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平成二十九年十二月五日提出
質問第八三号

北朝鮮から漂着する木造船に起因する諸問題に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




北朝鮮から漂着する木造船に起因する諸問題に関する質問主意書


 十一月二十八日、北海道警察のヘリが北海道松前町沖の無人島「松前小島」の港で不審な木造船を発見した。翌二十九日、海上保安庁などは、松前小島の北東十二キロ付近でこの木造船を確認した。木造船には、北朝鮮籍の十人が乗船しており、十一月二十八日の夕刻、五人が松前小島に上陸していた。乗組員らは悪天候のため、松前小島に「避難した」と説明したと報じられている。海上保安庁などの調査で、木造船から日本製の家電製品や船外機が見つかり、松前小島にある松前漁協所有の管理小屋から持ち去られた公算が高い。木造船は、海上保安庁の巡視船により函館湾に曳航され、海上で調査が続いている。
 十二月四日、海上保安庁や警察などが松前小島に上陸し、確認したところ、管理小屋のシャッターが壊され、管理小屋内部の物品、灯台のソーラーパネルの一部も無くなっていることが明らかになった。
 国際社会の経済制裁が強化されつつも、北朝鮮は国を挙げて漁獲量の拡大に力を入れている。十一月七日の朝鮮労働党機関紙の労働新聞は、「冬季漁業は年間水産物生産計画の成果を左右する重要な闘いだ」、「漁船は祖国と人民を守る軍艦であり、魚は軍と人民に送る銃弾・砲弾と同じだ」と呼びかけている。これには金正恩氏の指示があるとされ、二〇一六年に軍の水産事業所を訪問した際、「軍人と人民に新鮮な魚を切らさず供給しよう。ただ魚だけを多く取りなさい」と命じ、特に冬季漁業を督励し「年間三〇〇日以上の出漁」を指示したとされる。韓国統一省の報道官は「水産業が主要な外貨稼ぎの一つだ」との見解を示している。
 韓国政府によると、国連制裁で石炭や武器輸出が減少し、北朝鮮当局が外貨稼ぎのために漁業操業権を中国に売却したことで、北朝鮮の漁獲量が減少している。韓国の国家情報院は、北朝鮮が今年、中国漁船への漁業権販売で約三千万ドルの外貨を獲得したと韓国の国会で報告した。一五〇〇隻あまりの中国の漁船に当該海域での漁業を許可しており、これは例年の三倍であると推定されている。「北朝鮮が中国に沿岸部の漁業権を売却したため、沖合に出て操業せざるをえなくなった」との指摘があり、外貨不足が北朝鮮の違法操業を後押したとの見方がある。
 このような北朝鮮の政策変更にともない、北朝鮮の漁船は、日本の排他的経済水域(EEZ)内にある大和堆付近に集結し違法操業を続けている。これらの漁船が冬季の日本海の悪天候のため、北海道から新潟にかけてのわが国の領海、領土に漂着してきており、結果として、松前小島などで見られたような建造物への不法な侵入、物品の持ち去りが発生している。このため、当該地域の住民や日本海を漁場として漁業を営む方々は深刻な不安を持つに至っている。原因が北朝鮮の政策変更に起因するため、政府は責任をもって対処すべきで、迅速に関係する方々の深刻な不安を取り除くべきであろう。
 このような観点から、以下質問する。

一 過去三年間の北朝鮮からの日本海沿岸への漁船等の漂着数はどの程度か。また取り調べを受けた者の数はどの程度か。政府の把握するところを明示されたい。
二 韓国の国家情報院は、北朝鮮が今年、中国漁船への漁業権販売で約三千万ドルの外貨を獲得していると韓国の国会で報告し、一五〇〇隻あまりの中国の漁船に当該海域での漁業を許可しており、例年の三倍の規模と推定される。この北朝鮮の中国への漁業権の売却にともない、北朝鮮の漁船は沖合に出て操業せざるを得なくなり、日本のEEZ内にある大和堆付近に集結し違法操業を続けていると認識しているが、このような理解でよいか。
三 二に関連して、北朝鮮の漁船が日本のEEZ内にある大和堆付近に集結し違法操業を続けていることを政府は把握しているのか。見解を示されたい。
四 三に関連して、日本のEEZ内にある大和堆付近の海域での北朝鮮の漁船の違法操業は、わが国の漁業資源を損なうものであり、また今次の多数の木造船の漂着の原因となっていると思われるが、これに対して政府はどのように対応し、北朝鮮の漁船の違法操業を止めさせるのか。政府の今後の取り組みを具体的に示されたい。
五 北朝鮮の漁船は沖合に出て操業せざるを得なくなり、日本のEEZ内にある大和堆付近に集結し違法操業を続けている事実に対して、政府は何らかの手段でこれまで北朝鮮に抗議を行ったことはあるのか。
六 松前小島の管理小屋のシャッターが壊され、管理小屋内部の物品、灯台のソーラーパネルの一部も無くなっていることが明らかになったが、かかる事案は、刑法第百三十条(住居侵入罪)ないし刑法第二百三十五条(窃盗罪)に該当し、罪を犯した者は日本の法令に従って処罰されるという理解でよいか。
七 六に関連して、民法第七百九条でいう「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」に基づいて、保護法益を犯した者には賠償責任が生じるという理解でよいか。
八 七に関連して損害を賠償する責任が保護法益を犯した者に生じたとしても、北朝鮮から木造船で漂着した乗組員にその賠償責任を果たす能力があるとは思えず、現実には管理小屋を所有する漁協が一方的な被害を受けるだけという見方が漁業者に共有され、深刻な不安のもとになっている。政府はこのような事案に対して、適切な対応を行い、漁業者の不安を払拭すべきではないか。またこのために適用できる何らかの政府の支援制度は存在するのか。見解を示されたい。
九 松前小島では灯台のソーラーパネルの一部が無くなっていることが明らかになったが、このような事案は灯台の機能そのものを喪失しかねない深刻なものであり、漁業者の操業に不安を抱かせるとともに、海難事故に結びつくものである。政府はこの事態を深刻に受け止め、再発防止に努めるべきではないか。政府の今後の対応策について、具体的に示されたい。
十 北朝鮮国内の公衆衛生事情は相当悪いものと多くの専門家に指摘されており、漂着した木造船の乗組員が感染症のウイルスを保有していることも想定される。感染症対策の観点からも、このような漂着した木造船にどのような対策を講じているのか。また函館湾などの人口密集地のそばに木造船を曳航するのは妥当であったのか。政府の見解を示されたい。
十一 十に関連して、木造船の乗組員が日本国内でのテロ行為を行う意思を秘匿したまま函館港などに曳航されることを意図し、港内に曳航されたのちバイオテロを行った場合、函館市民は甚大な被害を受けかねず、人口密集地にある港に木造船を曳航することは相当に慎重であらねばならない。今回の曳航は妥当な判断だったのか。またバイオテロなどの準備がないことなどを確認するなど船内を完全に調査した後の措置であるのか。政府の見解を示されたい。
十二 今次の北朝鮮からの複数の木造船の漂着は、政府が各省横断的に取り組む問題であると考える。当該地域の住民や日本海を漁場として漁業を営む方々は深刻な不安を持っており、海上保安庁や警察の真摯な取り組みには敬意を表するものの、政府として対応担当部署を明示し、住民や漁業者の不安の払しょくを図るべきである。その場合、政府の当該事案の主たる担当省庁はどこになるのか。見解を示されたい。

 右質問する。



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