第五十一条は、「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない」と規定しているが、アメリカ軍によるシリア攻撃という措置が国連安全保障理事会に直ちに報告された事実を政府は確認し、把握していたのか。
九 アメリカ軍によるシリア攻撃という措置が国連安全保障理事会に報告されていないとすれば、アメリカ軍による措置は国連憲章上でいう自衛権行使ではなく、国連憲章違反の疑いがある。国連憲章第一条はかかる行為を禁止しているが、そのような国連憲章違反の有無を確認した上で、安倍総理は「アメリカの決意を支持する」と表明したという理解で良いか。
十 アメリカ軍によるシリア攻撃という措置が国連安全保障理事会に報告されておらず、アメリカ軍による措置は国連憲章上でいう自衛権行使ではなく、国連憲章違反の疑いが否定できない状況下で、安倍総理は「アメリカの決意を支持する」と表明したとすれば、安倍総理の見解は合理性を欠く不適切なものではないか。
十一 ロシアとシリアは緊密な友好関係にあり、ロシア政府の反応を十分見極めずに、拙速に「アメリカの決意を支持する」と表明することで、わが国とロシアとの北方領土交渉への不安定材料が加わることになり、かかる交渉が停滞する懸念はないのか。政府の見解を示されたい。

 右質問する。



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