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平成二十九年六月十四日提出
質問第四二二号

ネット企業に対する情報開示請求に関する質問主意書

提出者  井坂信彦




ネット企業に対する情報開示請求に関する質問主意書


 今や我々の生活に欠かせなくなっているコミュニケーションアプリのLINEは四月二十四日、トランスペアレンシーレポートを公表した。このレポートは、LINE株式会社が捜査機関からの情報開示請求を受け、どの程度公表したのかを開示するものである。
 米国ではすでに多くのネット企業がこの取り組みを行っており、グーグルは二〇一〇年、オンライン情報へのアクセスに対して法律や政策が及ぼす影響を証明することを目的に、透明性レポートの公開を開始している。
 例えば、グーグルでは、世界中の裁判所や政府機関からきたコンテンツの削除依頼は、二〇一〇年六月には千百九十八件だったものが、二〇一五年六月には三千四百六十七件、二〇一六年六月には六千五百五十二件と急激に増えている。米国のネット企業がなぜこのような透明性レポートを公表するのかは、この透明性レポートによってユーザーからの信頼を得ることにある。
 一方で、日本国内のネット企業がLINEに追随する動きはほとんど見られない。
 透明性レポートは個人のプライバシーに深くかかわる問題であり、プライバシーに敏感なユーザーは海外のユーザーだけでなく、日本のユーザーでさえも透明性レポートを公表する米国企業のサービスを選択することになりかねない。
 さらに、透明性レポートを公開している自動車配車アプリを開発したUber社はブログで「多くの場合彼ら(法執行及び規制機関)は、なぜ情報が必要か、それをどう利用するかの説明なしに、包括的な要求を送り付けてくる。この種の移動情報に個人情報は含まれていないものの、行動パターンを露呈させる可能性がある−そしてそれは規制機関の業務に必要なレベルを超えている」、「われわれの透明性レポートによって、規制サービス事業者が当局に提出すべき情報の種類や量、およびどのような状況下で行うべきかに関する国民的議論が起きることを願っている」などと訴えている。
 以上のことから、透明性レポートに対して、政府はどのような見解を持っているのか明らかにするため、以下の質問をする。

一 米国のネット企業、例えば、グーグルとLINEの透明性レポートを比較すると、米国政府がグーグルにユーザーの情報を開示するよう要求するには、召喚状、裁判所命令、捜査令状など必ず書面の発行が必要であるが、日本政府からLINEへの情報開示要求は、刑事訴訟法第百九十七条二項の捜査関係事項照会によって行われることが可能になっている。
  捜査関係事項照会は強制ではなく、ネット企業が独自に検証し、適法性や適切性等の確認が取れた場合のみ対応することができるが、ユーザーの信頼性を確保するためにも、ネット企業に情報開示請求する際に、何らかの法的な枠組みが必要なのではないか。
二 グーグルは二〇一三年六月に、米外国情報活動監視法(FISA)に基づくリクエストの件数と、対象となったユーザーもしくはアカウント数の開示をFISA裁判省に求める訴えを起こしている。同年九月には米facebook、米yahooも米政府から受けた情報開示要請に関する詳細なデータの公表を許可するよう求める請願書を、それぞれ米外国情報監視裁判所(FISC)に提出した。
  LINEの公開情報によると、要請件数は千五百件、そのうち対応した件数のうち令状によるものが九百十六件、捜査関係事項照会によるものが十件、緊急避難によるものが二件となっているが、日本では、ネット企業に対する情報開示請求について公開を制限しているのか。
三 米国では、ネット企業が積極的に政府の情報開示要請のデータを公表しているが、日本でもLINEなどが透明性レポートを公表し始めた。情報開示要請を公開することに関し、政府はどのような見解を有しているのか。

 右質問する。



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