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平成三十年二月二十八日提出
質問第一〇三号

児童相談所の「一時保護」と「乳幼児ゆさぶられ症候群」に関する質問主意書

提出者  奥野総一郎




児童相談所の「一時保護」と「乳幼児ゆさぶられ症候群」に関する質問主意書


 児童福祉法第三十三条に基づく児童の「一時保護」は、保護者による虐待から、児童の生命、安全を守るための措置と承知している。ところで、「一時保護」を執行する際の前提となる「虐待があったかどうか」について、わが国で厚生労働省の「子ども虐待対応の手引き」などで、いわゆる「乳幼児ゆさぶられ症候群」(SBS)が所見されるかどうかが一つの判断基準になっていると承知している。
 しかし、児童相談所の常勤医でも「SBSなどの乳幼児頭部外傷が虐待によるものかどうかの判断は難しい」(横浜市中央児童相談所常勤医・田崎みどり氏「AHT/SBS対応に苦慮している児童相談所の現状について」より)としている。
 そこで、以下質問する。

一 「子ども虐待対応の手引き」では「家庭内の転倒・転落を主訴にしたり、受傷機転不明で硬膜下血腫を負った乳幼児が受診した場合は、必ずSBSを第一に考えなければならない。」としているが、これに医学的根拠はあるのか。
二 「子ども虐待対応の手引き」では「SBSの疑いが強ければ、子どもの安全確保のために職権による保護を行う。乳幼児の親子分離が親子関係の形成を阻害し、二次的な虐待の素地を作るというマイナス面を考慮にいれても、受傷の原因が特定できず虐待の可能性がある限りは、安全を第一に分離の判断をせざるを得ない。」とされている。このことが、必要以上の一時保護につながっていないか。
三 近年欧米の研究では、「硬膜下血腫、網膜出血、脳浮腫の三徴候はSBSによるもの」と断定するSBS理論には疑問がある、とされ、日本弁護士連合会(日弁連)でも、「SBS理論は保護者が子どもに虐待を行ったという冤罪を作り出していく危険性がある」と警告を発している。このことに対し、政府はどのように考えるか。
四 SBSに関して保護された事案に対する直近五年間の異議申し立て、ならびに訴訟件数と、このうち異議申し立てならびに原告の訴えが認められた件数について、それぞれ示されたい。
五 政府は「子ども虐待対応の手引き」や「一時保護ガイドライン」を見直す考えはないか。
六 二カ月を超えて保護をする場合行わなければならない都道府県児童福祉審議会の意見聴取について、直近五年間で、各都道府県の開催件数、およびそのうち「保護の必要なし」と判断された件数を示されたい。
七 多くの都道府県児童福祉審議会が非公開とされており、保護者にも論議の内容が示されていないことについて、政府はどのように考えているか。
八 平成二十九年六月に成立した「児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律」により、同審議会に代わり家庭裁判所による審査が導入されることとなったと承知しているが、どのような理由で家庭裁判所による審査が導入されることになったのか。
九 政府は、二カ月を超えて一時保護されているケースについて、それが適正かどうか早急にチェックする考えはないか。

 右質問する。



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