質問本文情報
平成二十九年十一月七日提出質問第二二号
GPS端末等により位置情報を取得する捜査に関する質問主意書
提出者 階 猛
GPS端末等により位置情報を取得する捜査に関する質問主意書
平成二十九年三月十五日に出された最高裁判決(「平成二十八年(あ)第四四二号 窃盗、建造物侵入、傷害被告事件 平成二十九年三月十五日大法廷判決」。以下、「本判決」)は、車両に密かにGPS端末を装着して位置情報を検索し把握する刑事手続上の捜査(以下、「GPS捜査」)に関して強制処分であると判断しただけでなく、GPS捜査は「検証」で捉えきれず、立法措置が別途講じられることが望ましいと判断した。「本判決」及びGPS端末等による位置情報を利用した捜査について、以下を質問する。
1 GPS捜査を現行法上の捜査手法により実施することは、本判決により一律に否定されるのか否か。政府としての本判決についての見解を明らかにされたい。
2 政府は第百九十三回国会の答弁第一五三号(「衆議院議員初鹿明博君提出GPS捜査違法判決に関する質問に対する答弁書」)において、本判決を受けて警察庁が通知(警察庁丁刑企発第十五号、丁支発第二十二号)により控えるように指示した捜査は、「捜査対象車両に移動追跡装置を取り付けて行う捜査」であるとしているが、捜査対象者の所持品にGPS端末を取り付ける形での捜査の実施は認めているのか。
二 位置情報を取得する捜査手法として、携帯電話のGPS機能等により得られる使用者の位置情報を、捜査機関が電気通信事業者を介して取得するという捜査(以下、「携帯位置情報捜査」)が存在する。かかる捜査に関して、以下の点を明らかにされたい。
1 総務省作成の「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」(以下、「本ガイドライン」)に基づき、平成二十八年度において捜査機関が電気通信事業者から利用者の位置情報を取得するために令状の発付を受けた件数はいくつか。
2 「携帯位置情報捜査」も、対象者の所在地に関わらずその位置情報を取得するという点ではGPS捜査と変わりはない。本判決を踏まえ、「携帯位置情報捜査」についても新たな立法措置を講じることなく現行法上行うことは許されないと解すべきではないか。政府の見解を示されたい。
3 本判決を受けて、本ガイドラインの「携帯位置情報捜査」に関する規定を改正する予定はあるか。
三 「携帯位置情報捜査」の運用等に関して、次の事項を明らかにされたい。
1 本ガイドラインに基づく「携帯位置情報捜査」において継続的に対象者の位置情報を取得する場合、その継続時間は最長でどれくらいとなるのか。
2 本ガイドラインに基づく「携帯位置情報捜査」において、一回の令状によって対象者の位置情報を取得できる期間について、政府内部で制限を設けているのか。
3 現行の本ガイドラインに基づく「携帯位置情報捜査」の運用上、捜査機関が本ガイドラインに基づいて位置情報を取得した場合、位置情報を取得された捜査対象者には位置情報の取得があった事実について事後的な通知がなされていないと解してよいか。
右質問する。