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平成三十年二月十六日提出
質問第八三号

琉球人遺骨の返還等に関する質問主意書

提出者  照屋寛徳




琉球人遺骨の返還等に関する質問主意書


 本質問主意書において、以下「琉球人遺骨」と表記するのは、一九二八年から一九二九年にかけて京都帝国大学(現京都大学)医学部の助教授であった金関丈夫氏が、沖縄県内各地の墓地で発掘調査をした際に持ち出した(実際には盗掘である)遺骨のことを指す。
 その一つとして、金関氏が沖縄県今帰仁村にある「百按司墓」(「むむじゃなばか」と読む)から持ち出した遺骨がある。金関氏は、自らの著書『琉球民俗誌』(法政大学出版局、一九七八年)にその事実を記している。
 なお、金関氏は、百按司墓から持ち出した琉球人遺骨を「人骨標本」として当時の京都帝国大学に二十六体(男性十五体、女性十一体)、台北帝国大学(現国立台湾大学)に三十三体(男性十九体、女性十四体)を寄贈している。
 二〇一八年一月二十七日、琉球大学で開催された「東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会」主催の公開シンポジウム「日本の植民地主義と中国・北朝鮮脅威論を問い直す!」において「琉球人・アイヌ遺骨返還問題にみる植民地主義に抗議する声明文」が発表された。
 右声明文の中で、金関氏による百按司墓からの琉球人遺骨持ち出しは、盗掘≠ニ断定され、「それは研究倫理に悖るのみならず、琉球人の伝統的な信仰や生活を無視した死者への冒涜である。」と断罪されている。さらに、声明文は、二〇〇七年九月十三日に採択された「『先住民族の権利に関する国際連合宣言』第十二条『宗教的伝統と慣習の権利、遺骨の返還』でも先住民族が遺骨返還の権利を有していることを明記している。」こと及び「二〇〇八年以来、国連の諸会議において琉球人が先住民族であると認められ」ていること等に照らし、「先住民族としての琉球人の遺骨が盗骨され、それが現在でも京都大学に保管されているという国際法上の問題でもある」と指弾する。そのうえで「我々研究会は琉球人・アイヌ遺骨返還に見る日本の植民地主義に強く抗議するとともに、同遺骨に関する完全な情報の公開そして遺骨返還、再埋葬を要求する」と結んでいる。
 私は、国政調査権に基づき、二〇一七年八月二十九日付で文部科学省に対し、京都大学への琉球人遺骨所蔵問題に関する照会を請求したところ、同年九月十五日付で同省高等教育局高等教育企画課及び研究振興局学術機関課を介して、京都大学から丁寧な回答を頂戴したものである。
 右回答を踏まえ、沖縄で大きな関心事となっている琉球人遺骨返還問題について、政府の見解を質したい。
 以下、質問する。

一 金関氏によって百按司墓から持ち出された琉球人遺骨が、京都大学総合博物館に所蔵されていることを政府が把握したのはいつか、把握するに至った経緯と併せて見解を明らかにされたい。
二 政府は、金関氏によって百按司墓から持ち出され、現在まで京都大学総合博物館に所蔵されている琉球人遺骨について、沖縄県教育委員会や今帰仁村教育委員会をはじめ、多くの関係者や研究者らが一日も早い返還と再埋葬を強く願っていることを承知しているか。右琉球人遺骨の返還と再埋葬に対する政府の見解と併せて明らかにされたい。
三 百按司墓の他に、金関氏によって沖縄県内から持ち出された琉球人遺骨が京都大学総合博物館に所蔵されているか否かについて政府として把握しているか。把握しているのであれば、当該琉球人遺骨について政府の知るところを詳細に説明されたい。
四 私が昨年九月十五日付で受領した京都大学の回答によると、同大学総合博物館に所蔵されている琉球人遺骨は「プラスチック製の直方体の箱」に収納されているという。そのサイズ等について政府の承知しているところを明らかにされたい。また、かかる保管方法は、ご遺骨とご遺族の尊厳を深く傷つけるものであり、不適切だと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

 右質問する。



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